研究の地平

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肺線維症

新しいモデルマウスで難病を克服。

茂呂和世教授(生体防御学)らの共同研究グループは、指定難病である特発性肺線維症(IPF)の病態解明に役立つ新たなモデルマウスを開発しました。自然リンパ球を抑制する遺伝子を欠損したマウスで実験したところ、自然リンパ球が恒常的に活性化。それにより肺線維症が自然発症することを突き止めました。これまで報告されていた上皮細胞のDNAの損傷から生じる線維化とは異なる、新しいメカニズムが明らかになったのです。さらに、IPF患者の末梢血中のリンパ球を解析し、ヒトにも同じメカニズムが存在する可能性を見出しました。今後、いまだに効果的な治療法のない肺線維症において、病態の解明のみならず、新薬の開発が大きく進展すると期待されています。

リンパ球のILC2が活性化し、線維芽細胞からコラーゲンが産生されて線維化。併せて産生されたIL-33が、ILC2の活性化を助長するループとなっています。