橋井 佳子 : 講師
宮下 恵実子 : 助教
吉田 寿雄 : 医員
松村 梨紗 : 医員
太田 秀明 : 臨床登録医、東豊中渡辺病院小児科部長
   
当グループでは、ブログにても情報を公開しております。
http://blogs.yahoo.co.jp/arekenped
相談窓口は、こちらのアドレスまで。(areken@ped.med.osaka-u.ac.jp)



[施設認定]
  日本骨髄バンク認定施設 (日本骨髄バンクホームページ
海外バンク移植認定施設
HLAミスマッチ移植認定施設
  専門医: 日本血液学会専門医(血液専門医)・指導医 1名

[臨床]
  対象疾患
  ・血液疾患(白血病、悪性リンパ腫、再生不良性貧血など)
・固形腫瘍(神経芽細胞腫、横紋筋肉腫、脳腫瘍、肝芽腫、ウイルムス腫瘍、奇形腫群腫瘍、ユーイング肉腫、ランゲルハンス細胞組織球症など)
・膠原病、自己免疫疾患
・免疫不全症

[特徴と方針]
  上記の白血病などの悪性腫瘍の子どもたちが常時20〜30名程度、入院治療を受けています。当科ではこうした悪性腫瘍の子どもたち全ての完治をめざしています。私たちは、こうした治療を受けなければならない子どもたちひとりひとりが、社会復帰し質の高い人生を送っていただきたいと願っています。子どもたちの生活の質(Quality of Life)が治療中も将来にわたっても、なるべく損なわれないように総合的にサポートする体制をとっています。
 
1)白血病
  当科は、小児白血病研究会JACLS(Japan Association of Childhood Leukemia Study;http://www.jacls.jp/)参加施設であり、同会の中央事務局がおかれています。白血病に対しては、このJACLS共通の治療を実施しています。未分化大細胞性リンパ腫などの数少ない病気に関しては、国際的な共同研究にも参加しています。予後不良例や再発例に対しては骨髄バンク、臍帯血バンク、血縁者の方からの造血幹細胞移植をおこなっています。
2)悪性固形腫瘍
  神経芽細胞腫や横紋筋肉腫などの悪性固形腫瘍に対しては、小児外科腫瘍専門医、放射線治療医と協力して治療にあたっています。

横紋筋肉腫に対しては日本横紋筋肉腫研究グループ(Japan Rhabdomyosarcoma Study Group: JRSG)に参加して共通の治療をおこなっています。予後不良と考えられる場合は自家末梢血幹細胞移植を併用した大量化学療法をおこなっています。
神経芽細胞腫に対しても小児外科腫瘍専門医、放射線治療医と協力して、強力な化学療法、手術、放射線治療を組み合わせて治療をおこなっています。予後不良と考えられる場合は自家末梢血幹細胞移植を併用した大量化学療法をおこない優れた成績をあげています。

3)脳腫瘍
  わが国において、小児脳腫瘍は白血病と並び頻度の高い疾患です。今まで手術や放射線で治療されてきましたが、化学療法をおこなうようになった草分け的な施設です。日本小児脳腫瘍コンソーシアムに参加し、より優れた治療法の確立をめざしています。脳神経外科医、放射線治療医とともに協力して集学的治療にあたっています。
4)造血幹細胞移植
  年間10〜20例前後の骨髄バンク、血縁、臍帯血を用いた同種造血幹細胞移植おこなっています。
対象は白血病のお子さんが多いですが、先天性代謝異常症のお子さんに対する移植も、当科代謝グループの先生と協力しながらおこなっています。
5)治療終了後のフォロー
  こうしたがんの子どもたちが病気を克服できたあとでも当院では引き続きフォローをしています。病気の治療や病気そのものによって体や心に障害が生じでいないか、子どもたちの成長を小児内分泌専門医とともにフォローしています。
6)このほか
  ア)緩和ケアチーム
治療や腫瘍そのものによって生じる痛みに対し、子どもであっても「痛みはがまんするものではない」との信念のもと、積極的に院内緩和ケアチームと連携をとっています。

イ)免疫治療
当院、免疫造血制御学研究室の癌ワクチン講座(http://sahswww.med.osaka-u.ac.jp/%7Ehmtonc/vaccine/index.htm)と協力して、再発したり治療に反応しない固形腫瘍・白血病の子供たちに対し、WT1ワクチンを用いた免疫療法をおこなっています。 昨年より再発する可能性の高い子どもたちに再発予防もおこなっています。

ウ)入院されたこどもたちへのケア
1:院内学校(http://www.hosp.med.osaka-u.ac.jp/home/pediatricc/cmc/school.htm
大阪府立刀根山支援学校 大阪大学医学部附属病院分教室
小学校、中学校の院内学級があり、各々、常時10人前後の児童が学習しています。気分がすぐれない、など登校できないときはベッドサイドに教師が赴いています。
2:臨床心理士
病気になってしんどいのはからだばかりではありません。心のケアもおこなっています。また患者さんのご家族、兄弟の心理的サポートもおこなっています。
3:親の会:エスビューロー(http://www.es-bureau.org
白血病など悪性腫瘍を発症した患者さん、ご家族に生じる不安やストレスなどに対応している阪大小児科・小児外科親の会です。

白血病、悪性固形腫瘍などいずれも大変な病気です。こうした病気に対するわれわれの治療に関してセカンドオピニオンの窓口を設けております。まずはメールでお問い合わせください。アドレスは、areken@ped.med.osaka-u.ac.jp です。

[癌ワクチンについて]

