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プロジェクトの詳細

  1. 骨の成熟、石灰化にかかわる分子の同定と解析
    骨格は内軟骨性骨化あるいは膜性骨化のいずれかのプロセスを経て形成され、最終 的に石灰化に至ります。前述したように、石灰化の障害はリンの欠乏状態やビタミンDの作用異常、アルカリフォスファターゼ活性の低下などさまざまな原因で 起こりますが、骨芽細胞、軟骨細胞の分化や石灰化を制御する分子メカニズムについては不明な点が多く残されています。

    私達は、この複雑な骨成熟、石灰化のメカニズムを詳細に解析することにより、小児期のより良い成長に資するとともに、骨軟化症や骨粗鬆症をはじめとする 種々の骨・軟骨疾患の予防や新たな治療法の開発に寄与することをめざしています。これまで、ビタミンD作用機序の分子生物学的解析や変異型アルカリフォス ファターゼの機能解析などを行ってきました。現在、内軟骨性骨化の細胞モデルに対してジーントラップ法を適用し、軟骨細胞の分化や石灰化に関与する新規の 分子の同定を試みています。

  2. リン恒常性維持機構の解析
    石灰化骨基質の重要な構成成分であるリンは血中においては無機リン酸の形で存在 し、その恒常性を保つための調節機構が存在します。リンの負荷に対応して血中の無機リン酸の恒常性を維持するための鍵を握るのは腎臓からの排泄であり、腎不全においては高リン血症をきたすことになります。リンの必要量が多い胎児期から小児期のリン代謝の異常は成長障害を来すことから、小児領域においてもリン代謝は重要です。副甲状腺ホルモン(PTH)や活性型ビタミンDは腎臓におけるリン酸排泄量を制御する作用を有しますが、これらの因子は血清カルシウム 値のコントロールを主目的としており、また逆に、血清カルシウム値が副甲状腺に存在するカルシウム感知受容体を介してPTHの分泌量を調節することから、血清無機リン酸の調節はPTHやビタミンDの主たる作用ではありません。

    近年、リン利尿を制御する因子の同定が精力的に行われ、FGF-23、matrix extracellular phosphoglycoprotein (MEPE)、Frizzled-related protein-4(FRP-4)などがリン利尿因子の候補として報告されていますが、これらの作用機序は不明であり、リン利尿因子としての妥当性につい てはさらなる検討が必要です。本研究においては、無機リン酸の恒常性維持機構の詳細を明らかにすることを目的としています。

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