大阪大学大学院医学系研究科
呼吸器・免疫内科学
Department of Respiratory Medicine and Clinical Immunology, Graduate School of Medicine, The University of Osaka
掌蹠膿疱症性骨関節炎(pustulotic arthro-osteitis:PAO)は1981年に東京都立駒込病院の園嵜らが掌蹠膿疱症(palmoplantar pustulosis:PPP)に前胸壁の関節骨炎を伴う53例を報告(胸骨鎖骨間や胸骨柄などの前胸壁病変53例、脊椎炎や脊椎椎間板炎18例、仙腸関節炎7例、末梢関節炎14例)、掌蹠膿疱症の9.4%に関節症状を有すると報告した(1)。掌蹠膿疱症は手掌や足底の無菌性小膿疱、小水疱、膿疱化水疱、痂皮、落屑、境界不明瞭な紅斑で、すべてが揃うわけではない。特徴的な膿疱も常にあるわけではなく、膿疱を確認できない場合は疑いとして経過をみる。ケブネル現象もみられる。手足を超えて、足背、膝、下腿、臀部、肘、などに落屑を伴う紅褐色斑や小膿疱がみられることもある。PAOの骨関節炎は胸骨、鎖骨が多いが、前胸壁以外に、脊椎、仙腸関節、肩、膝、末梢関節などにも現れ、骨肥大は単純X 線でもわかることがある。
PPPやPAOは病巣感染が関与していると考えられており、どこかに感染巣があるが無~軽い症状、あるいは間歇的症状で、その局所慢性炎症が原因となり遠隔臓器に炎症をもたらす自己炎症性疾患と考えられている。PAOに関する論文の多くは本邦からで、海外からはSAPHO症候群としての報告が多い。
SAPHO症候群は1987年にChamot AMらによるフランスの調査から、重症痤瘡13例、掌蹠膿疱症44例、これら皮膚炎を伴わない骨過形成症28例を含む85例をSAPHO症候群(Syndrome Acne-Pustulosis-Hyperostosis-Osteitis)として報告し、皮膚病変と骨病変(前胸部、脊椎、末梢骨)が共通項とされた(2)。「S」はSyndromeからSynovitisに翌年に変更された(3)。SAPHO症候群には骨生検から検出されるCutibacterium Acnes(アクネ菌)の関与が考えられている(4)。SAPHO症候群の特徴として、Synovitisは体軸(脊椎、椎間板、靭帯骨棘)や末梢の関節炎、Acneは重症痤瘡(集簇性痤瘡、汗腺膿瘍など)、Pustulosisは掌蹠膿疱症、Hyperostosisは骨びらんと新生が混在しやがて骨化(骨硬化による腫大)、Osteitisは無菌性骨炎(鎖骨・上部肋骨など前胸部に多い)や下顎骨の硬化性骨髄炎である(5)。120例(女性70、男性50)の解析では、診断時年齢37.7歳(5~67歳)、皮膚症状先行39%、関節症状先行32%、同時が29%。骨関節では前胸壁(65~90%)、脊椎(30%で胸椎が多く、腰椎や頸椎も見られる)、仙腸関節(13~52%)、長管骨(5~10%)、下顎骨(1~10%)などである(6)。小児では頸骨の遠位・近位端が侵されやすい。成人の15%、小児の70%以上は皮膚症状を発症しないとされる。SAPHO症候群には主に小児に発症する慢性再発性多発性骨髄炎(Chronic Recurrent Multifocal Osteomyelitis:CRMO)を含む。皮膚病変は好中球性皮膚疾患で、掌蹠膿疱症(50~75%)が最も多い。重症痤瘡(25%)や、これらの皮膚疾患と同時に乾癬が見られることも多い。近年、SAPHO症候群と脊椎関節炎の間に類似点があることから、両者の関係性への関心が高まっている。両疾患とも脊椎と仙腸関節に影響を及ぼし、末梢関節炎や付着部炎を引き起こし、乾癬や炎症性腸疾患などの関節外症状を伴うことがあり、生物製剤への反応性も類似性がある。SAPHO症候群の一部は自然軽快することもあるが、半数は慢性の経過をたどる。
