大阪大学大学院医学系研究科 核医学講座 / 大阪大学医学部附属病院 核医学診療科・放射線部 Department of Nuclear Medicine and Tracer Kinetics, Osaka University Graduate School of Medicine
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核医学検査Q&A
この内容は、核医学を一般の人々に広く理解していただくために、日本核医学会および日本アイソトープ協会が作成した冊子を元に作っています。
Q1 アイソトープとはなんですか?
Q2 核医学とはどのような医学ですか?
Q3 核医学検査(アイソトープ検査)とはどんな検査ですか?
Q4 核医学検査で使うくすりとはどんなくすりですか?
Q5 核医学検査でどのようなことがわかりますか?
Q6 核医学検査はエックス線検査とどう違うのですか?
Q7 核医学検査はMRI、超音波検査とどう違うのですか?
Q8 骨の核医学検査を受けましたが、何がわかるのですか?
Q9 ガリウムの検査を受けましたが何がわかるのですか?
Q10 狭心症で通院中ですが、心臓の核医学検査を受けました。何がわかるのですか?
Q11 脳梗塞で入院中に脳の核医学検査を受けましたが何がわかるのですか?
Q12 核医学検査には他にどのようなものがありますか?
Q13 PET(ペット)検査を新聞やテレビで見かけたことがあります。PET検査ってなんですか?
Q14 バセドウ病で抗甲状腺薬を服用していたのですが、薬の副作用があり、アイソトープ治療をすすめられました。
アイソトープ治療とはどのようなことをするのですか?
Q15 やっぱり「放射能」と聞くと恐ろしい気がするのですが、核医学で受ける検査に危険はないのでしょうか?
Q16 核医学検査は子供でも受けられますか?また、妊娠していると思われる女性の場合はどうでしょうか?
Q17 核医学検査を受けましたが、放射能が心配です。子供ができなくなることはないですか?
Q18 核医学ではどうして1ヶ月の間に何回も検査したり、また2日後に来院したりすることがあるのですか?
Q19 核医学検査ではどのような人が働いており、どんな仕事を分担しているのでしょうか?
Q20 核医学検査の段取りはどのように行われているのですか?
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Q1 アイソトープとはなんですか?
Answer アイソトープというのは「同じ場所」という意味で、20世紀のはじめの科学者がギリシャ語から借用して作った言葉です。
「同じ場所」とは?
「元素の周期表」というのを学校で習ったはずですが、覚えていますか?自然界にある元素を重さの順に並べた表ですが、種々の元素の性質が見事に整理されています。ところが20世紀はじめになって、重さが違うのに化学的性質が同じ元素が次々と発見されました。そこで重さは違っても化学的性質が同じものは周期表の同じ場所に入れることにしました。はじめは元素1つずつしか入っていなかった周期表のそれぞれの欄に、重さの違ったものが多数入ることになったのです。この様子をある人は星座の「すばる」に見たてました。別の人は「同じ場所の原子」という意味でIsotopic elementsと呼びました。1913年のことです。「すばる」の方がロマンチックでいいと思うのですが、「アイソトープ」の方が広く使われて生き残りました。わが国では「同位元素」ともいわれています。
アイソトープはいろいろあるのですか?
アイソトープは、その後わかったことですが、水素に3つ、炭素に8つという具合にどの元素にもたくさんあります。「みんなでいくつあるか」ですって?数え方にもよりますが、ざっと2千から3千はあるでしょう。あなたの体も含めて、世界中が、いや、全宇宙がアイソトープだらけなのです。アイソトープの中には放射能を持つものがあります。そこで放射能を持つものを放射性同位元素、そうでないものを安定同位元素といって区別します。放射性同位元素をラジオアイソトープあるいはRI(アールアイ)ということもあります。
病院で使うアイソトープはどのようなものですか?
病院で「アイソトープ」といって使うのは放射性同位元素のことで、アイソトープの中のほんの一部、10数種です。こうした検査や治療は、核医学検査あるいはRI検査とか、RI治療ともいわれています。
病院で一番多く使われているアイソトープは、テクネチウムという元素のアイソトープの一つ、テクネチウム-99mです。これは検査用で、病院で使うRIの約7割はこれです。
テクネチウム-99mが人気があるのは、これからでる放射線は安全性が高く、しかも診断に必要な情報をたくさん提供してくれるからです。
バセドウ病など甲状腺の病気の治療には、ヨウ素-131など別のアイソトープを使います。治療は病巣部に適度な放射線障害をおこさせることで病気を治すのですが、テクネチウム-99mはそうした障害をおこせないので治療には使いません。
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Q2 核医学とはどのような医学ですか?
Answer 核医学とは、ごく微量のアイソトープを目印としてつけたくすりを用い、病気の診断や治療をする医学の専門分野です。
アイソトープで目印をつけたくすりを体内に投与しますと、特定の臓器や組織に取り込まれ、そこで放射線をだします。これを「ガンマカメラ」と呼ばれる特別なカメラで測定し、その分布を画像にします。これをシンチグラフィといいます。放射能の測定は大変高い感度で行えますので、ごく微量のアイソトープで安全に、苦痛もなく、身体の各部分の働きや化学的変化を絵にすることができるのです。さらに、多くの他の検査法でわかるよりも早く見つけることができるのも特徴の一つです。
一方、血液や尿の中の微量な物質の測定にもアイソトープが利用され、診断に役立っています。この場合には、体の中にアイソトープを入れるのではなく、患者さんから採取した血液や尿にアイソトープを直接入れるので、検査を受ける人は放射線を受けることはありません。
また、アイソトープは診断のほか治療にも応用され、甲状腺機能亢進症や甲状腺がんの治療などに用いられています。
核医学の核は?
