研究の地平

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針のない注射

一回のワクチン量はもっと減らせる。

中神啓徳寄附講座教授(健康発達医学)と山下邦彦特任准教授(先進デバイス分子治療学)らの研究グループは、ガス式で針のない薬剤投与デバイスを開発。このデバイスを用いて核酸ワクチンを皮内(表皮と真皮の間)に投与し効果を調べた動物実験では、筋肉投与に比べて少量のDNAワクチンで効果を得ることができました。現在では医師主導のもと、新型コロナウイルスに対するDNAワクチンの治験を行っています。現行のワクチンは筋肉内あるいは皮下への注射が一般的。皮内へ正確に投与できれば、必要なワクチン接種量は5分の1から10分の1に抑えられる可能性があります。そうなればより多くの人へワクチンが行き渡るはずです。

火薬を駆動力とすることで、薬液だけが皮膚を通過します。薬液中の遺伝子は、皮内で発現しやすいよう特別に設計されています。