シャント手術を受けられる患者さんへ
バスキュラー・アクセス手術 入院のご案内
1. バスキュラー・アクセスとは
バスキュラー・アクセスとは、血液透析の際に老廃物のたまった血液を体の外に取り出して浄化し、再び体内に戻すための「血液の通り道」のことです。血液透析では、毎分150~250mほどの血液を出し入れする必要があります。しかし通常の血管は細く血流も十分でないため、そのままでは血液透析には適していません。そのため、あらかじめ血液透析に適した太く丈夫で血流豊富な血液の通り道を作ります。これがバスキュラー・アクセスです。代表的なものとして腕の動脈と静脈血管をつなぐ「シャント」や、首や足の付け根に専用のチューブを入れる「カテーテル」などがあります。
2. バスキュラー・アクセス手術(シャント手術)とは
シャント手術とは、腕の動脈と静脈をつなぐ手術です。ご自身の血管どうしを直接つなぐ方法と、人工血管を使ってつなぐ方法があります。場合によっては、ひじの上のあたりで、深い位置にある動脈や静脈を皮膚のすぐ下に移動させる手術(動脈表在化や静脈表在化)を行うこともあります。一方で、ご自身の血管が細すぎる場合や、心臓の働きが極めて悪い場合などシャントを作ることが難しいときには、長期間使用できる透析用カテーテルを首や足の付け根に留置します。
3. 対象となる患者様
腎不全が進行し、近々に血液透析を行う必要がある患者様が対象となります。
4. 術前の主な検査
手術を安全に行うことができるかの確認や術式の決定のために、外来で以下の検査を行っていただきます。
- 血液検査
- 胸部X線検査
- 心電図検査
- 心エコー検査
- 血管エコー検査
とくに血管エコー検査は重要で、両腕の血管の太さや状態、走行を時間をかけてじっくり確認します。これらの検査の結果や患者様がこれまでにかかったご病気や、現在の身体の状態をふまえて、どの部位でどんな手術を行うのかを決定します。
5. その他、術前の準備
- 外来の時点で手術部位を仮決定しますので、手術予定の腕で採血や点滴は行わないようにしてください。
- 術前に内服薬の一部を休薬していただく場合がありますので担当医の指示に従ってください。
- 手術前は絶食となります。入院後にスタッフよりご説明いたします。
- 湿布、入れ歯、アクセサリー類(指輪・時計・ピアス)、マニキュアなど取り外せるものは外してください。
6. シャント手術について
| 麻酔 | 局所麻酔で行います。人工血管の手術などでは、肩の部分の麻酔(腕神経叢ブロック)で腕全体の感覚を低下させる麻酔を行う場合があります。 |
|---|---|
| 手術部位 | 血管の状態により、左右および手首~肘のどの部位かを選択します。 |
| 手術時間 | 1~2時間程度 |
| 入院期間 | 2~3泊(体調や術後の状態により変動することがあります) |
7. シャント術後の注意事項
【シャントの自己確認】
シャントが正常に機能している場合、手術した腕を触ると「スリル(ふるえ)」を触れることができ、聴診器で「シャント音(ザーッという音)」が聞こえます。毎日、シャントの「スリル」と「シャント音」を確認してください。入院中に動画でシャントの音を聞いていただいており、ご自身のシャント音の確認のため聴診器の購入をお願いしています。
⚠ シャント側の腕でしてはいけないこと
- 血圧測定・採血・静脈注射(他院でも必ず申告してください)
- 重い荷物を腕にかけることや、腕を強く圧迫すること(時計バンドを締めすぎるなど)
- 腕まくら
- 創部は清潔に保ち、抜糸(術後1~2週間)までできるだけ濡らさないでください。濡れてしまった場合は、清潔な絆創膏に交換してください。
- 手術後すぐにシャントから血液透析をすることはできません。術後の血管の状態によりますが、通常7~14日後から血液透析に使用できるかどうかを医師が判断します。
8. 主な合併症
| 合併症 | 症状 | 対処 |
|---|---|---|
| シャント閉塞 | スリル・音の消失 | 再手術・抗凝固療法・カテーテル治療など |
| 感染 | 発赤・発熱・腫脹 | 抗菌薬・外科処置 |
| 出血・血腫 | 腫れ・痛み | 圧迫止血 |
| スチール症候群 | 手先のしびれ・冷感 | 血流再建術など |
| シャント発達不良 | 血流不全で血液透析ができない | カテーテル治療・再手術 |
術後、こんなときは連絡してください
- シャントのスリル・音が弱くなった・消えた
- 腕が急に腫れた・ひどく痛む
- 傷口から出血・膿が出た
- 38℃以上の発熱が続く
- 手先がしびれる・冷たい・動かしにくい