SAPHO症候群には様々な皮膚病変を含み、その疾患範囲には議論があるが、掌蹠膿疱症と骨関節炎を特徴とするPAOはSAPHO症候群の中に含まれる疾患概念と考えられている。

掌蹠膿疱症(palmoplantar pustulosis; PPP)の定義と診断
| 定義 |
|---|
| 掌蹠膿疱症は、手掌と足底あるいはその何れかの部位に新旧の無菌性膿疱を多発する。 膿疱に混じて水疱を同時期にみることがある。消長を繰り返し慢性の経過を辿る。 |
| 診断のための主要項目 |
| 1)手掌と足底、あるいはその何れかの部位に新旧の無菌性膿疱を多発する。 2)病変を繰り返し、慢性の経過をたどる。 3)乾癬、接触皮膚炎、汗疱・異汗性湿疹、手・足白癬、好酸球性膿疱性手包炎や菌状息肉症を除外できる。 |
| 参考となるその他の特徴 |
|
| 鑑別すべき疾患 |
| 感染症(足白癬、梅毒、疥癬)、膿疱性疾患(全身に膿疱ができやすい膿疱性乾癬や好酸球性膿疱性毛包炎、指尖部中心に膿疱ができやすい稽留性肢端皮膚炎)、湿疹アレルギー疾患(接触性皮膚炎、多房性の水疱がみられる異汗性湿疹や汗疱)、腫瘍性疾患(菌状息肉症)、その他(掌蹠角化症) |
掌蹠膿疱症性骨関節炎(PAO)の2022年改訂診断ガイドライン(改訂版Sonozaki基準)(7)
| 1を満たした上で、2または3に該当する場合、PAOと診断 | |
|---|---|
| 1 | 現在または過去に、皮膚科専門医により掌蹠膿疱症と診断されている。 |
| 2 | 前胸壁(胸鎖関節/胸肋関節または胸骨角/胸骨/鎖骨/第1~7肋骨/剣状突起)に、非化膿性骨関節炎(注1)を示す以下の所見がある。 前胸壁において①圧痛または腫脹があり、かつ、②画像上の異常所見(単純X線またはMRI)がある。 単純X線:骨硬化、骨肥厚、新生骨形成、骨びらん、骨棘(syndesmophyte)、強直 MRI(注2):骨髄浮腫/骨炎、骨構造の変化 (オプション:放射線被曝に伴うCT使用要件は注3参照) |
| 3 | 前胸壁以外の骨、関節、脊椎、および仙腸関節に非化膿性骨関節炎を示す以下の所見がある(注4)。 圧痛または疼痛部位に画像上の異常所見(単純X線またはMRI)がある。 単純X線:椎体終板の変化、骨硬化、骨肥厚、新生骨形成、骨びらん、骨棘(syndesmophyte)、強直 MRI(注2):骨髄浮腫/骨炎、骨構造の変化 (オプション:放射線被曝に伴うCT使用要件は注3参照) |
| 鑑別を十分考慮すべき疾患 | |
| 骨折(不全骨折を含む)、変形性関節症、化膿性関節炎・骨髄炎、骨腫瘍・転移性骨腫瘍、強直性脊椎炎、画像所見を伴わない脊椎炎、乾癬性関節炎、重症痤瘡・化膿性汗腺炎に伴う変形性関節症、変形性関節症を伴う炎症性腸疾患、反応性関節炎、びまん性特発性骨増殖症、関節リウマチなど。 | |
| 注1 | 変形性関節炎、骨髄炎、および細菌・真菌・ウイルス感染に起因しない骨髄炎。 |
|---|---|
| 注2 | MRIにおける異常所見とは (1) 「骨髄浮腫/骨炎の存在」:①~③を満たすこと。 ① STIR画像またはT2強調脂肪抑制画像における高信号域の存在、および脂肪浸潤を含む骨炎後の変化。 ② 解剖学的部位(軟骨下骨)に明瞭かつ典型的な変化が認められる。ただし、関節をまたぐ変化(kissing lesions)が認められる必要はない。 ③ 連続するスライスに異常信号が存在。 (2) 「骨構造変化の存在」:①と②を満たすこと。 ① 骨構造変化の検出にはT1強調画像(T1WI)で十分。 ② 骨構造変化とは、骨硬化、骨肥厚、骨形成、骨靭帯(骨付着部変化)、骨棘(syndesmophytes)、強直、および椎体終板の変化を指す。 |
| 注3 | 「骨構造変化」の補助診断としてのCT使用要件。 単純X線で骨構造変化が不明瞭。かつ、何らかの理由でMRI撮影が不可能な場合、担当医が診断にCT撮影が有用と判断し、患者に十分説明を行い、CT撮影に伴う放射線被曝に同意が得られているなら、補助診断としてCT使用が許容される。CTでの異常画像所見は、骨硬化、骨肥厚、骨形成、骨びらん、骨棘(syndesmophytes)、強直、および椎体終板の変化が含まれる。 |