核医学の核は原子核に由来します。いろいろなアイソトープの原子核からでる放射線を利用しているからです。
レントゲンによるエックス線の発見の翌年、1896年に、フランスのベクレルはウラン鉱石から目に見えないエックス線とは異なる放射線がでていることを発見しました。有名なキュリー夫人によるラジウムと呼ばれるアイソトープの発見はその翌々年のことです。ベクレルとキュリー夫妻は1903年にノーベル賞を受賞しています。
ごく微量のアイソトープを目印として、物質の働きを調べる「トレーサー法」はヘベシーにより開発されました。彼は植物や動物でのいろいろな元素の代謝を調べるのにアイソトープを用い、1943年にノーベル賞を受賞しました。
アイソトープの医学利用は1927年にアメリカでブルムガイトらが血液の循環速度の測定に用いたのが最初でした。
今日では原子炉や加速器で人工的にいろいろなアイソトープをつくることができ、安く供給されるようになり核医学は急速に発展し、その医療への貢献も大きくなってきています。
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Q3 核医学検査(アイソトープ検査)とはどんな検査ですか?
Answer 核医学検査とは、病院によってはアイソトープ検査やRI(アールアイ)検査とも呼ばれていて、微量の放射性同位元素(アイソトープ)で目印をつけたくすり(放射性医薬品)を使って病気の有無を調べる検査方法のことです。すなわち、ある特定の臓器や組織に非常に強い親和性をもつ薬剤に目印としてアイソトープをつけて投与すると、目的とする臓器に集まります。その医薬品につけられたアイソトープから放射線がでています。専用のカメラを用いますと一つの画像としてフィルムの上に写すことができます。この画像から臓器の形や働きがどのようになっているかがわかります。核医学検査の専門医がこの画像を解析して、病気があるかないか、また、どのようになっているかを調べます。
専用のカメラとはどのようなものですか?
体の中に入った放射性医薬品からでる放射線は非常に微量ですから、それを検出するには特別のカメラが必要です。一般にガンマカメラ、またはシンチレーションカメラと呼ばれています。少量の放射線でも良い画像を写すために、カメラはできるだけ検査したい臓器に近づけるようにしています。身体のどこに異常があるのかわからないときに、核医学検査は全身を一度に調べることもできます。このような場合には頭の先からつま先まで動く全身カメラを用います。また脳や心臓など各方向から調べたいときや、前や後ろからでは臓器が重なって見えにくいときには断層像(輪切り像)を見るために、SPECT(スペクト)というカメラ装置も使います。どのカメラもコンピュータに連結していますので、画像はそこに一時的に保管されます。
どのような画像がありますか?
投与されたくすりは身体全体の状況や臓器や組織の生理的状態に沿って分布します。正常の状態と異なると、集まるはずのものが欠けたり、集まりすぎたり、異常な分布を示します。身体のどこに異常があるかわからないときには身体の前と後ろから全身の2面の画像を写します。臓器のどの部分に異常があるのか調べるときにはSPECTを使って、断層像を撮って立体的に調べます。臓器の働きや動きを調べたいときにはコンピュータを用いて画像を処理しますと、腎臓がくすりを排泄する時間を測定したり、また、心臓がどのように拍動しているかを動画にして診ることもできます。ところで、撮像の際に、長時間カメラの下で何枚も画像を撮るのでたくさんの放射線を受けるのではないかと心配する人もいますが、カメラは放射線をだしませんから、何枚画像を写しても、それで放射線の影響を多く受けるわけではありません。
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Q4 核医学検査で使うくすりとはどんなくすりですか?
Answer この検査に用いられるくすりを放射性医薬品といいます。普通の医薬品と異なり、γ(ガンマ)線などの放射線を放出して減衰していくラジオアイソトープを含む薬品で、時間の経過とともに効力を失います。また専用の施設において放射線の取り扱いに習熟した人達がくすりを使用するよう、法的に規制されています。 
このくすりは使い方により二つにわけられます。一つは患者さんに直接注射したり飲んでもらったりして検査をするインビボ検査に使用するくすり、もう一つは患者さんにくすりを投与しないで、血液、尿などからホルモンなどの微量の物質の測定を行うインビトロ検査に用いる薬です。
インビボ検査用放射性医薬品とは?
直接患者さんの体内にくすりが入るわけですから、受ける放射線ができるだけ少ないくすりが選ばれます。そのためには半減期が短く、体外に早く排泄されるもの、できるだけ弱いガンマ線のみだすものが望ましいとされています。このような条件で最も多く用いられているアイソトープはテクネチウム-99m、ヨウ素-123、タリウム-201、ガリウム-67で、半減期は6時間〜3日と短く、多くの場合、急速に体外に排泄されるものです。これらのくすりは脳梗塞、痴呆、心筋梗塞、狭心症、悪性腫瘍、転移性骨腫瘍など、多くの病気の診断に利用されています。
インビトロ検査用放射性医薬品とは?
患者さんにRIを投与することなく血液や尿などを試験管内でアイソトープを含む試薬と反応させ、そこからでる放射能を測定し、試料中の微量物質を定量測定し病気の診断に用いるものです。脳下垂体、甲状腺、副腎などから分泌されるホルモン、がん患者の経過観察に有用な各種腫瘍マーカー、血中薬物濃度などの微量物質の定量に用いられています。患者さんの目に触れない場所で行われているため、あまり知られていませんが、インビトロ核医学検査も日常臨床化学検査の主要な位置を占めています。
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Q5 核医学検査でどのようなことがわかりますか?
Answer 核医学検査の種類は?
