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海外留学記
学会レポート
 
   


15th International Congress on Neutron Capture Therapy
Tsukuba, Japan,
September 10-14, 2012

花岡宏平
(大学院博士課程)

国際中性子捕捉療法学会について
第1回目の本大会は1983年にアメリカのマサチューセッツ・ケンブリッジで開かれている。原子炉工学・物理学・化学・薬学・生物学・医学を専門分野とする研究者が中性子捕捉療法の推進を目的として集い議論をする場としてほぼ2年間隔で開催され,うち6年に1度は日本で開催されながら今回で15回目を迎えるということである。

中性子捕捉療法とは
ホウ素10核種は、中性子捕捉断面積が比較的高いため、中性子照射によって以下のような反応を示す。
10B + 1n → 7Li + 4He
上記の反応によって発生する(反応式の右辺)7Li や4Heは、高エネルギーでありかつ組織中では数ナノメートルしか進行しない特徴がある。この原理を利用することでガン細胞を選択的に破壊することが期待されている。
中性子捕捉療法の成功には@ホウ素化合物を腫瘍にどのように取り込ませるか?A正常組織を含めた組織中のホウ素濃度をどのように把握するか?B中性子をどのように照射するか?が重要な要素として挙げられる。この3点を中心に参加報告をさせていただく。

ホウ素化合物を腫瘍にどのように取り込ませるか?
本大会の薬剤分野における発表の多くは薬剤送達システム(ドラッグ・デリバリ・システム)に関するものであった。現在中性子捕捉療法においてはBPA(p-boronophenylalanine)やBSH(dodecaboranethiol)の2種類が利用されているが、当面はこれらの2製剤にて臨床が行われるのではないかという印象を受けた。一方で塞栓などの手技によって腫瘍近傍にホウ素薬剤を留める報告があったが、疾患と部位によっては有効であると感じた。

正常組織を含めた組織中のホウ素濃度をどのように把握するか?
前述のBPAに18Fを標識した18F-FBPAを用いたPET検査は中性子捕捉療法において体外的にモニタリングできる手法として活用されている。今回我々は、正常ラットにおける各組織のホウ素濃度を大阪大学PET分子イメージングセンターのiPET/MRIによって測定した結果を発表した。イタリアの研究グループも同様の研究を行っているようで、現在広く用いられている腫瘍/正常比に加え、定量値を用いた判断方法の必要性について議論することができた。

中性子をどのように照射するか?
これまで本邦においては、中性子を照射するために原子炉が用いられてきた。中性子線の線質や強度は安定し、最近では熱速中性子の利用により患者の負担の少ない照射が可能となっているが、一方では法規制や医療機関からのアクセスなどの問題点がある。今回の大会期間中に、東海村に建設中の中性子捕捉療法施設を見学する機会を得た。ここで採用されている加速器は原子炉に比べると遥かに小型で、容易に起動停止が可能であるといった面で安全であるとの説明を受けた。PET検査で用いられているサイクロトロンと同様、病院内にも十分設置可能であると感じた。

最後に
今回の学会には20以上の国と地域から250名以上の参加者があったと聞いた。様々な分野の研究者が一つの目的に対して共通言語を用いて議論することの重要性を再確認できた。私が当講座で行っている実験においても同様のことが当てはまり、多くの先生方の協力無しでは行うことができない。今後も中性子捕捉療法に対する知識を深め、いつかは貢献できるよう努力したい。  

会場のつくば国際会議場

懇親会では「能」が演じられた

発表前の筆者

2015年の臨床利用へ向け建設中の中性子捕捉療法施設内に設置された加速器

   
 
 

 

 

       
       
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