| 注4 | 前胸壁以外の骨・関節とは、主に脊椎、頭蓋骨、大腿骨などを指す。 |
SAPHO症候群1988年Benhamou CLらによる基準(3)
| 1~4のうちひとつでもあればSAPHO症候群に含める | |
|---|---|
| 1 | 集簇性痤瘡、重症痤瘡や化膿性汗腺炎に伴う骨・関節症状 |
| 2 | 掌蹠膿疱症に伴う骨・関節症状 |
| 3 | 皮膚病変の有無に関わらず前胸壁、四肢や脊椎の骨過形成 |
| 4 | 皮膚病変の有無に関わらず体軸系や末梢骨格におよぶ慢性再発性多発性骨髄炎 |
| 以下の疾患は除外される、敗血症性骨髄炎、感染性前胸壁関節炎、感染症を伴った掌蹠膿疱症、掌蹠角化症、びまん性特発性骨増殖症、レチノイド療法に伴う骨関節症状 | |
SAPHO症候群1994年Kahnによる診断基準案(8)
| 以下の3つの病型のいずれか1つを認める | |
|---|---|
| 1 | 慢性再発性多発性骨髄炎(通常、無菌性。脊椎病変を伴う場合がある。皮膚病変の有無は問わない) |
| 2 | 掌蹠膿疱症、膿疱性乾癬、重症痤瘡、のいずれかを伴う急性、亜急性、または慢性の関節炎 |
| 3 | 掌蹠膿疱症、膿疱性乾癬、尋常性乾癬、重症痤瘡、のいずれかを伴う無菌性骨炎(または P. acnesアクネ菌が検出される場合を含む) 脊椎椎間板炎を含め、1箇所の病変で診断可能 |
問診では家族歴、関節症状の有無、喫煙歴、扁桃炎の既往、歯科治療歴、副鼻腔炎の有無、便秘や下痢の有無を尋ねる。
血液検査では併存することがある糖尿病、自己免疫性甲状腺炎、脂質異常症などを確認し、それらを有する場合は治療を依頼する。
PPPやPAOでは特に歯性病巣が原因であることが多く、歯科にコーンビームCTなどによる歯性病巣の検索を依頼し、根尖性歯周炎、辺縁性歯周炎、インプラント周囲炎などがあれば治療する。健常者では行わない不顕性の根尖病変の治療を必要とする場合はインフォームドコンセントが必要である。副鼻腔炎は耳鼻科へ、歯性副鼻腔炎は歯科へ、腸炎は消化器内科へ治療を依頼する。
PAO の検索では関節痛、骨痛、単純X線像、脂肪抑制を含む MRIなどを実施。
PAO/SAPHO症候群の骨関節病変は骨皮質と骨髄での慢性炎症で、骨炎と骨過形成を特徴とする。
単純X線像は、鎖骨の胸骨端などで、早期では骨溶解が主で辺縁の硬化を伴うことがある。進行につれて骨溶解と骨硬化が混在し、慢性病巣では骨硬化像が中心となる。脊椎病変は単一椎体に現れることが多いが4椎体に及ぶこともあり骨硬化像や骨溶解による変形や椎体炎が見られる。椎体を繋ぐような直線状の骨化を見ることがある。仙腸関節炎は強直性脊椎炎と比べて片側性が多く、腸骨側の骨硬化像を特徴とする。下顎骨の片側にびまん性硬化性骨髄炎が見られることがあり骨膜反応を伴う。長管骨病変は成人ではまれだが小児ではよく見られ、骨幹端の骨溶解と骨膜反応が見られる。
ガリウムシンチは炎症部位の同定に有用。胸鎖骨部位の炎症からBull's head sign(胸骨柄が頭部で胸鎖関節と鎖骨の炎症が角に相当)を形成する。椎体病変にも集積する。
MRI撮影は椎体病変の性状評価に有用で骨硬化病変はT1やT2で低信号となるが、活動性病変ではT1低信号T2高信号となる。マルチスライスCTの再構成は胸鎖病変や骨関節病変の詳細に適する。
掌蹠膿疱症性骨関節炎には日本皮膚科学会、日本口腔科学会などからガイドラインが出され、掌蹠膿疱症性骨関節炎に関する文献の多くは本邦からの報告である。疾患が稀少なため、少数の報告例を元に治療されており、確立した治療法はない。