核医学検査は、大きく二つにわけられます。
一つは患者さんの静脈に微量の放射性同位元素を含むくすり(これを放射性医薬品といいます)を注射したり、カプセルを飲んでもらうことにより、このくすりが臓器に集まる量や速さや形を専用のカメラで撮像する検査です。これをシンチグラフィと呼びます。
もう一つの核医学検査は、患者さんから採取した血液や尿を試験管内で放射性医薬品と混ぜ反応させることで、試料中の微量物質を測定する検査です。これはインビトロ検査と呼ばれ、患者さんの目にふれない場所で検査されていますので、あまり知られていません。
シンチグラフィでは?
シンチグラフィでは、体内臓器の位置や形や大きさがわかります。これをもとに、病気の有無とその場所や大きさが明確にできます。また臓器の放射性医薬品の集まる時間と分布状態から、その臓器の働き(機能)が明らかにされます。
具体的には脳の血液の流れを見ることで脳の働きがわかります。脳梗塞や脳出血、また話題のアルツハイマー型痴呆などの脳の状態や治療効果がわかります。甲状腺や副腎といったホルモンをつくる臓器の病気が診断できます。肺の血液の流れを見ることで、肺梗塞などの血栓の場所や程度及び治療効果等を知ることができます。ガス状の放射性医薬品を吸いますと、気道や気管支、肺胞など肺の病気も診断できます。死亡率が高い心筋梗塞や狭心症の診断やその障害の程度の評価、さらに心臓の働き(機能)から患者さんの生活指導にも役立ちます。腎臓での血液の流れる状態や尿が腎臓から膀胱に排泄される様子(腎臓の機能)が簡単にわかります。各臓器のがんの存在や転移病巣の有無が検索できますし、骨に異常がないかどうかも比較的簡単に診断できます。このように核医学検査は全身の多くの病気の検査に活用されています。
インビトロ検査では?
血液中のごく微量な物質、例えば脳下垂体、甲状腺、副甲状腺、膵、副腎、卵巣、胎盤などでつくられるホルモンの量を測ることにより、異常の早期発見ができます。肝炎ウィルスによって感染しているかどうか、どんなウィルスかが識別できます。またアレルギーがあるかどうか、その原因物質は何かも調べられます。がんの時に血中に増える微量物質を測ることで、がんの診断や、治療後の経過観察にも有用です。このように放射性医薬品はごくわずかしか体内に存在しない微量物質の測定に用いられています。
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Q6 核医学検査はエックス線検査とどう違うのですか?
Answer 核医学検査とは?
放射性医薬品(アイソトープで目印した医薬品)を静脈注射したり飲んだりして、検査の目的とする臓器、例えば脳、心臓、骨や甲状腺に集まったアイソトープからでてくるガンマ線をガンマカメラと呼ばれる機械で撮って画像を作ります。その画像からいろいろな病気の診断をします。空港から出発する飛行機にもそれぞれ目的地があるように、放射性医薬品も目的とする病気や臓器によって異なる種類のものを使用します。注射をしたり飲んでから検査までの時間も、飛行時間と同じように早いものもあれば長くかかるものもあります。ほとんどの検査では、注射をしてから検査が始まるまでの間は自由で、飲んだり食べたりすることもできます。
エックス線検査とは?
胸部エックス線写真はだれでも撮られたことがあると思います。体外からのエックス線が体内を通過するときに、骨や体の内の臓器などによってエックス線が吸収される量が異なります。このエックス線の吸収の差で画像を作ります。通常は、写真にして診断しますが、テレビに写して胃など動いている臓器を見ることもできます。肺や骨などの単純エックス線写真、バリウムを飲んで調べる胃や小腸の検査、肛門から造影剤を入れて調べる大腸の透視検査、造影剤を静脈注射して調べる胆のうや腎臓の検査、また血管内にチューブを挿入し、造影剤を注入する血管造影検査などがあります。コンピュータを利用したエックス線CT検査は広く普及していますが、この検査法では脳、肺、肝などの身体深部の小さな病巣も的確に診断することができますが、各臓器の機能や代謝などについての情報はあまり得られません。
エックス線CTとは?
通常CTと呼ばれているエックス線CTは人体にエックス線を照射し、透過した放射線を検出感度の優れた検出器で測定し、それをコンピュータでどこをどれだけ通過したかを計算し、人体の断面におけるエックス線の透過度の差を画像にしたものです。形の異常があるかどうかを調べる形態診断の分解能に優れています。
核医学検査とエックス線検査の両方が必要ですか?
必要に応じて両方の検査を行うこともあります。病気によって検査の順序があり、単純な検査だけで診断のつくものもありますが、苦痛を伴う詳しい検査をしてもなお診断が難しい病気もあります。検査法にも得意とする病気とそうでないものがあります。もちろん苦痛なく、早く、しかも費用もあまりかからない方法で診断することが理想です。しかし、より正確に診断するためには、核医学検査とエックス線検査あるいはMRIなど複数の検査が必要な場合が多いようです。
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Q7 核医学検査はMRI、超音波検査とどう違うのですか?
Answer 核医学検査とは?
核医学検査はわずかな放射能をもつアイソトープで印をつけたくすりを体内に入れて、体の外からその分布を測定する検査です。
検査はシンチグラフィといい、脳、心臓、肺、肝臓、腎臓、甲状腺、副腎、骨などあらゆる臓器の機能を、臓器全体としてばかりでなく局所の機能も形や動きとして見ることができます。例えば肺や腎臓の機能が左右別々にわかります。また、がんの診断や治療の効き目の判定にも役立っています。
測定装置はガンマカメラあるいはシンチレーションカメラといわれ、その原理は放射線を光に変えて、電気的に増幅して画像とします。全身の骨の異常やがんを発見する全身シンチグラフィや、脳、心筋などの断層面を見るSPECT(スペクト)、PET(ペット)があります。SPECT、PETは、脳や心筋の異常、例えば脳梗塞、痴呆や脳の代謝異常、狭心症や心筋梗塞などの診断や治療経過をみるのに非常に役立つ検査です。
MRIとは?
