呼吸器内科臨床研究

非小細胞肺癌のHER2蛋白過剰発現とHER2遺伝子増幅の関連についての後ろ向き研究

1.研究の背景

本研究はHER2という細胞増殖に関わる蛋白質です。HER2遺伝子の数が増えたり(HER2遺伝子増幅)、HER2蛋白自体が増殖する(HER2過剰発現)と不必要に細胞が増殖し、がんが発生しやすくなると言われています。現在、非小細胞肺がんではHER2遺伝子の変異がある方を対象に抗体薬物複合体(Antibody Drug Conjugate: ADC)が標準治療となっており、今後、そのほかのHER2遺伝子増幅やHER2蛋白異常に対しても治療開発が進められています。

2.研究の概要

研究の対象 : Foundation One®検査を受けられた再発もしくは進行非小細胞肺がんの方を対象としています。
施設 :
東北大学病院(責任者 伊藤辰徳)
国立がんセンター中央病院(責任者 後藤悌)
がん研究会有明病院(責任者 西尾誠人)
順天堂大学医学部附属順天堂医院(責任者 宿谷威仁)
北里大学病院(責任者 猶木 克彦)
神奈川県立がんセンター(責任者 寺西周平)
名古屋市立大学病院(責任者 福田悟史)
兵庫医科大学(責任者 大搗貴志)
京都大学医学部附属病院(責任者 小笹裕晃)
京都府立医科大学(責任者 山田 忠明)
大阪大学(責任者 白山敬之)
大阪市立総合医療センター(責任者 田中彩子)
大阪南医療センター(責任者 工藤慶太)
岸和田市民病院(責任者 尾崎智弘)
近畿大学病院内科学教室腫瘍内科部門(責任者 高濱隆幸)
九州大学(責任者 岡本勇)
久留米大学病院(責任者 東公一)
以上の施設でデータ収集を行います。

研究目的 : 本研究では非小細胞肺がんにおけるHER2遺伝子増幅とHER2蛋白異常の関連性を調べることを目的としています。本研究の意義はHER2遺伝子増幅やHER2蛋白発現を対象とした癌治療のさらなる進歩につながることです。

研究方法 : HER2遺伝子増幅が明らかとなっている研究対象者から採取された腫瘍組織の残余検体を用いて、HER2タンパク質の発現量を免疫組織化学染色(Immunohistochemistry: IHC)で評価します。HER IHC検査ではHER2蛋白に印をつけ、顕微鏡でHER2蛋白の有無や量を評価します。また、HER2遺伝子増幅に関して蛍光 in situ ハイブリダイゼーション (fluoresense in situ hybridization), FISH検査での再検討を行います。FISH検査は特定の遺伝子や細胞に蛍光する特殊な印をつけ、この印を顕微鏡で確認する検査です。本研究では、FISH検査によりHER2遺伝子の数を再検討しますまた研究対象者の診療録を後ろ向きに調査します。この研究のために、追加の検査が求められたり、あらたな検体採取するよう求められることはありません。

試料・情報の利用 (または提供) を開始する予定日 : 2026年8月1日
利用する者の範囲 : 研究代表者、研究責任者、研究事務局、共同研究施設 担当者、LSIメディエンス株式会社
試料・情報の管理について責任を有するものの名称 : 林 秀敏 (近畿大学医学部内科学腫瘍内科部門)

3.解析試料

すでに生検や手術により採取されている組織検査を用いて、免疫組織化学染色の追加ならびにFISH検査を行います。また、国立がんセンター・がんゲノム情報管理センター(C-CAT)に事前に登録された臨床情報(性別、年齢、既往歴など)を利用します。
尚、過去に採取したがん組織が小さい場合、本研究での使用によって残存検体の消耗や稀に滅失の可能性があり、その後の追加検査に支障が生じたり追加検査が出来なくなったりすることが稀にあります。この掲示をご覧頂き、「ご自身の臨床情報・診療情報に関するデータならびに腫瘍組織の残存検体の利用を希望しない」とのお申し出がない場合には、ご同意頂いたものとして、検討させて頂きたいと存じます。もし、データ及び腫瘍組織の残存検体の利用をご希望されない場合には、下記参加施設までご連絡くださいますようお願い申し上げます。なお、今回の研究課題につきましては、すでに近畿大学医学部等倫理委員会にて承認され、各機関の長による実施許可を得ております。

4.外部への試料・情報の提供・公表

組織検体はLSIメディエンス社(〒174-0051東京都板橋区小豆沢4-25-11)、近畿大学病院(〒590-0197 大阪府堺市南区三原台1丁14番1号)に送付されます。LSIメディエンス社、近畿大学病院において、組織を用いてIHC検査が行われ、担当医と研究事務局へ解析結果が報告されます。

5. 個人情報保護に関する配慮

個人情報の取り扱いにつきましては、本研究に関係するすべての研究者は、個人情報保護法に基づいて、研究対象者の個人情報を厳重に管理します。本研究は非小細胞肺癌と診断された患者さまの組織検体を用いて行います。個人情報に関しては、本研究のみに使用します。個人識別情報管理者を置き、対象患者様に対して独自のIDをつけ、個人情報は全て匿名化されますので、いかなる個人情報も院外に出ることはありません。患者さまの個人情報の管理は十分慎重に行い、漏洩することがないように致します。

6. 本臨床研究の運営費用について

本臨床研究は、第一三共株式会社からの資金提供を受けて運営されます。

7. 利益相反について

臨床研究を行うに際し、企業の利益のために公正で適正な判断が妨げられる状態または損なわれるのではないかと第三者に疑われる状態を「利益相反」と呼びます。
本研究は第一三共株式会社から資金提供を受け、運営されますが、研究の実施や報告の際に、金銭的な利益やそれ以外の個人的な利益のために専門的な判断を曲げるようなことはありません。

8. ご質問や研究に対する試料・情報の提供を拒否できる自由

その他本研究に関してお聞きになりたいことがありましたら、遠慮なくいつでも担当医または下記のお問い合わせ先まで申し出てください。患者さんから資料や情報の提供を拒否するご要望があれば、その方の臨床データや検体は研究に利用しないようにいたします。そのご要望をいただいたとしても、不利益となることはありません。なお、既に対象データが解析・公表されている場合など、お申し出のタイミングによっては、臨床データや検体の利用の取り下げが困難となる場合がございますので、予めご了承ください。

9. 研究責任者およびお問い合わせ先

〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2-2
大阪大学大学院医学系研究科 呼吸器・免疫内科学 白山敬之
連絡先電話番号:06-6879-3833

研究代表者:近畿大学医学部内科学腫瘍内科部門 林 秀敏
研究責任者:近畿大学医学部内科学腫瘍内科部門 高濱隆幸
研究事務局:近畿大学医学部内科学腫瘍内科部門 土肥和佳