喫煙者であれば禁煙を指導する。病巣感染を有することが多く、歯性病巣感染(根尖性歯周炎、辺縁性歯周炎、インプラント周囲炎、無菌性顎骨骨髄炎など)の検索と治療を歯科に依頼する。痛みに対してNSAIDsが用いられるが、痛みの強い例には短期間ステロイド、MTX、アプレミラスト(オテズラ® 掌蹠膿疱症に保険適応)、ビオチンなどが効果あることがある。ビスフォスフォネート製剤による骨吸収阻害により痛みが消失し寛解に至ることがある。
こうした治療に対して難治性病変にはIL-23p19 阻害薬グセルクマブ(トレムフィア® 掌蹠膿疱症に保険適応)、IL-17 阻害薬プロダルマブ(抗IL-17受容体A抗体:ルミセフ® 掌蹠膿疱症に保険適応)、セクキヌマブ(抗IL-17A抗体:コセンティクス® 保険適応なし)、抗TNFα製剤(インフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブなど。保険適応なし)の有効例も報告されている。
扁桃腺腫大や口腔内感染との関連も疑われており、保存的治療に反応しない症例に扁桃摘出術は選択肢となる。一部に歯科金属アレルギーとの関連が指摘されている。歯周病、扁桃摘出など歯性病巣の治療でも改善しない場合、歯科金属除去や経口摂取金属の制限を考慮するが、歯科金属除去は負担があり、食事制限はQOL低下の恐れもあり、パッチテストなどを行った上で慎重に判断する。
SAPHO症候群の総説では、約70%がNSAIDやDMARDに良好に反応、非経口ビスホスホネートでも同程度の反応がある。これらで不十分では生物製剤で約80%が改善。最初の生物製剤が不十分でも、約70%が2回目の生物製剤に良好な反応を示す(9)。
骨関節症状はまずNSAIDを使用、有効性判断は少なくとも1か月間は薬剤の全量を使用、できれば2種類の異なるNSAIDを試すことが推奨される。NSAIDに反応しない骨関節症状にステロイドは短期使用される。MTXなどDMARDは末梢関節炎で使用されるが、骨髄炎、骨炎、付着部炎への効果は十分に確立されていない。スルファサラジン、ヒドロキシクロロキン、シクロスポリン、コルヒチンも関節炎で使用されるが有効性は不明。軸性疾患および付着部炎に確立した治療法はなく、多くの施設で生物製剤開始前にNSAID(±全身性や関節内ステロイド)、MTX、スルファサラジンなどDMARDが使用され、文献ではDMARDとNSAID併用で約70%が症状改善の可能性がある。
ビスホスホネートは骨吸収阻害以外に抗炎症作用も有し、パミドロネートやゾレドロン酸(ゾメタ® 保険適応はない)などの静脈製剤やアレンドロネートなどの経口製剤が用いられてきた。ivパミドロネート60mg/日を3日間連続投与、1 mg/kg/日のivパミドロネート3日間投与、3か月後にサイクルを繰り返す、ivゾレドロン酸を4 mg/日で3日間投与、などの投与報告がある。
痤瘡が重症の場合、テトラサイクリン、クリンダマイシン、ミノサイクリン、アジスロマイシンなどの抗生物質で、アジスロマイシン(500 mg 6日間連続投与、その後16週間、週2回500 mg)で改善した例は、中止後12週間以内に再発している。皮膚病変が顕著な中~重度の尋常性痤瘡には抗生物質が選択肢だが長期使用が難しい。
生物製剤は難治例に考慮し、乾癬性関節炎で使用する製剤が試みられている。TNF阻害薬は骨関節・皮膚病変に有効性を示し、TNF阻害薬間に差はないが、乾癬などの逆説的反応に注意する。セクキヌマブ(抗IL-17A抗体:コセンティクス® 保険適応なし)、ウステキヌマブ(IL-12/23p40阻害抗体:ステラーラ® 保険適応なし)は骨関節・皮膚症状に、イキセキズマブ(抗IL-17A抗体:トルツ® 保険適応なし)は皮膚症状に効いた報告がある。自己炎症性という面から抗IL-1療法(保険適応なし)で骨関節症状が改善、JAK阻害剤トファシチニブ1日2回5mg投与(保険適応なし)で骨関節・皮膚症状の改善例がある。トシリズマブは限定的報告で有効性は疑問、リツキシマブはデータ不十分。
PDE4阻害剤は、難治性の24歳女性で、皮膚・骨症状で満足のいく改善を示している。