MRIは水素原子核のもつ磁気共鳴現象を利用して画像にするものです。病巣や組織の識別能に優れ、縦断像などいろいろな断層面が得られます。MRIは磁石を使っているので放射線は受けません。また、MRIで機能を見ることも可能ですが、現在のところまだ、研究は始まったばかりです。
超音波検査とは?
超音波検査は振動子に電気信号を加えて、圧電効果により振動させて極短時間(約10万分の1秒)の超音波を発生させます。超音波を使って漁師が魚群を探知しているのをご存じと思いますが、超音波を体内に発信すると、音響的に性質の異なった組織や臓器の境界面で反射がおこり、エコーとして返ってきたものを受信し画像にしています。心臓、肝臓、胆のう、腎臓、卵巣、子宮、膀胱などの検査に用いられます。超音波は人体に無害であるため妊婦の腹部の診断にも使われます。
以上のように、核医学検査、MRI、超音波検査はそれぞれ特徴のある情報が得られるので、検査目的によって選択して使用されています。
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Q8 骨の核医学検査を受けましたが、何がわかるのですか?
Answer 骨にどのような病気があり、どの程度全身に広がっているのかを調べるための検査です。体の中に注射された放射性医薬品が血流にのって骨に運ばれ、骨の代謝や反応の盛んな所に集まる性質を利用しています。病院で行われている核医学検査のうち、ほとんどの施設では骨の検査が最も多く実施されています。骨の病気の患者数が多く、骨の核医学検査が患者さんにとって役立つからです。
どのような病気の患者が多いのですか?
骨の核医学検査は、がんの骨への転移の診断に最も多く使われています。がん細胞が全身の骨に広がっているかどうかを調べるものですから、全身の骨の写真を撮って調べます。すべてのがん患者で骨の核医学検査が行われていますが、最も多いのは、乳がん、肺がん、前立腺がんの検査です。もちろん骨を調べるには、エックス線撮影(レントゲン検査)も行いますが、骨の核医学検査はエックス線撮影よりもより早期に、しかも簡単に全身の骨転移があるかどうかを知ることができます。
がん以外の病気でも行われますか?
骨の炎症や骨折、その他多くの骨の病気の診断にも役立ちます。疲労骨折がサッカー選手やマラソン選手で話題になっていますが、エックス線撮影で診断が困難な疲労骨折や骨粗しょう症に伴う骨折の診断にも、核医学検査は役立っています。また、閉経後の女性の骨粗しょう症の診断にも使われます。
どのようにして検査するのですか?
検査はテクネチウム-99mというアイソトープで印をつけたリン酸化合物を用います。このくすりを血管に注射して約3時間ほどして、骨に充分くすりが集まってから写真を撮ります。通常は朝に注射して、午後から骨の写真を撮影することが多いと思います。この検査は食事とは関係ありませんので、朝食や昼食は普通にとっていただいてかまいません。また待ち時間の間は検査室以外や病院の外に行かれても差し支えありません。検査は30〜60分で終わります。検査中はカメラやベッドがゆっくり動きますが、きれいな写真を撮るために、検査をしている間は動かないようにしてください。また検査直前にトイレに行き、膀胱を空っぽにしていただきます。
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Q9 ガリウムの検査を受けましたが何がわかるのですか?
Answer ガリウムとは何ですか?
ガリウムとは元素の一種ですが、このアイソトープ検査に用いるガリウムはガリウム-67で放射線(ガンマ線)を放出するアイソトープです。このガリウム-67を用いた検査をガリウムシンチグラフィ(略してガリウムシンチ)と呼びます。ガリウムはがんや炎症などに集まる性質があります。ガリウム-67の放射能が半分になる時間(半減期)は約3日です。
ガリウムシンチとはどんな検査ですか?
多くの場合、検査の2〜3日前にガリウムを注射します。この注射による副作用はありません。ガリウムは最初のうちは腎臓や腸管から排泄されます。病気の場所にも早くから集まりますが、2〜3日後に写真を撮ると病巣が最も鮮明に見えます。お腹に病気がある時は正常な腸と病気の場所が重なって見えにくいことがあります。そのため検査の前の日に下剤を飲んでいただきます。腸をきれいにするだけなので、食事はふだん通りで結構です。
検査時間は30分〜1時間で、静かに寝ているだけの検査で、カメラで全身の写真と各部位の写真を撮ります。病気と腸管が重なってわからないときは、翌日にまた撮ることもあります。
何がわかるのですか?
全身のガリウムシンチの写真で、全身のいたる所にガリウムが集まって黒く描出されている所がすべて病気のあるところです。その他、正常な肝臓や骨などにも集まっています。このように病気が全身のどの部位にあるかがわかり、その病気の進行具合がわかります。この検査や他の検査の結果の総合的な判断により治療法が選択されます。また治療した後にも、治療効果の判定や再発しているかどうかを知るためにこの検査が行われます。
どんな病気に役立つのですか?
リンパ腫というリンパ節がはれるが腫れる悪性の病気の患者さんの診断に多く使われますが、悪性黒色腫にも有用です。その他悪性腫瘍が疑われたときや、高熱が長く続いて炎症の部位がどこかわからないときに行われます。またサルコイドーシスという病気の検査にも使われています。
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Q10 狭心症で通院中ですが、心臓の核医学検査を受けました。何がわかるのですか?
