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がん免疫療法

がん細胞のみをピンポイントで攻撃

本庶佑氏のノーベル賞受賞でも話題になったがん免疫療法。がん細胞の免疫に対するブレーキを妨害することで免疫細胞の力を引き出す療法ですが、保仙直毅准教授(呼吸器・免疫内科学)が現在取り組んでいるアプローチはその反対。免疫細胞自体の力を強め、がん細胞への攻撃力を高める療法です。その鍵となるのは、多発性骨髄腫という血液がん細胞の表面にある、インテグリンβというタンパク質。がん細胞の表面で活性化するこのタンパク質を識別して攻撃する強力な免疫細胞(CAR-T細胞)を人工的に作り出すことで、がん細胞のみを処理する治療法が実現すると言われています。

人工免疫細胞(CAR-T細胞)は、がん細胞の表面でのみで活性化するタンパク質(インテグリンβ)を識別し、がん細胞をピンポイントで攻撃する。