掌蹠膿疱症性骨関節炎/SAPHO症候群は厚生労働省の指定難病ではなく、高額な生物製剤使用時には十分な説明が必要である。
掌蹠膿疱症性骨関節炎(PAO)に対する治療(10)(括弧内は、推奨度、エビデンスレベル)
| 骨関節症状に対する治療 |
|---|
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歯性病巣治療は高い有効性が報告されている。本邦では発症契機として歯性病巣は最多で、明らかな歯性病巣は治療する。(B、IV-V) 歯性病巣には根尖性歯周炎、辺縁性歯周炎、智歯歯周炎があるが、無症状の歯性病巣は通常は歯科治療の対象外だが、治療適応にはPAO重症度とQOL障害程度からインフォームドコンセントが必要。 |
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扁桃摘出術は骨関節病変の疼痛の消失および軽減が期待され選択肢。(B、V) 扁桃摘出術の骨関節症状に対する効果は皮疹の改善度と比較するとやや劣るものの有効と考えられる |
| 病巣感染の検索と治療を行い、疼痛緩和の補助でNSAIDsを投与してよい。C1、VI) |
| グルココルチコイドは急性増悪時の症状緩和目的で短期で考慮。PSL10~20mg/日を1~2週間の限定、即効性なければ速やかに中止。(C1、VI) |
| ビスフォスフォネート製剤は病巣感染巣の検索と治療と並行して考慮する。(C1) |
| ビオチンは病巣感染など他の要因の検索と治療を行った上で、高用量投与(内服4~9mg/日)が骨関節炎の疼痛軽減に有効なことがある。(C1、II-VI) |
| MTXは関節リウマチや尋常性乾癬や乾癬性関節炎の関節痛で使用するが、PAOにおいても関節痛が強く難治性では、単剤や他薬剤と併用を考慮。 (C1、II-VI) |
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PDE4阻害剤は他の治療で制御できない場合に使用してよい。(C1、V) アプレミラスト(オテズラ® 掌蹠膿疱症に保険適応) |
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IL-23p19 阻害薬であるグセルクマブは既存治療で効果不十分なPPPに適応。PAOには適用なく、証拠集積途上で、十分な根拠とはいえないが、PAOのQOL改善や、胸鎖関節炎の疼痛改善に有効との報告がある。(C1;グセルクマブ、C1 ウステキヌマブ、V) グセルクマブ(抗IL-23p19抗体:トレムフィア® 掌蹠膿疱症に保険適応)、ウステキヌマブ(抗IL-12/23p40抗体:ステラーラ® 抵抗例のみ検討、保険適応なし) |
| TNF阻害薬の有効性に関する複数の症例報告があるが十分な証拠がない。PPP の皮疹を有する場合の TNF阻害薬の影響は一定せず、使用時はparadoxical reaction による皮疹悪化にインフォームドコンセントと注意が必要。(C1、V) |
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IL-17阻害薬は考慮してよいが、十分な証拠がない 。(C1、V) プロダルマブ(抗IL-17受容体A抗体:ルミセフ® 掌蹠膿疱症に保険適応)。 |
| 顆粒球吸着療法は副作用の少ない治療で考慮して良いが、十分な証拠がない。 (C1、V) |
| シクロスポリンは現時点では十分な証拠はない。難治例に考慮して良いが、第一選択薬ではない。(C1、V) |
| アザルフィジンは有効という明らかな根拠がないため勧めない。(C1、-) |
| レチノイドが有効であるという確固たる証拠はない。(C2、V) |
掌蹠膿疱症 (PPP)に対する治療(10)
| 掌蹠膿疱症(PPP)実臨床での疑問 |
|---|
| 自然消退するという確固たる証拠はない。(-、V) |