Answer 心臓の核医学検査の最も一般なものは心筋シンチグラフィと呼ばれ、くすりを投与して心筋の断層画像を作成し、病巣部位と範囲、そして心筋細胞の生死状態を簡単に診断する方法です。
虚血性心疾患(狭心症)とは?
心筋梗塞や狭心症で代表される虚血性心疾患はわが国の三大死因の一つに挙げられ、食事の欧米化や人口の高齢化と共に増加しています。これらの病気は、心臓の筋肉を養っている冠動脈の内腔が動脈硬化などの変化で狭くなり、血液により運ばれる栄養や酸素が心臓の筋肉に供給されにくくなっておこります。狭心症の治療は、心筋細胞がまだ生きている時期に、カテーテルで血管の狭くなったところを拡げて血流を良くしたり、動脈硬化でもろくなった血管には、別の血管をつなぐバイパス手術を行うなどして、心筋細胞が死なないようにします。
その治療法を決定するにあたり、最終的には血管造影検査が必要となります。心筋シンチグラフィは、カテーテル検査の前後に行われる検査として、さらに治療後の評価や経過観察にも用いられます。
心臓の核医学検査にはどんなものがあるのですか?
最も一般的なものとして心筋の血流状態をみる心筋血流シンチグラフィがあります。タリウム-201というくすりが用いられますが、最近ではテクネチウム-99mで目印されたくすりも使用されています。この他にヨウ素-123で目印したくすりを使って心筋の脂肪酸代謝の状態や、交感神経の分布の異常を診断する方法もあります。また心臓から血液を拍出するポンプ機能の画像を作成して、心筋壁の動きの低下部位を見つけ出す心機能検査法(心プールシンチグラフィ)もあります。
どのようにして検査するのですか?
検査用のくすりを静注した後、ガンマカメラと呼ばれる装置の下に仰向けの状態で休み、30分前後コンピュータにデータを収集し、心筋の断層画像を作成して病変の有無について診断します。
また運動負荷や薬剤負荷を加えた状態で検査用のくすりを投与する、負荷心筋血流シンチグラフィがしばしば行われます。狭窄の程度が軽い例では安静時に検査しても正常の像を示しますが、運動耐応能は低下しているため、運動することにより心筋が虚血に陥ります。このように心筋に負荷をかけて心筋予備機能を観察して心筋細胞の生死の状態をより正しく評価する方法で、世界中でひんぱんに行われている検査法です。この時は運動負荷後、3〜4時間に再度データを収集します。
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Q11 脳梗塞で入院中に脳の核医学検査を受けましたが何がわかるのですか?
Answer どのような目的で行うのですか?
脳は働きの異なる多くの部位から成り立っています。核医学検査は、これらの脳の各部位における血流や代謝など、いわば脳の局所の働き(機能)を調べるものです。この点で、主に脳局所の構造を調べる血管撮影、エックス線CT、MRIなどの検査と異なります。
どのようにして行うのですか?
脳の核医学検査ではくすりを静脈注射(場合によってはガス状のくすりを吸入)して、円形または多角形の筒状の装置に頭を入れて撮像し、血流や代謝を示す脳の輪切り画像(断層像)を作ります。
このような検査で何がわかるのですか?
多く行われている検査は脳の血流を見るものです。いろいろな病気で脳血流に異常がおきますが、最も多いのが脳梗塞や出血などの脳血管障害です。例えば脳梗塞がおきてもしばらくの間はCTやMRIでは異常が現れてきませんが、核医学検査では初期でも血流の低下している様子がわかります。また、脳に血液を送る血管が細くなったり塞がったりしていた場合、その部位の脳血流が実際に低下しているかどうかを調べて、血管の手術が必要かどうかを決める参考にしたり、手術後の効果をみたりします。脳腫瘍、てんかん、外傷などにおける局所脳血流の異常もわかります。また痴呆がある場合には、それが脳血管障害によるものか、アルツハイマー型のものかなども血流異常のパターンからわかるようになってきました。
血流の他に神経細胞にいろいろな情報を伝達する物質を受け取る仕組み(受容体)の分布を画像にする新しいくすりも開発されています。神経疾患を含めたいくつかの病気で、受容体の分布が変化していることがわかっています。脳の形態の変化よりも代謝などの機能低下が先にくることが多く、早期診断に役立つのではないかと研究されています。
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Q12 核医学検査には他にどのようなものがありますか?
Answer 他にも多くの病気の診断に核医学検査が使われています。
肺塞栓の疑い→肺の核医学検査
肺塞栓症(はいそくせんしょう)は足の静脈にできた血栓(血液の一部が固まったもの)が流れに乗って心臓を通過し、肺の血管につまる病気です。欧米で多い病気ですが、最近は日本でも増えてきています。症状は突然に胸の痛みや息苦しさを訴えます。この肺塞栓症の診断には肺血流シンチグラフィが大変役に立ちます。この検査はアイソトープをつけた粒子を注射することにより行います。肺の血管のつまっているところにはこのくすりは流れていかないので肺塞栓の部分が欠損像(抜けた像)になります。
甲状腺の腫れ→甲状腺の核医学検査
甲状腺の病気には、バセドウ病(甲状腺機能亢進症)、橋本病(慢性甲状腺炎)、甲状腺腫瘍などが知られています。特徴的な痛みのでる亜急性甲状腺炎という病気もあります。いずれの場合にも核医学検査はよく行われます。ヨウ素のアイソトープをカプセルの形で服用して検査をすると、バセドウ病ではこのアイソトープが強く甲状腺に集まりますが、亜急性甲状腺炎ではまったく集まりません。甲状腺腫瘍の疑いがあるときにはタリウム-201というアイソトープを注射して検査をします。このくすりは甲状腺腫瘍によく集まり、この検査を行うと、悪性腫瘍(甲状腺がん)と良性腫瘍との区別がある程度つきます。
腎臓の働きが悪い→腎臓の核医学検査
腎臓は体の中の水分や塩分を調節する大切な役目をもっています。その働きが悪くなると体がむくんだり、血圧が高くなったりします。腎臓は左右2個ありますが、腎臓から排泄される性質をもつアイソトープを注射しその排泄の状態を左右見比べることにより、どちらの腎臓がどれくらい悪いかを知ることができます。また腎臓移植後の腎機能を知るには副作用のない核医学検査が特に有効です。
その他いろいろな病気に対して
肝臓の働きが悪い場合の肝臓の核医学検査、甲状腺の病気の診断や治療、クッシング病や褐色細胞腫といわれる副腎の病気には副腎の核医学検査などが多く行われています。また消化管から出血がある時や蛋白がもれる時の消化管の核医学検査など、多くの臓器の働きや病気について核医学検査は広く行われています。
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Q13 PET(ペット)検査を新聞やテレビで見かけたことがあります。PET検査ってなんですか?
