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老化細胞除去ワクチン

いつまでも若々しくありたい人へ。

培養細胞の観察を続けていると、細胞の増殖が止まる細胞老化という現象が確認できます。これを引き起こす老化細胞は周囲の細胞に対して老化を促進し悪影響を及ぼすため、除去すれば加齢に伴うさまざまな病気を改善する可能性があります。そこで中神啓徳寄附講座教授(健康発達医学)らは、老化細胞除去ワクチンを開発し、糖尿病モデルマウスに投与。その結果、老化細胞が減り、高血糖などの病態の改善効果が得られることが明らかになりました。感染症予防やがん治療に主として用いられてきたワクチンですが、今後は生活習慣病や難治性疾患の治療にも効果を発揮するようになるかもしれません。

老化細胞は糖尿病だけでなくさまざまな疾患への関与が考えられ、臓器別でなく複数の疾患にまたがった治療法の可能性も開けました。