  小児がん患者さんにWT1ペプチドワクチンの臨床試験をおこなっております。
小児がん患者さん(20歳未満)に参加いただけるWT1ペプチドワクチン臨床試験は大きく分けて3つあります。いずれの場合でも本当にお子さまにとってWT1ペプチドワクチンが良い治療となりうるかどうか、主治医の先生とよくご相談になることが大切です。

2010年4月現在、大阪大学小児科で行っているWT1ペプチドワクチンの臨床研究をご紹介します。

 
I. 白血病などの患者さんで、骨髄移植や臍帯血移植などをうけたが再発リスクが高いといわれた患者さんに対して、WT1ペプチドワクチンで再発を予防します。
(1) 寛解導入不能であった患者さん
(2) 初回治療プレドニゾン反応不良であった患者さん
(3) 第一寛解期移植後の患者さんのうち、MLL遺伝子転座陽性、フィラデルフィア遺伝子転座陽性、予後不良遺伝子陽性、分類不能型白血病のいずれかの場合
(4) 第二寛解期以降に移植をうけた患者さん
(5) 非寛解期に移植をうけた患者さん
II. 横紋筋肉腫や神経芽腫などの悪性固形腫瘍の患者さんで、化学療法、放射線照射、骨髄移植などの移植、手術をうけたあとでMRIやCTなどで腫瘍が縮小したけれども再発の危険性が高いお子さんに、 WT1ペプチドワクチンで再発を予防します。
対象疾患:
(1) 横紋筋肉腫
 @ 初発時の病期分類で中リスク群のうち、治療終了時腫瘍の残存が疑わしい
 A 初回治療中再燃したが画像上よく反応して腫瘍がほとんどみられない
 B 再発したけれども再度治療に反応して現在では腫瘍がほとんどみられない
(2) 神経芽腫
 @ 再発例
(3) 骨肉腫
 @ 初発時転移例
 A 再発例
(4) 小児悪性脳腫瘍
 @ 高悪性度神経膠腫
 A 再発悪性脳腫瘍
(5) 肝芽腫、ウイルムス腫瘍、悪性メラノーマ
 @ 初発時転移例
 A 再発例
(6) その他の軟部組織腫瘍
 @ 初回治療にて画像上部分寛解以上を示した症例
 A 再発例
III. 小児の悪性固形腫瘍または白血病で標準的治療をうけられても十分な効果が得られなかった患者さん
    悪性固形腫瘍や白血病の種類は問いません。化学療法や放射線照射と併用はできません。

★WT1ペプチドワクチン接種をうけていただくために必要なこと(以上I, II, IIIいずれの場合でも)
(1) リンパ球の型がHLA-A2402 であること
(2) 固形腫瘍では初発時または再発時に手術で摘出された組織にWT1蛋白が発現していること
(3) 白血病では初発時または再発時に骨髄で1000コピー/μgRNA、末梢血液で50コピー/μgRNA以上の発現がみられていること
(4) 20歳未満であること
(5) 全身状態が安定していること
   (1)〜(5)を満たしていらっしゃる患者さんで、実際には臨床試験に参加していただけるかどうか、に関してはほかにも細かい条件があります。主治医の先生とよくご相談になり、主治医の先生を通じでアレ研メールアドレス areken@ped.med.osaka-u.ac.jpまでご相談ください。直接ご相談になる場合は患者さまとのご関係、病名、年齢、現在の状況をメールareken@ped.med.osaka-u.ac.jpにてお知らせください。

 (1)は血液検査でわかります。ご希望の場合は主治医の先生に希望されることをお伝えになってください。専用のろ紙を主治医の先生にお送りします。主治医の先生は血液を付着させたろ紙を阪大小児科あてにご返送いただきますと、当科よりHLA研究所に送付いたします。結果は当方より主治医の先生のご返送いたします。(2)は主治医の先生に依頼して手術で摘出された組織をパラフィン包埋からの薄切標本5枚(シランコーティングなどの免疫染色用スライドグラス)を当方へご送付していただくことになります。ご送付前に当方(areken@ped.med.osaka-u.ac.jp) へご連絡ください。白血病などの血液疾患の患者さまでは骨髄液で診断します。初発時もしくは再発時の骨髄液中のWT1mRNAが1000コピー/mgRNA以上検出された場合を対象としています。

[実績]

1.

おもな悪性固形腫瘍
 
 
現在の治療を
開始した年
治療例数
2009
2008
2007
2006
2005
神経芽細胞腫(転移例のみ)
1992
0
3
2
0
4
横紋筋肉腫
JRSGへは2005
1993
2
4
2
1
2
肝芽腫
1992
2
2
0
1
0
髄芽腫
1993
1
0
1
1
5
胚細胞腫(脳腫瘍)
1993
3
0
1
0
1
そのほかの脳腫瘍
1
0
1
1
3
   
2.
同種造血幹細胞移植(1989年から2009年12月末までの成績)
  194例に対しのべ219回施行
 
1)造血幹細胞種類別
  骨髄バンク 40例(うち国際バンク7例)
臍帯血バンク 26例
家族ドナー 128例
2)実施した疾患
  白血病
急性白血病108例、再生不良性貧血16例、代謝疾患16例、免疫不全4例、固形腫瘍8例
3)生存率
  急性白血病58例、再生不良性貧血15例、代謝疾患(生着)14例
4)その他
  骨髄非破壊的移植(ミニ移植)白血病などでも骨髄破壊的移植を受けづらい子どもたちに対してもおこなっています。
難治性固形腫瘍に対する同種造血幹細胞移植を倫理委員会の承認のもとおこなっています。