Answer 最近PET(ペット)とか、ポジトロンCTと呼ばれる検査が一部の病院で行われていますが、これもアイソトープを使う核医学検査の一つです。まだ全国でもごく限られた病院でしか行われていない特殊な検査ですが、脳や心臓の働きを調べたり、がんの病巣を細かく探る精密検査として利用されています。
ふつうのアイソトープの検査とどこが違うのですか?
PET検査では、酸素、炭素、窒素などのアイソトープを使って検査をします。これらのアイソトープはポジトロン(陽電子)と呼ばれる放射線をだすのですが、アイソトープの寿命がとても短いのが特徴です。放射能が半分に減る時間が最も短いものですと2分、比較的長いアイソトープでも2時間しかありません。これぐらい寿命が短いので、それぞれの病院の中でサイクロトロンという装置を使ってアイソトープを作っています。作られたアイソトープはすぐになくなってしまうので急いで検査をする必要がありますが、検査そのものはふつうの核医学検査とあまり変わりません。
どんな利点がありますか?
酸素、炭素、窒素などは私たちの体を構成している元素です。そのアイソトープで印をつけたブドウ糖、脂肪酸、アミノ酸、一酸化炭素などを注射したり吸入すると、これらの元素で目印された酸素やブドウ糖、脂肪酸、アミノ酸などのいろいろな物質がどのように使われているかを輪切りの断層像として撮影できます。そこで脳や心臓等の働きを探ることができる特徴があります。例えば、痴呆で脳のどの部分の働きが落ちているとか脳卒中や心筋梗塞などで血管がつまって、血液が流れにくくなった時に、その部分がどの程度生きているかを調べるのに役立ちます。
どこでPET検査が受けられますか?
PET検査はアイソトープの製造に多くの費用がかかるので、実施できるのは日本全国で20数ヶ所しかありません。現在のところ一部の検査についてのみ健康保険での診療が認められています。また大学病院等では、高度先進医療として行われているPET検査もあります。
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Q14 バセドウ病で抗甲状腺薬を服用していたのですが、薬の副作用があり、アイソトープ治療をすすめられました。
アイソトープ治療とはどのようなことをするのですか?
Answer バセドウ病にはどんな治療法がありますか?
甲状腺がホルモンを必要以上に作りすぎる病気がバセドウ病です。このバセドウ病の治療には(1)抗甲状腺薬の服用、(2)アイソトープ治療、(3)手術の三つがあります。アイソトープ治療は、「放射性ヨウ素」というアイソトープを中に封じ込めたカプセルを1回内服するという簡単な方法です。
放射性ヨウ素とは?
甲状腺は海藻類などに多く含まれているヨウ素から甲状腺ホルモンを作ります。このヨウ素の仲間に放射線をだすヨウ素があり、「放射性ヨウ素」と呼ばれます。「放射性ヨウ素」を内服すると、甲状腺は放射線を出さないヨウ素と区別できないため「放射性ヨウ素」は甲状腺に集まります。「放射性ヨウ素」から出る放射線には、その影響が甲状腺にしか及ばないという特徴があります。このために甲状腺だけが壊され、その結果、作られる甲状腺ホルモンの量は少なくなります。
治療の効果は?
確実にバセドウ病を治すことができます。治療効果は「放射性ヨウ素」の服用量と甲状腺の放射線感受性によって決まります。患者によっては効果が不充分なために2度、3度と治療を繰り返す場合があります。抗甲状腺剤治療と異なり、速やかに甲状腺の腫れを小さくすることができます。
副作用は?
アイソトープ治療により甲状腺の機能が抑えられるため、治療後年数が経つにつれて、甲状腺ホルモンの足りない甲状腺機能低下症になる人の割合が増えます。この場合には甲状腺ホルモン剤の服用が一生必要になりますが、甲状腺ホルモン剤には副作用はなく、抗甲状腺薬でバセドウ病の治療を続けるよりもはるかに体の管理が簡単です。
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Q15 やっぱり「放射能」と聞くと恐ろしい気がするのですが、核医学で受ける検査に危険はないのでしょうか?
Answer 日本人は核とか放射能と聞くと、恐いと思うのが普通ですので、無理もありません。我々は広島、長崎の原爆の体験からその恐ろしさを知っているからでしょう。しかし、私たちの日常生活においても、わずかですが天然の放射線を受けています。医療においても放射線や放射能を使います。
自然から受ける放射線とは?
