研究の地平

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末梢神経再生シート

絆創膏のように巻くだけ。

末梢神経障害に対する従来の医療機器は、神経の「保護」のみを目的として使用範囲は限定的でした。新たな治療法を見出したのは、田中啓之特任教授(運動器スポーツ医科学)らの研究グループ。NIMS(物質・材料研究機構)と共同で開発した薬剤含有シートは、末梢神経に直接巻きつけることで、「保護と再生」の2つのはたらきをします。このシートはナノファイバーメッシュによる神経の「保護」に加え、「再生」に重要な薬剤を持続的に供給。製薬メーカーの参画で商用規模での生産も行えるようになっていて、治験も始まっています。国内に数十万人の患者さんがいるとされる手根管症候群などの新たな治療デバイスとなるのも夢ではないでしょう。

ナノファイバーは、髪の毛の1000分の1ほどの細さ。メッシュ状のシートは非常に柔軟で、身体の中で自然に分解されます。