| 水疱・膿疱内容物を出した方が、経過が良好という明らかな根拠はない。(C2、V) |
| 診断に有用なルーチン血液検査はないが、白血球数、ASO、ASKは病巣感染の発見に役立つことがある。糖尿病や甲状腺機能異常など併存症の検査を適宜行う。(C1、VI) |
| ダーモスコピーは非侵襲検査で診断に有用。(B、V) |
| 手掌足底に限局するのは他部位より多くのエクリン汗腺があることが有力仮説。(-、V) |
| PAOで最も頻度の高い胸鎖関節炎は、時に疼痛が消失し臨床的寛解をみることがあるが、多くで画像的軽快は未確認。長期データがなく、PAOの自然寛解は期待できず、経年進行し不可逆的な骨関節破壊をきたすことが稀ではないため、早期より感染病巣の検索と治療、禁煙指導、投薬治療する。(-、V) |
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PPPの喫煙患者では喫煙継続すると治療効果が得にくく、禁煙を推奨。(B、-) 喫煙とPPPの関連は疫学調査から明らか。ニコチン受容体や芳香族炭化水素受容体(AhR)を介した経路が発症に関与することから禁煙の有効性は考えられる。 |
| 骨関節症状にも禁煙を推奨。必要に応じ医療的介入(禁煙外来)を検討。(B、-) |
| 扁桃誘発試験(扁桃マッサージ法、超短波誘発法、ヒアルロニダーゼ法、低周波誘発法)は、扁桃摘出術の有効性の予測は困難で勧めない。行っても参考程度 。(C2、V) |
| PPPに甲状腺疾患や糖尿病のスクリーニングを考慮する。(C1、V) |
| 皮疹に対する治療 |
| 歯性病巣感染は本邦では発症契機として最多で、治癒も含め高い有効性が報告されており、皮疹の重症度と歯科治療の侵襲を考慮して治療する。(B、V) |
| 扁桃摘出術は保存的治療に反応しない症例に、選択肢のひとつ。 (B、V) |
| 扁桃摘出術の有効性を予測しうる扁桃の特徴はない。(C2、V) |
| ステロイド外用薬は、その高い抗炎症効果から有効と考えられる。十分な証拠ではないが対症療法として推奨 。(B、I~V) |
| 活性型Vit D3 外用はステロイド外用と併用、または軽快例で単独で行う。(B、II~V) |
| 紫外線療法PUVAをPPPに考慮して良いが、十分な証拠はない。Re-PUVAはシステマティックレビューがあるが、レチノイドの内服量は本邦と海外でレチノイドの種類が異なり十分な検討が必要。PUVAは一定の治療回数、照射量が定められてない。(C1、I~V) |
| PPP にNB-UVB を行うことを考慮して良いが、分な根拠がない。(C1、II~V) |
| エキシマライト照射は治療選択肢の一つとしてよい。(C1、III~V) |
| PPPへのレチノイドの有用性は二重盲検で確認済。短期投与の際の副作用で粘膜症状がある。長期の副作用は、用量と期間に関連し、小児で成長障害、過骨症、靭帯の異所性石灰化、肝障害、視力障害があり、インフォームドコンセントで治療。(C1、II~V) |
| グルココルチコイド内服は皮疹のみでは有効性安全性に問題があり行わない (D、IV) |
| シクロスポリン(CyA)をPPPの治療の一つとして推奨。血圧上昇、腎障害などの副作用に注意。PPPは乾癬と同様に慢性疾患で、CyAは長期使用となることがあるが、副作用予防から乾癬の使用指針に準じ1~2年までに留める。(B、II) |
| PDE4阻害薬はPPPに現時点で保険適用ないが、難治例に考慮して良い。(C1、III~V) |
| MTXはPPPに保険適用がない。難治例に考慮して良いが十分な根拠がない。(C1、V~VI) |
| ビオチンは病巣感染など他の発症契機に関わる要因の検索と治療を行ったうえで、補助として高用量療法が有効なことがある。(C1、IV~V) |
