大阪大学大学院医学系研究科 核医学講座 / 大阪大学医学部附属病院 核医学診療科・放射線部 Department of Nuclear Medicine and Tracer Kinetics, Osaka University Graduate School of Medicine
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海外留学記
RSNA2011学会レポート
 
   
RSNA 2011 Annual Meeting
November 27- December 2, 2011
Chicago, USA
渡部直史
(医員・大学院博士後期課程、
免疫学フロンティア研究センター RA)

【核医学(PETを中心に)・分子イメージングの最新動向】

個人的には4年ぶりの参加であり、昨年のRSNAとの比較はできないが、核医学と分子イメージングのセッションを中心に参加した印象をレポートさせて頂きたいと思う。
RSNA2011の核医学関連の発表は、口頭・ポスターを合わせて213演題であり、昨年の165 演題よりも増加した。また分子イメージング関連の発表は、口頭発表 ・ ポスター発表合わせて125演題であり、こちらも昨年の73 演題より増加した。両者にオーバラップしている演題もあるが、これらの分野への関心の高まりを反映しているものと考えられる。

「核医学」
Multimodality imagingのセッションでは複数のモダリティを組み合わせるだけでなく、複数のPET薬剤を組み合わせて評価した演題が報告されていた。J. M. Hoffmanらは肺癌の代謝および血流をF18-FDG, F18-FLT, O15-H2Oの3種類のトレーサーで評価していた。またN.S.vandenBergらは大腸癌細胞においてメトホルミン投与24時間後にF18-FDGの集積増加、F18-FLTの集積低下を認め、両者に解離があることを報告した。P. Heidariらはソマトスタチン受容体発現腫瘍に対するOctreotideの治療効果判定においてGa68-DOTATOCとF18-FLTの両者での評価を報告していた。

治療効果判定の指標はSUVmaxが大多数であったが、MTV (metabolic tumor volume)やTLG (total lesion glycolysis)がポスター発表の一部で用いられており、Dr. R.Wahlが提唱したPERCISTを用いた治療効果判定もいくつか報告されていた。悪性腫瘍以外ではサルコイドーシスや関節リウマチなどの全身評価・治療効果判定もポスター発表にて報告されていた。

またdiscussionではおよそ2cm以下の小さな病変では集積の過小評価に対する部分容積効果補正が必要という指摘がよく聞かれた。部分容積効果に伴う過小評価は核医学の大きなテーマであるが、小病変のサイズを正確に計測して精度良く補正することが今後は必須になると思われる。

PET/MRのセッションは早朝7時15分からの開始であったが、会場は満席であり、参加者の関心の高さが伺えた。大阪大学・神戸高専で共同開発したライトガイド方式の小動物用PET/MR装置も紹介されていた。また米国では需要の多い乳腺専用のPET/MR装置も開発中とのことであった。
Muenchenからの発表では脳神経イメージングへの応用例が報告され、PET/MRのメリットとして以下の3点を挙げていた。(1) motion correction: 安静を保てない患者においてリアルタイムに動きのぶれを補正、 (2) partial volume effect correction: 脳萎縮に伴う集積の過小評価を標準脳に変換して補正、(3) evaluation of the BBB (blood brain barrier) disruption: 腫瘍へのトレーサー集積においてBBB破壊の影響を造影MRから補正。しかし、(1)を除いてPET/MR同時収集である必要性は低く、検査時間の短縮などを除き、日常臨床で本当に同時収集が必要であるのかは依然として疑問であるように感じた。個人的には麻酔下の小動物や薬剤負荷後の血流など時間経過で変わってしまう状況に同時収集のメリットがあるように感じた。Oncology領域へのPET/MR応用については腹部・頭頸部領域ではfusion画像にて正確な病変同定が可能になるケースが紹介されていた。しかし、MRIでは肺結節の描出が困難であることも報告され、新たなシークエンス開発の余地はあるものの、現在のPET/CTをreplaceできるものではないと感じられた。また腸管や膀胱など時間経過で変わるものは同時撮像が有効との説明もあったが、並列型で十分と思われた。
昨年のRSNAにて発表され話題となった一体型PET/MR (Biograph mMR, Siemens社)とPET/CTとの全身画像の比較も報告されていた。本装置での吸収補正は2-point Dixonシークエンスによる全身MR画像からatlas方式で行われているが、視覚的には従来とほぼ同等のPET画像であった。

「分子イメージング」
今年からNeuroscienceのセッションが新しく始まり、多くの参加者が出席していた。
マウス脳梗塞モデルのpenumbraにおける糖代謝の亢進をPET/MRIにて評価した報告、Sigma-1 receptorのトレーサーで神経因性疼痛をPET/MRIにて定量評価した報告、特異的に活性化ミクログリアに集まるMR造影剤とPETリガンドのPK11195の集積と比較した報告などが印象的であった。小動物実験での発表が大部分であったが、その多くがPETとMRIの両方のモダリティを用いており、いずれかだけの発表ではインパクトに欠けるように感じた。
MR Imagingのセッションでは小動物においては超高磁場装置での高解像度の画像が多く紹介されていた。またマンガンやリポソームなどの造影剤を用いた研究も報告されていたが、多くは造影前後や左右の相対評価のみであり、高磁場MRIにおいても絶対値での定量評価は難しい印象であった。

「まとめ」
Multimodalityイメージングがどんどん進化している現状であるが、PETを中心としたnuclear medicineはin-vivo代謝イメージングおよび定量評価において今後も大きな存在であり続けると感じた。

   
 
 

第21回日本脳循環代謝学会総会にて

       
       
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