糸球体上皮細胞傷害の修復とvitamin D | 大阪大学腎臓内科

糸球体上皮細胞傷害の修復とvitamin D

Nephrol Dial Transplant 2009; 24: 2354-61

Active vitamin D and its analogue, 22-oxacalcitriol, ameliorate puromycin aminonucleoside-induced nephrosis in rats.

Matsui I, Hamano T, Tomida K, Inoue K, Takabatake Y, Nagasawa Y, Kawada N, Ito T, Kawachi H, Rakugi H, Imai E, Isaka Y.

 

糸球体上皮細胞は尿に血液中の蛋白が漏れないようにバリアーを作る細胞です。尿蛋白は腎機能悪化や心臓・血管障害の原因となります。このため、糸球体上皮細胞の機能をコントロールし、尿蛋白を減少させることは、治療戦略上重要なポイントであると考えられています。活性型vitamin Dは腎機能障害の進行に伴って、不足することが知られていますが、vitamin D不足が腎臓に与える影響については、これまで十分な検討が行われてきませんでした。我々はラット糸球体上皮細胞傷害モデルであるpuromycin aminonucleoside腎症を用いて、糸球体上皮細胞傷害に先行して活性型vitamin Dが不足すること、活性型vitamin Dやその類似体である22-oxacalcitriolを投与すると糸球体上皮細胞傷害を軽減できることを明らかにしています。

正常ラット腎の免疫組織染色

 

Vitamin D受容体を緑で、糸球体上皮細胞の核を赤で染色しています。糸球体上皮細胞の核にvitamin D受容体(黄色)が発現していることが確認できます。