私たち人類を始めとし地球上の生物はみんな放射線のある環境で生活し、進化してきました。たとえば、大地はいろいろなアイソトープを含んでいて放射線をだしています。ジェット機の中では、上空に行くと放射線の一種である宇宙線が強くなります。身体の中にもいろいろな天然のアイソトープを含んでいます。これらをすべて総合すると、人の身体は平均して1年に約2.4ミリシーベルトの放射線を受けています。また集団検診による胸のエックス線撮影では1回あたり約0.3ミリシーベルトの放射線を受けます。
医療における放射線の影響は?
医療においても放射線や放射能を使う放射線医学とか核医学の分野があります。放射線の影響については、放射線治療の成績や極端な場合は広島や長崎の被爆者のデータ、そして多くの動物実験から国際放射線防護委員会が詳細な検討を行っています。これらの検討に基づいてくすりに目印をつけるアイソトープの種類や量を決めています。アイソトープは短時間に自然に崩壊して、短時日で放射能がほとんど消失するものを選んでいます。くすりの量は検査に必要とするだけの微量です。検査によって患者さんの得る利益の方が放射線の危険よりもはるかに大きいので、医療で受ける放射線の量に限度は設けていません。
核医学検査では副作用がないのですか?
目印に使っているアイソトープはわずかですから、それによる影響はこれまでに1件も報告されていません。くすりとしての副作用は2、3ありますが、これは10万人に約1.3人の割合です。この割合もくすりの品質管理が行き届くようになって、年々減少しています。心臓の動きを調べたり、腎臓の機能を検査するときには検査の前や途中で別のくすりを注射したり、飲む場合があります。その場合にこのくすりのために心臓がドキドキすることもありますが、医師が常に身体の状態をチェックしながら検査しますから心配はいりません。
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Q16 核医学検査は子供でも受けられますか?また、妊娠していると思われる女性の場合はどうでしょうか?
Answer 核医学検査は病気の子供にとっても有用な検査として世界的に広く行われています。歴史的には1941〜42年にアメリカで甲状腺疾患の少女の放射性ヨウ素の甲状腺摂取率の測定が行われたのが、子供に対する核医学検査の最初だといわれています。それ以来、50年以上にわたって核医学は子供の病気に対する診断に用いられてきました。
子供では?
子供は大人を小型にしたものではないといわれていますが、子供の病気を小児科の先生が診るように核医学にも小児核医学という分野が世界的に確立しており、子供に安全な方法で行っています。ことに小児核医学は1964年頃から、テクネチウム-99m(半減期6時間)がヨウ素-131(半減期8日)に代わって放射性医薬品の主流を占めるようになり、核医学検査による子供に対する放射線の影響がほとんどないといわれるようになってから急速に進歩してきました。
小児核医学の特徴は病気の検出率が非常に高く、検査によっては90%以上の診断率があるとトロントの病院では報告しているくらい、役に立つ検査とされています。ことに子供特有の病気の中には早期に診断をして治療を行うことにより知能への影響を防いだり、早く診断をして手術することが必要な病気などに核医学は利用されます。またいろいろな子供の病気の治療経過をその臓器の機能を中心にしてみてゆくことができるなどの特徴があり、子供にとって有益な検査となっています。
検査としては、子供といっても生まれて間もない2〜3キログラムの新生児から、大人とほとんど同じ体格をした学童まで幅広く、その体格には大きな差がありますが、使うくすりは年齢や体重に応じた量が用いられていますので心配はありません。検査に用いるカメラは大人用のものですが、像の拡大を行ったりして診断に充分役立つ像を得る工夫がされています。
妊婦では?
子供とは異なりますが胎児に関係するものとして、妊娠していると思われる女性の核医学検査はできるだけ避けるのがよいのは当然ですので、検査予約の時に必ずお話しください。しかし万一気が付かないで検査を受けてしまった場合も心配はありませんが、次のQ17を参照にしてください。
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Q17 核医学検査を受けましたが、放射能が心配です。子供ができなくなることはないですか?
Answer 男性の場合も女性の場合も、核医学検査を受けたことが原因で子供ができなくなることはありません。また核医学検査を受けたときに仮に妊娠していたとしても、核医学検査で受けた放射線が原因で胎児に影響が現れることもありませんので心配いりません。
不妊についての情報は大変豊富です。子供ができない、あるいは子供ができにくいことを不妊といい、放射線を受けたことが原因でおこる不妊を放射線不妊といいます。放射線不妊は、多くの人々が心配する影響の一つですが、放射線不妊についてはこれまでの豊富な経験があります。1950年代後半までは、わが国でも治療の目的で女性の卵巣に放射線を照射し、意図的に放射線不妊をおこす治療が行われていたからです。放射線不妊に関する人についてのデータが豊富ですから、どの程度の放射線を受けると不妊になるかということがよくわかっています。
放射線不妊が発生する線量と核医学検査の関係は?
卵巣あるいは睾丸に数百ミリグレイ以上の放射線を受けた場合には、一時的に子供ができにくくなることがあります。永久に子供ができなくなるのは、卵巣や睾丸に数千ミリグレイ以上の放射線を受けた時です。卵巣あるいは睾丸に受けた線量が、これよりも低い場合には不妊がおこることはありません。核医学検査の種類によって卵巣や睾丸の受ける線量は異なりますが、どのような核医学検査でも卵巣や睾丸の線量が百ミリグレイを越えることはありません。したがって核医学検査が原因で不妊になることはありません。
胎児への影響は?
核医学検査が行われたときに妊娠しておりますと胎児が放射線を受ける可能性があります。しかし胎児に奇形や、大脳の発達の遅れがおこるのは、胎児が百ミリグレイ以上の放射線を受けた場合です。胎児の受ける線量は、核医学検査の種類や妊娠の時期によって異なりますが、いずれの検査の場合も胎児の線量が百ミリグレイを越えることはありません。
したがって仮に妊娠中に核医学検査を受けたとしても胎児に奇形などの影響が発生することはありません。
放射線に関係ない不妊の頻度は?
