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小腸移植

移植という選択肢をスタンダードに

奥山宏臣教授(小児成育外科学)らは、病気で小腸の大半を失った30代の患者に、脳死患者から提供された小腸を移植することに成功しました。2017年に小腸移植が保険適用となってから成人の患者では国内初です。これまでは小腸移植というと、技術的な難易度の高さや、高額の医療費に阻まれて、治療の選択肢から除外されがちでしたが、今回の事例を皮切りに脳死臓器提供による小腸移植が当たり前のものになれば、小腸の機能不全によって点滴からの栄養摂取を余儀なくされている患者さんの社会復帰が格段に進むはずです。

手術を受けた男性は、8年間、点滴からしか栄養を摂ることができませんでしたが、移植後は普通の食事ができるまでに回復しました。