大阪大学大学院医学系研究科 核医学講座 / 大阪大学医学部附属病院 核医学診療科・放射線部 Department of Nuclear Medicine and Tracer Kinetics, Osaka University Graduate School of Medicine
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研究内容(基礎研究)
生理学的研究
脳エネルギー代謝

脳の機能は、個々の神経細胞の電気的興奮がその源になっている。神経細胞の電気的興奮は、シナプスでの化学的伝達により、多くの神経細胞の興奮や抑制を引き起こし、最終的には、統合されて一つのアウトプットになる。神経細胞の静止膜電位と脱分極は、細胞膜のイオン輸送によって行われ、このために多量のエネルギーが消費されている(1)。覚醒時には脳組織1g当たり1分間に約15mmolのATPが消費され、これは肝臓や心筋のエネルギー消費に相当する量である。このような大量のエネルギーは、脳では、ブドウ糖の酸化的リン酸化によって産生される。1molのブドウ糖は6molの酸素によって酸化され、38molのATPが生成される。脳への酸素供給が絶たれると、嫌気性解糖により1molのブドウ糖からは2molのATPが産生されるのみで、エネルギー産生の効率は5%に低下してしまう。脳にはエネルギーの貯蔵が少ないので、正常の機能を営むためには、脳循環により、代謝基質と酸素が充分に供給される必要がある。生理的条件下では、脳血流量、酸素消費量、ブドウ糖消費量間の関係は一定しており、代謝の変化が起こると平行して血流量も変化する。図1に、positron emission tomography (PET)で測定した正常人の脳血流、酸素消費量、ブドウ糖消費量の画像を示した(2)。代謝活性の高い領域では、平行して血流も豊富で、循環と代謝のカップリングが見られる。大脳皮質の平均血流量は約44ml/100g brain/min、酸素消費量は3.13ml/100g brain/min、ブドウ糖消費量は5.17mg/100g brain/minであった。ブドウ糖に関しては、血糖値を100mg/dlとすると必要量の約10倍、酸素は、hemoglobin濃度を15g/dlとすると必要量の約2-2.5倍が供給されており、わずかな血流の低下に対してこれらの代謝基質が直ちに供給不足になることはない。すなわち、消費量に対する代謝基質の供給の予備能が備わっている。

高分解能・高感度PET装置の導入、脳血流酸素代謝測定法の改善に伴い、脳構造毎の詳細な脳エネルギー代謝解析が可能になった。アミノ酸代謝とエネルギー代謝の関連、神経細胞とグリア細胞のエネルギー代謝関連(図2)を今後検討する。

  1. Siesjo BK: Brain energy metabolism, John Wiley &Sons, Chichester New York  Brisbane Toronto, 1978
  2. Hatazawa J, et al. Measurement of the ratio of cerebral oxygen consumption to glucose utilization by positron emission tomography:its consistency with the values determined by the Kety-Schmidt method in normal volunteers. J Cerebr Blood Flow Metab, 8:426-432, 1988
図1
図1
図2
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