1) 骨の成熟、石灰化にかかわる
   分子の同定と解析


 骨格は内軟骨性骨化あるいは膜性骨化のいずれかのプロセスを経て形成され、最終的に石灰化に至ります。前述したように、石灰化の障害はリンの欠乏状態やビタミンDの作用異常、アルカリフォスファターゼ活性の低下などさまざまな原因で起こりますが、骨芽細胞、軟骨細胞の分化や石灰化を制御する分子メカニズムについては不明な点が多く残されています。

 私達は、この複雑な骨成熟、石灰化のメカニズムを詳細に解析することにより、小児期のより良い成長に資するとともに、骨軟化症や骨粗鬆症をはじめとする種々の骨・軟骨疾患の予防や新たな治療法の開発に寄与することをめざしています。これまで、ビタミンD作用機序の分子生物学的解析や変異型アルカリフォスファターゼの機能解析などを行ってきました。現在、内軟骨性骨化の細胞モデルに対してジーントラップ法を適用し、軟骨細胞の分化や石灰化に関与する新規の分子の同定を試みています。


  
     <内軟骨性骨化の概要とそれに関わる分子群>



 これら以外にも軟骨細胞の分化・増殖、および石灰化を制御する分子の同定が相次いでいる。



   

<軟骨細胞分化のin vitro モデルであるATDC5細胞を用いた解析の一例>

 ATDC5細胞に変異を与えることで分化に変化を生じたクローンを単離した。このクローンにどのような変異が生じているかを解析することで、軟骨細胞分化に関わる分子を同定することができる。