RNAの巻き方
「センサー」の誤作動を防ぐ。
私たちの身体では、ウイルスのRNAを感知するセンサー「MDA5」が働き、自然免疫が活性化します。ところが、自分のRNAを異物と誤認して免疫の暴走を招くケースはかねてから指摘されていました。そこで中濱泰祐助教、河原行郎教授(神経遺伝子学)らの研究グループは、RNAの巻き方に注目。本来は右巻きのRNAを左巻きに変える酵素「ADAR1」が適切に作用しないマウスは、免疫が暴走し、先天性免疫異常疾患「エカルディ・グティエール症候群(AGS)」とよく似た脳症が認められました。RNAの巻き方が鍵を握ることがここに示されたのです。AGSの新しい治療法のみならず、ウイルス感染を早期に発見する手法の開発につながる成果といえるでしょう。
