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海外留学記
PSMR2012学会レポート
 
   
PET/MR and SPECT/MR: New Paradigms for Combined Modalities in Molecular Imaging Conference
26-30 May 2012
Isola d'Elba, Italy
渡部直史
(医員・大学院博士後期課程、
免疫学フロンティア研究センター RA)

PET/MR・SPECT/MRの国際学会(PSMR2012)が5/26-5/28にイタリアのエルバ島で開催されました。本学会は2年前にドイツのユーリッヒで行われたPET/MR研究会をさらに発展させたものでヨーロッパを中心に世界中から150人以上の方が参加されました。非常に景色のきれいな離島のリゾートで開催されたこともあり、多くの人が同じホテルで食事を共にし、世界中の研究者と交流を深め、仲良くなることができました。

発表演題についてはハードウェアや方法論についての話が中心であり、実際のアプリケーションの紹介は少なかったという印象です。
まずハードウェアに関してですが、一番の話題であるMR対応のPET検出器はほぼSi-PM(silicon-photomultiplier)一色と言ってもいいくらいの多くの演題があり、現状ではしばらくSi-PMが主流になるものと思われました。Si-PMの特徴としては何と言ってもレスポンスの早さが挙げられます。従来のAPDでは不可能であったTOF(time of flight)による再構成が可能になることから、時間分解能を意識した発表が数多く見られました。また検出器の性能だけでなく、多くの研究チームがPET検出器の精度を上げるためにMRとの影響をかなり細かいレベルで評価しているように思われました。
その他のMR対応検出器ではCdTe半導体検出器を用いた14.1T MRIでの同時撮像の報告(米Illinois大学)がありました。この半導体検出器は分解能は0.5mmFWHMと非常に素晴らしいのですが、やはり価格が高いこと、構造が複雑であること、TOFが使えないこと(時間分解能が良くても10ns程度以上)が問題のようでした。
また乳腺用のRF coilの下にPET insertを入れることで同時撮像を可能にしたMR-PEMも紹介されていました(米Brookhaven National Lab)。既存のMRIでも使用可能であることから、普及のしやすさを強調されていました。
我々のグループの発表は山本誠一先生(名古屋大学)との共同研究である「小動物用MRIでのSi-PM PET/MR同時撮像の評価」でしたが、同時撮像の評価についての改善点も多く認識させられ、今後の課題となりました。

今回の学会の最大の目玉の発表は何といってもPichler先生(独Tubingen大学)のアプリケーションの話でした。以前から技術的なchallengeが先行し、とくに臨床面での応用が課題となっていたPET/MRですが、そのkiller applicationを紹介するという難しい演題を発表されました。まず最も有用性が高い分野として小動物によるpreclinical imagingを挙げられました。ラット脳に電極を埋めこんでO-15水PETとfunctional MRIを比較するなど数多くのPET/MR同時評価の研究を具体的に紹介され、世界をリードする存在であると実感しました。また臨床面で有用性が高い適応として、脳、前立腺、小児を挙げられていました。脳についてはこれまでも有効なapplicationが報告されていましたが、前立腺は放射線治療計画とのcollaboration、小児は低被曝・検査時間の短縮という点で必要性が高いとのことでした。また今後の課題としてMRIの感度向上が必要であり、hyperpolarized MRIがこれから重要になってくるとコメントされていました。

臨床PET/MR関連の演題ではやはり最大の問題点であるattenuation correction(AC)の発表が目立ちました。現在のMR画像からのsegmentationによるMR-ACではCT-ACと比較して概ね良好な相関を示しますが、segmentationに含まれない骨の集積を過小評価することや肺のsegmentationがうまくいかない場合があることが報告されていました。またmotion correctionやpartial volume correction(PVC)についての演題発表もありました。PVCについては同時撮像が必須というわけではありませんが、一体型と並列型のいずれが良いかという議論はもはや見受けられませんでした。一体型装置 (SIEMENS mMR) が発売されている現在ではregistrationがより正確な同時撮像に越したことはないという様子でした。

またDual PET/MR Imaging probeのセッションでは、同時評価の有用性が期待されるdual probeに関する演題がいくつか報告され、MR造影剤からarterial input functionを得る方法なども紹介されていました。ただ問題点としてPETとMRIの感度の違いによる投与量の調整の必要性など課題も多く示されました。

その他にも腫瘍内のheterogeneityをPET/MRIを用いてvoxelレベルで同時評価するなど多数のapplicationに関する演題があり、今後の発展が期待されます。

このようにPSMR2012は世界中の研究者が集まった非常に有意義な学会でありました。
全体的な印象として、whole body simultaneous PET/MRが発表されて世界中で導入が始まっている現在では、同時撮像の必要性を議論する段階は越えており、まず色々とアイデアを出して使ってみようという流れを感じました。また同時にさらに精度の高いMR対応PET検出器とapplicationの開発がますます加速するものと思われました。

   
 
 

第21回日本脳循環代謝学会総会にて

第21回日本脳循環代謝学会総会にて

       
       
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