大阪大学大学院医学系研究科 核医学講座 / 大阪大学医学部附属病院 核医学診療科・放射線部 Department of Nuclear Medicine and Tracer Kinetics, Osaka University Graduate School of Medicine
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研究内容(基礎研究)
分子イメージング用PET装置の開発

分子イメージングとは,生体内のタンパク量や酵素活性,遺伝子の発現レベルなどを in vivo で可視化する技術である。個体レベルでは、生体内分子に特異的に結合する化合物(プローブ)をポジトロン放出核種で標識し、PETでその空間分布を体外計測することが可能である。PETは三次元画像情報を定量的かつ高感度に測定できることが利点であり、生体組織内のプローブをピコモル濃度レベルで検出できる。脳の病態(統合失調症やアルツハイマー型認知症などの精神疾患、脳血管障害を含む神経変性疾患など)において重要視される様々な因子と細胞情報伝達、特異的物質代謝について、病態時のそれぞれの変化を探ることによって、病態の分子動態的把握、治療候補薬剤の効果について検討できる。

現在、FDG用いたPET癌診断の普及により、欧米をはじめ日本でもPET施設が急速に増大している。このような背景をうけ、各PET装置メーカーにより、LSOやGSOなどの新しい検出器を用いた三次元データ収集専用のPETが開発されてきた。しかし、これらの装置はFDG-PET癌診断に特化した装置であり、脳分子イメージングにとっては必ずしも最適とはいえない。これからの脳分子イメージングには、今まで観察できなかった脳内での分子や細胞の挙動を捉えるために、分子イメージング機器の高感度化・高分解能化と、様々な次世代の分子イメージングやそれらの融合による複数分子同時イメージングの開発が要求される。

東北大学大学院工学研究科量子エネルギー工学専攻石井慶造教授のグループと大阪大学核医学講座との共同開発により、世界で初めて1mm以下の高空間分解能を持つ実用型動物用半導体PETの開発に成功している。テルル化カドミウム(CdTe)半導体を用いて、1.0mm×1.1mmの検出面で奥行き5mmのガンマ線検出器を開発し、5120個の検出器をリング状に2段重ねで並べ、さらに検出器一個々にIC増幅器1個を繋ぐ、オール半導体システムすることにより、1mm以下の分解能を得ることに成功している (Ishi K et al., Nucl. Instr. and Meth. 2007) (図1) 。これにより、アルツハイマー病を発現するような遺伝子改変マウスにおけて、脳微小構造内でのわずかな変化を検出することも可能になると予測される。脳微小構造の同定は、脳高次機能の評価や遺伝子治療技術の開発・新薬開発にも貢献できると考えられる。近年、マウスでのPETを用いた脳ブドウ糖代謝の定量測定も可能であり、このような高分解能PETを用いた脳局所の糖代謝評価が、ヒトと同様に定量測定できることが望まれる。

図1
図1.動物用半導体PET装置(左図)によるラット脳の18F-FDG画像(右図)

PET画像で機能的に変化した脳微小構造が、解剖学的にどこに位置するか特定するため、PET/CT、SPECT/CTやPET/SPECT/CTなどの機能・形態融合型画像診断装置の開発や実用化が進んでいる。近年、PET/MRI一体型撮像装置の開発が海外で進められ、我々も神戸市立工業高専、山本誠一教授と日立金属NEOMAXとの共同研究でPET/MRIの開発を行っている。PET装置にはMRI高周波磁場の影響を受けない光ファイバーを、MRI装置には、周囲への漏洩磁場が小さい永久磁石を利用することにより(図2)、PET/MRIでのラット脳イメージングに成功している(Imaizumi M et al., Jpn J Radiol. 2009)。現存の分子イメージング機器の限界を超える新しいモダリティになりうるものと推測される。

図2
図2.動物用PET/MRI装置

半導体PETやPET/MRに比較し分解能は劣るが、浜松ホトニクスで開発された高感度・広視野・高スループットの特長を持つプラナーイメージング装置(PPIS)は、プローブを用いて小動物を非侵襲に物質の体内における動態イメージを計測することができる(図3)。フォーカルイメージとして計測されるため、PETによる断層イメージと比べ、画像化が容易であり、少ない投与量でもS/N比に優れた画像および短時間での動態画像の計測が可能である。我々は抗てんかん薬として臨床応用されているフェニトインを11Cで標識し、PPISを用いたフェニトインの動態解析に成功し、新規薬剤の体内動態評価にPPISが有用であることを報告している(Hasegawa Y et. al., Ann. Nucl. Med. 2008)(図3)。今後、PPISは医薬品候補化合物の選択(スクリーニング)、臨床前段階での評価に有力なモダリティになる可能性がある。

図3
図3.動物用プランナーイメージング装置(左図)と11C-フェニトインの体内動態(右図)
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