研究の地平

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肝臓の炎症

敵の侵入を防ぐ肝臓の門番。

肝臓には、腸管で吸収された栄養素以外にも、腸内細菌やその関連物質が門脈という血管を通じて流入しています。このことにより肝臓が炎症しないよう、通常は免疫が制御されていますが、そのメカニズムはよく分かっていませんでした。宮本佑特任助教、石井優教授(免疫細胞生物学)らの研究グループは、肝臓の入り口付近に分布する一部の常在性マクロファージが、腸管経由で入り込む物質から肝臓をガードしていることを発見。そのような“衛兵マクロファージ”は、一部の腸内細菌が産生するイソアロリトコール酸によって誘導されていました。将来的には、衛兵マクロファージを人為的に増やして、慢性肝炎等の予防や治療につなげることも期待されています。

門脈付近に分布する“衛兵マクロファージ”が、病原体を飲み込んで消化し、周囲の炎症を抑制。肝臓の恒常性を維持します。