| 漢方薬は他の治療が無効、他の治療が実施できない状況で、掌蹠膿疱症に対して十味敗毒湯、黄連解毒湯、温清飲は選択肢の一つ。桂枝茯苓丸の投与は行ってもよいが推奨しない。(C1;十味敗毒湯、黄連解毒湯、温清飲、C2;桂枝茯苓丸、IV~V) |
| 抗菌薬(ミノマイシンやマクロライド)は有効なことがあるが中止による再発が問題となる。コルヒチンは他の治療が無効や使用できない時に検討。ジアフェニルスルフォン(DDS)は十分な根拠がなく薦めない。(C1;抗菌薬、C1;コルヒチン、C2;DDS、IV~V) |
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IL-23p19 & p40 阻害薬は既存治療で効果不十分なPPPにグセルクマブを勧める。PPP にウステキヌマブを考慮してもよいが有効性は確立されていない。(B;グセルクマブ、C1;ウステキヌマブ、II~V) グセルクマブ(抗IL-23p19抗体:トレムフィア® 掌蹠膿疱症に保険適応)、ウステキヌマブ(抗IL-23p40抗体:ステラーラ®、ウステキヌマブBS 保険適応なし) |
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TNF阻害薬はPPPに有効性の証拠があるとはいえない。(C2、II~V) 皮疹の増悪や乾癬の出現の報告がある。 |
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IL-17 阻害薬セクキヌマブはPPPに有効性の証拠があるとはいえない。(C2;セクキヌマブ、II~V) セクキヌマブ(抗IL-17A抗体:コセンティクス® 保険適応なし)、プロダルマブ(抗IL-17受容体A抗体:ルミセフ® 掌蹠膿疱症に保険適応) |
| 歯科金属除去は、扁桃摘出、歯周病など歯性病巣の治療でも改善しない場合、歯科金属の除去や経口摂取される金属の制限を検討してよい。歯科金属除去は経済的身体的負担をかけ、食事制限はQOL低下の恐れがあるため、パッチテストや金属(金属含有食)負荷試験などの検査を行わず、根拠がないまま漫然と行わない 。(C1;金属除去、IV) |
掌蹠膿疱症の歯科診療(11)
| 掌蹠膿疱症を有する患者への歯科診療 |
|---|
| 歯性病巣の検索で歯科用コーンビームCT(CBCT)を行い、X線写真では確認困難な顎骨内病巣・歯槽骨の吸収を精査、根尖性歯周炎、辺縁性歯周炎、インプラント周囲炎などがあれば治療する。健常者では行わない不顕性の根尖病変の治療を必要とする場合はインフォームドコンセントが必要である。 |
| 口腔領域の感染症の抗菌薬治療(クラリスロマイシン、レボフロキサシンなど)は、中止による再発が問題となるため抗菌薬療法は第一選択ではなく、歯性病巣治療などの根本的治療を優先し、抗菌薬単独治療は行わない。 |
| 細菌性顎骨骨髄炎は通常の顎骨骨髄炎の治療を行う。一方、SAPHOで見られる無菌性顎骨骨髄炎は、病巣摘出や抗菌薬治療による通常の骨髄炎治療は奏功しない。 |
| 歯科用金属除去を行う前に歯周炎や根尖病巣などの歯性病巣の検索と治療を優先する。皮膚科で金属アレルギーが疑われ、歯周病治療、根尖性歯周炎治療で皮膚症状が軽快せず、成分分析等でパッチテスト陽性金属が口腔内に確認された場合、金属除去を推奨する。 |
| 歯科治療に伴い掌蹠膿疱症が一時的に増悪することがあるが、時間経過とともに改善するため歯科治療は継続する。 |
| スクリーニングおよび PPP/PAO 患者でなくてもすぐに行う治療 |
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| 予防歯科アプローチ |
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| その次に通常では必ずしも行わないが、PPP/PAO では重要な治療として以下を考慮 |
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