研究の地平

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シングルセル解析

1細胞ごとの解析で、治療効果を予測。

難病の顕微鏡的多発血管炎(MPA)は、全身の小型血管に炎症が生じ、内臓機能の低下などさまざまな症状を引き起こす自己免疫疾患です。白血球の異常が原因とされ、治療法はありますが、治療効果や再発についての予測は困難でした。そこで西出真之助教、楢崎雅司特任教授、熊ノ郷淳教授(呼吸器・免疫内科学)らの研究グループは、1細胞ごとに遺伝子の発現量や特徴をつかむ最先端の手法「シングルセル解析」に着目。この手法で患者の白血球を解析し、「単球」と呼ばれる大型の白血球で遺伝子の発現の違いがあることを発見しました。シングルセル解析の結果を実際の血液検査値などの臨床情報と関連づけることで、治療効果や予後を事前に予測できる可能性が見出されたのです。

従来の手法では細胞をまとめて解析するため、平均的なデータを割り出すにとどまりましたが、新しい手法では1細胞ごとの遺伝子発現を調べられます。