ポンペ病患者の臨床データを用いたデータマネジメント法に関する検討
1.研究の対象
2010年1月から2024年12月までに大阪大学医学部附属病院を受診したポンペ病患者の方.
2.研究目的・方法
近年,医療の発展のために,日々の診療で記録されている情報(リアルワールドデータ)の研究利用が進んでいます.特に,患者さんの数が少ない希少難病などでは,大規模な臨床試験が難しいため,実際の診療記録をもとに病気の経過を調べたり,新しい治療法の効果を評価したりすることが重要になっています.
しかし,電子カルテに記録された日常診療の情報はもともと研究目的で記録されたものではないため,研究に必要な情報が分かりにくい形式で保存されていることがあります.たとえば,診察の記録が文章で書かれていたり,検査結果が画像やPDFで保存されていたりすると,データとして使うのが難しくなります.
本研究では,ポンペ病という希少難病を対象に,電子カルテに含まれる情報を調べ,どのようにデータを収集し整理すれば研究に使いやすいデータになるかを検討します.特に,文章形式の記録をどのようにしたら数値データとして扱えるか,その際の専門家の判断の必要性などについて調査します.
本研究では,以下のように検討を行います:
- 大阪大学医学部附属病院で診療を受けたポンペ病の患者さんの過去の電子カルテの情報を使用します.
- 利用するのは,診療録,検査結果,画像,PDFファイルなどです.
- 臨床専門家と協議しながら,データの整理方法や管理方法を検討します.
研究期間:研究機関の長の実施許可日~2027 年 3 月 31 日
3.研究に用いる情報の種類
本研究では,以下の情報を用います.これらの情報は,通常の診療過程で記録されたものであり,新たに試料採取や検査を行うことはありません.
- 患者基本情報
- 治療情報
- 検査項目
生年月日,年齢,性別,身長,体重,診断日,診断方法,罹病期間,既往歴,併存疾患など
治療内容(人口呼吸補助を含む)及び治療開始日,終了日,酸素補充療法の場合,開始日,終了日,種類,投与量など
%FVC(forced vital capacity)などの肺機能検査項目,6分間歩行距離などの運動機能検査項目,心機能検査項目,認知機能検査項目,歩行状態(補助なしで歩行可能,杖または歩行器が必要,車椅子が必要),クレアチニンキナーゼ,尿中Hex4,QOL,hand-held dynamometerによる筋力評価,GSGC (Gait,Stairs,Gower,Chair) スコアなど
利用を開始する予定日:2025年4月
4.利益相反について
本研究は,塩野義製薬株式会社からの共同研究費で設置された研究室において実施されます.なお,同社から受け入れている共同研究員は集計データのみ閲覧しますが,原資料を閲覧することはありません.また,医療情報部から提供されるデータを塩野義製薬株式会社に提供することもありません.
研究を行うときにその研究を行う組織あるいは個人(以下「研究者」という.)が特定の企業から研究費・資金などの提供を受けていると,その企業に有利となるように研究者が研究結果を解釈したり,改ざんしたり,都合の悪い研究結果を無視するのではないかという疑いが生じます.(こうした状態を「利益相反」といいます.)この研究における利益相反は,大阪大学大学院医学系研究科・医学部臨床研究利益相反審査委員会による審査を受け,承認を得ています.我々はその審査結果に基づき,利益相反を適正に管理して研究を行います.
5.お問い合わせ先
研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい.ご希望があれば,個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲で研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申出下さい.また,いつでも本研究への協力を拒否することができます.研究への協力を断っても診療に関する不利益等を受けることはありません.
研究に関するご質問等の連絡先:
大阪大学大学院医学系研究科 医療データ科学共同研究講座 笹原祐介
吹田市山田丘2-2
TEL: 06-6210-8257
研究責任者:
大阪大学大学院医学系研究科 医療データ科学共同研究講座特任教授 飛田英祐