放射線を受けたかどうかに全く関係なく、子供が欲しいと思っている夫婦の約10%程度はいろいろな原因で不妊であると推定されています。
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Q18 核医学ではどうして1ヶ月の間に何回も検査したり、また2日後に来院したりすることがあるのですか?
Answer これには二つの理由があります。一つは種類の異なったくすり(Q4参照)を使って異なる臓器の検査をする場合と、もう一つは種類の異なったくすりを使って同じ臓器の異なる機能検査を行う場合です。
異なる臓器の核医学検査をする場合は?
核医学検査は多くの病気、多くの臓器の診断に用いられています。従って腫瘍や炎症の存在場所や、がんの骨転移を探したりするのに、異なったくすりを使って異なる臓器の検査を行うことがあります。例として、主治医ががんの存在を疑い、骨転移の可能性を否定するために骨シンチグラフィとガリウムシンチグラフィ(Q8・9参照)を依頼した場合を挙げます。前者は1日で検査ができますが後者は注射をする日とその2〜3日後の検査をする日と2回来院しなければなりません。2つの検査をするのに最低2回、場合によっては3回来院することもあります。
同じ臓器の核医学検査をする場合は?
心臓の核医学検査を例にしますと、心臓のポンプ作用を調べる検査と心筋の血流の状態や心筋の脂肪酸代謝や交感神経支配などを調べる検査など、数多くの検査があります(Q10参照)。従って、2種類以上の検査を行う場合には1日ではどうしても検査ができず、やむを得ず何回も来院してもらうようになってしまいます。
ひとつの核医学検査は1日で終わるのですか?
多くの検査は1日で終わるのですが、一部の検査は翌日、あるいは2日あるいは3日後にもう一度来院してもらうこともあります。特に副腎の検査などはそのアイソトープの半減期から注射後数日してから撮影する場合があります。
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Q19 核医学検査ではどのような人が働いており、どんな仕事を分担しているのでしょうか?
Answer 検査を受けるときに働いているのは、主として医師と放射線技師です。患者さんの検査の指示はいろいろな診療科からだされますが、検査に用いるくすりを選んだり、注射をしたり、もっとも有効な検査方法を細かく指示をしたりするのは、核医学を専門とする医師が行います。
検査方法が決まり、くすりが投与された後にガンマカメラという装置を使って写真を撮るのは、主に放射線技師が担当します。病気診断に最適の写真を的確に提供するのが放射線技師に課せられた役割です。検査が完了して最終的に診断するのは医師ですが、一連の検査は医師と技師が協力して行っています。「医師と技師の連携」がうまく行って初めて適切な検査、診断が可能です。
核医学の専門医師とは?
核医学を専門とする医師は病気についてだけでなく、放射能の安全な取り扱いや用いるくすり、放射線の測定技術についての専門的知識を持っています。日本核医学会では充分な専門知識を有し、試験に合格した人を学会認定医として、患者さんが安心して検査を受けられるよう努めています。現在わが国には807名の認定医がおり、日本医学放射線学会の専門医も核医学試験をパスしています。しかし正しい核医学の普及にはまだ充分ではありません。検査の内容によっては、その疾患に深い知識を持った医師、例えば脳の検査であれば脳外科や神経内科の専門の医師が、心臓の検査であれば循環器の専門医が立ち会うこともあります。
核医学検査を行う技師とは?
技師はエックス線検査(レントゲン撮影)と同じように専門的な知識を持っています。それは放射性医薬品が非常に短い寿命で減り続けるため、最も適切な時間に、より正確に位置を決めて病気の診断に役立つ像を撮影する技能が要求されるからです。さらに放射線管理や取り扱いの知識も必要です。技師は検査装置を常に最良の状態に維持し、最良のデータを提供して正しい診断が行えるように日夜努めています。
看護師さんは?
ほとんどの検査は、患者さんにとって辛いものではありませんが、介助のために、看護師がついています。
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Q20 核医学検査の段取りはどのように行われているのですか?
Answer 検査の予約、前処置、検査実施、結果のお知らせなどは他の検査とよく似ています。
予約は?
核医学検査は原則として予約検査です。用いる放射性医薬品に半減期があり、その有効期限は当日限りのものが多いためです。予約は他の検査と同様に主治医の先生から依頼を受ける形になっております。
検査の前処置は?
多くの核医学検査では前処置が不用です。しかし検査の性質上、目的の臓器にくすりが集まるまで2〜3時間待っていただいたり、朝の絶食、服用中のおくすりを検査終了まで一時中止する場合もあります。例えば甲状腺の検査では数日前から検査終了まで1〜2週間ですが海藻など、ヨウ素摂取を禁止されることがあります。予約前によく聞いておきましょう。
核医学検査の方法は?
多くの場合静脈注射か、あるいはカプセルを服用します。検査は専用ベッドの上でCT検査、MRI検査と同じような仰向けの体位で行われます。検査で来院されてから1〜2時間で終了する場合が多いのですが、中には1日または2〜3日後にもう一度来てもらうこともあります。検査終了後は核医学検査施設のトイレで排尿してから帰ってください。
検査の後では?
放射線による副作用はありません。しかし、くすりによるものや、注射自体による影響などが、まれに(10万人に1.3人程度)報告されています。もし検査途中で気分が悪くなったり、胸が苦しくなることがあれば、遠慮なく医師、技師、看護師に知らせてください。
核医学検査の結果は?
画像が再構成された後に核医学の専門の医師が診断を致しますので、結果の説明は後日になります。
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大阪大学大学院医学系研究科 放射線統合医学講座 核医学講座 / 大阪大学医学部附属病院 核医学診療科・放射線部