大阪大学精神科の後期研修医として−林紀行先生の手記−

私は内科を6年間経験したのち、大阪大学精神科の後期研修医として1年間病棟を見させて頂きました。その感想を簡単に述べさせていただきます。

まず当科では、措置入院症例や児童思春期症例なども受け入れており、また総合病院であることから身体疾患を伴う医療保護入院も多く、精神保健指定医の取得申請に必要な症例を集めることもできる点は魅力的でした。また統合失調症、躁うつ病、神経症、パニック発作、認知症、アルツハイマー病、正常圧水頭症(iNPH)、若年性認知症、レビー小体病、前頭側頭型認知症、神経変性疾患、発達障害、アスペルガー症候群、てんかん、睡眠障害など、非常に多彩な病態の症例の診療に参加することができ、それぞれの分野で一線級の先生方の指導がマンツーマンで受けられました。このような経験は当科でしかできないのではないかと思います。身体疾患との合併症例が多いこともあり、特に私のように他科からの転科をお考えの方などは自分のスキルを生かす意味で適しているといえます。内科時代には患者さんの話が十分に聞けなかったのが悩みでしたが、当科研修時にはその時間は十分にあり、ようやくその悩みも解消しました。

週1回月曜日の症例カンファでは、自分の担当する入院患者の中でも難治の症例について、色々な先生方が討論してくださるので非常に勉強となりました。私のような内科転科組の至らない質問にも丁寧に答えてくださり、最新の知見にも触れさせていただくなどとても刺激的でした。決して市中病院のように症例数が多いとは言えませんが、各症例をじっくり検討する事ができ、特に初期研修を終えてさらに臨床経験を深めたいという先生方にはと最適ではないかと思います。また回診が週に1回、金曜日の午後に行なわれます。教授、准教授、病棟医長が分担して回診していますので、2時間程度で終了します。個々の症例をベテランの目から見ていただける非常に貴重な機会です。

シュライバーというのは、スタッフの先生の外来に陪席してカルテ記載やコンピュータ入力などを行う診療補助業務です。通常初期研修の先生がされていますので、私は担当外なのですが、時間のあるときは自ら志願して隣に座らせてシュライバーをさせて頂いておりました。スタッフの先生の外来を見学するのは、外来での診療の実際について学ぶには一番の勉強になりました。

大阪大学精神科の同窓会員数は精神科の中で日本最大であり、そのため関連病院も多く、臨床の最前線で経験を詰まれた先生方が大学にも多数集まっておられるので、何処の病院に行けば自分のやりたいことができるかなどの情報も得ることができます。また将来研究を希望する方にもお勧めです。私の場合も1年間の研修中に色々な研究室の勉強会に出席する事ができ、最終的には自分の取り組みたいテーマが見つかって、今は大学院生として研究活動に従事しています。

QOLの面ですが、病棟では、大学病院でありがちな雑用の煩わしさを感じることは、皆無ではありませんが予想以上に少なかったです。自分が担当する入院患者には指導医の先生が必ずついており、夜間や土日祝日については当直医にすべてお任せですので家庭と仕事の両立も問題ありません。ご存知の通り大学病院の後期研修医の待遇は賃金面は決して恵まれたものとはいえませんが、希望をすれば週に何回は他院での診療をさせていただくことも可能で、私の場合は実際生活上困ることはありませんでした。

当科を研修先としてお考えの先生方は、教授、准教授以下スタッフの皆さんいずれも懐の広い医局ですので、まずは気軽に一度相談をされては如何でしょうか?

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