CoMITパンフレット 2024
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3大阪大学 総長西尾 章治郎NISHIO Shojiro大阪大学大学院医学系研究科長熊ノ郷 淳KUMANOGOH Atsushi近年、世界はパンデミック、地球温暖化、資源の枯渇、高齢化等の課題に直面し、カーボンニュートラル・SDGsの実現を始めとした社会システムの大きな転換が求められる中で、大学での人材育成やイノベーション創出への社会からの期待が一層高まっています。このような社会からの大きな期待と課題を前にして、今、大阪大学に求められていることは、本学が持つ「知性」、「英知」を結集して社会との共創(Co-creation)を活性化させ、社会を変革する力を生み出すことです。社会との「共創」を実現するための礎となるのが、知・人材・資金の好循環を生み出す「OU(Osaka University)エコシステム」です。これは、卓抜した教育研究成果を社会実装し、その過程を通じて新たな課題を分析し、それをさらに基礎研究に還元して好循環を築き、一層大きな革新的価値を生む仕組みです。この「OUエコシステム」を核としつつ、2022年度には、同年からスタートした第4期中期目標期間に加え、さらにその先をも見据え、教育、研究、経営のそれぞれの持続可能な基盤を築くための中長期的な経営ビジョンとして「OUマスタープラン2027」を策定しました。大阪大学は、このプランを頼るべき道標としながら、社会との共創を通して、単に「社会に貢献する」ということに止まらず、一歩踏み込んで「生きがいを育む社会」を「創造していく」大学を目指し、挑戦的な取組を推進していきます。最先端医療イノベーションセンター棟では、これまで本学のライフサイエンス分野の拠点として、企業、大学からの異分野領域の研究者が一つ屋根の下で、基礎研究から技術シーズを創出し、それを育て、実証研究、実用化へとシームレスに繋げ、さらには学生の教育研究まで実践する、オープンな「場」を提供してきました。今後、多様な知と研究者・学生が交差する本棟において、OUエコシステムを十分に機能させることにより教育研究活動のさらなる強化を図ってまいります。本棟におけるオープンイノベーションを強力に促進する活動を通じて、社会で活躍できる寿命(社会寿命)が延び、一人ひとりが多様性を発揮することによって、豊かで幸福な人生をすべての人が享受できる社会、すなわち「生きがいを育む社会」の実現に大きく貢献してまいります。一つ屋根の下で最先端医療イノベーションセンターは2014年4月の設置以来、我が国で有数の産学連携の研究拠点として活動しています。ここで掲げるコンセプトは「産学官の『ひとつ屋根の下』での世界に類を見ない最先端医療の開発とオープンイノベーションの推進」であり、このミッションの下、現在多様な分野の企業・研究機関との連携の中で、次世代新薬や革新的医療技術の研究開発に取り組んでいます。現在我が国の医学界は、基礎医学においても臨床医学においてもその取り巻く環境は大変厳しい状況にあります。また、直近の課題だけでなく、急速な変容を遂げる社会における医学へのニーズ、さらに、ポストコロナ・アフターコロナとして今後どのように医学界へその成果を発信し対応していくか、その中で、如何にして途切れることなく次代に繋がる研究を発展させるか、未来を見据えての対応が必要な時期です。アカデミアにおいては、生命現象の本質・真髄を見据えた研究、臨床研究やトランスレーショナル研究においても骨太でそこから新たな基礎研究に発展し病因・病態の真の解明に繋がるような研究を目指すことが大切です。しかし、その過程で社会に還元できるような優れたシーズを早期から支援し、産業界とともに、次代のイノベーションに発展させていくかが重要です。大阪大学が引き続き、国内外でそのプレゼンスを発揮していくために、この最先端医療イノベーションセンターが担う役割は今後も益々増していくものと思います。今後も最先端医療イノベーションセンターは、密接な産学連携の中で、革新的なシーズの橋渡し研究の推進、企業への導出、産業化の早期実現による先進医療の社会還元・社会実装を展開して参ります。Greetings ごあいさつ「OUエコシステム」による「生きがいを育む社会」の実現

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