大阪大学大学院医学系研究科
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分子病態生化学
Department of Molecular Biology and Biochemistry, Graduate School of Medicine, Osaka University
生体システムとしてのシグナル伝達の分子基盤の確立

私達ヒトを構成する多数の細胞には、接着や細胞外の情報(シグナル)により正しく応答する仕組みが備わっています。これを細胞内シグナル伝達機構とよび、この仕組みが破壊されることが、種々の疾患の発症原因になると考えられています。私達は、細胞の増殖や分化、運動、極性決定等におけるシグナル伝達機構の役割を明らかにすると共に、その異常に基づく疾患の原因を解明し、新しい診断法や治療法を開発することを目指しています。特に、Wntシグナルを中心に据えた研究を展開していますが、他のシグナル経路とのクロストークを視野にいれ、シグナル伝達機構を遺伝子型と表現型を繋ぐ「生体のシステム」としてとらえながら、生命科学や病態に関する新たな分子基盤の創出を行います。

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2021.04.05 研究内容紹介」のページを更新しました。
「Wntシグナルと癌」に「肺腺癌におけるArl4c発現の臨床的意義とArl4cを標的としたアンチセンス核酸を用いた新規治療法の開発」を追加いたしました。
また、「II型膜タンパク質CKAP4の機能」に「パルミチン酸化CKAP4によるVDAC2を介したミトコンドリア機能の制御」を追加いたしました。
2021.04.01 セミナーご案内」に新しい情報が掲載されました。
2021年5月21日にWEB配信にて慶應義塾大学医学部 病理学教室 教授 金井弥栄先生によるセミナー『難病への挑戦:病理検体のゲノム・エピゲノム解析で見えるがんの本態: 個別化医療開発に向けて』が開催されます。奮ってご参加ください。
2021.03.31 准教授の山本英樹が滋慶医療科学大学教授として異動しました。
修士課程学生の瀬田みなみが学位を取得して、課程を修了しました。
2020.11.10 セミナーご案内」に新しい情報が掲載されました。
2020年11月20日に東北大学加齢医学研究所 加齢制御研究部門 遺伝子発現制御分野 教授 本橋 ほづみ先生によるセミナー『難病への挑戦:NRF2依存性がんの悪性化機構と治療戦略』が開催されます(Web開催)。奮ってご参加ください。
2020.09.29 助教の原田武志の論文がJ. Cell Sci.に採択されました。本論文では、小胞体に局在するCKAP4がミトコンドリアのVDAC2と結合することにより、IP3受容体―VDAC2を介する小胞体からミトコンドリアへのCa2+流入を調節することを明らかにしました。CKAP4の発現を抑制することにより、ミトコンドリアのCa2+濃度が上昇し、ミトコンドリアの形態異常と膜電位の低下が認められました。さらに、CKAP4欠損がん細胞では、ミトコンドリアの酸素消費量が減少し、低グルコース濃度下ならびにin vivoでの増殖能が低下しました。CKAP4は膜直下のシステインはパルミチン化されています。CKAP4欠損による表現型は、野生型CKAP4の発現により回復しましたが、パルミチン酸化されないCKAP4の発現では回復しませんでした。これまで、小胞体に局在するCKAP4は小胞体の形態を制御することが知られていましたが、本研究によりIP3受容体とVDAC2の結合を調節することにより、ミトコンドリアの機能も制御することが明らかになりました。また、CKAP4のパルミチン酸化の重要性も示されました。
2019.12.23 大学院生の木村賢二の論文がCancer Sciに採択されました。私共が新規のがん遺伝子として発見したARL4Cは肺がんで悪性化に関わりますが、本論文では、肺がんの前がん病変である異型腺腫様過形成においても60%の症例で発現していることが判明しました。また、不死化した肺気管支上皮細胞にARL4Cに発現させると細胞増殖能が亢進し、細胞死が減少しましたが、がん化はしませんでした。したがいまして、ARL4Cが発現したことに加えて、他のがん遺伝子等に異常が起こると肺がんが発症する可能性が考えられました。RASやEGF受容体に変異のある肺がん細胞を同所移植したマウスモデルに、ARL4Cに対する修飾型アンチセンス核酸(ARL4C ASO)を経気道的に投与すると、腫瘍増殖が抑制されました。ARL4CはEGF受容体シグナルにより発現誘導されることから、ARL4C ASOを用いた肺がん治療法開発は有用であると考えられました。
2019.11.21 研究内容紹介」のページを更新しました。
「Wntシグナルと癌」に「小児肝芽腫におけるWntシグナル関連分子標的GREB1の同定と抗癌剤の開発」「DKK1受容体CKAP4とLRP6のパルミチン酸化修飾を介したDKK1シグナルの制御機構」を追加いたしました。
「Wntと増殖因子シグナルによる上皮形態形成」に「線維芽細胞MARK1による肺胞上皮組織の形態形成制御」を追加いたしました。
II型膜タンパク質CKAP4の機能」を追加いたしました。
2019.11.06 助教麓勝己の論文がJ Cell Sciに採択されました。本論文では、2017年Development誌に発表した肺の形態形成制御に関わるMark1の線維芽細胞における役割を明らかにしました。胎生後期になると、Mark1は線維芽細胞に多く発現するようになり、Mark1 knockoutマウス胎児肺では、気管支遠位側に形成される肺胞内腔の拡張が阻害されました。その分子機構を明らかにするために、肺上皮細胞と線維芽細胞の共培養実験系とその数理モデルを構築しました。その結果、線維芽細胞Mark1はヘッジホッグシグナルを介してコラーゲン蓄積と間質リモデリングを促進することにより、肺胞上皮細胞を扁平化し、羊水等による内圧に依存して肺胞拡張を促進する作用があることが示唆されました。
2019.10.29 セミナーご案内」に新しい情報が掲載されました。
2019年11月7日に千里ライフサイエンスセンタービルにて大阪市立大学大学院医学研究科 分子生体医学講座 病態生理学 教授 大谷 直子先生によるセミナー『難病への挑戦:腸内細菌叢とがん』が開催されます。奮ってご参加ください。
2019.10.19 大学院生佐田僚太の論文がScience Signalingに採択されました。本論文では、DKK1の新規受容体として見出したCKAP4がパルミチン酸化を受けていることに着目して以下の成果を挙げました。CKAP4のパルミチン酸化は、CKAP4の細胞膜上の脂質ラフト画分への局在に必要であり、DKK1依存性のAKTの活性化並びに、腫瘍増殖性にも必要でした。DKK1がCKAP4に結合すると、CKAP4の脱パルミチン酸化が生じ、CKAP4は脂質ラフト画分から非脂質ラフト画分に移動しましたが、この反応にはAKTの活性化と脱パルミチン酸化酵素APTが必要でした。私共は2006年に、DKK1の本来の受容体であるLRP6が、DKK1依存性に脂質ラフト画分から非脂質ラフト画分に移動することを報告していましたが、この機序にもLRP6の脱パルミチン酸化が関与することが明らかになりました。すなわち、DKK1の二つの受容体LRP6とCKAP4が、パルミチン酸化修飾により細胞膜上のミクロドメインでの局在が変化し、下流シグナルの活性を制御することが示唆されました。さらに、LRP6はDKK1、CKAP4と複合体を形成し、DKK1-CKAP4シグナルを活性化することも判明しました。
2019.09.09 セミナーご案内」に新しい情報が掲載されました。
2019年9月30日に千里ライフサイエンスセンタービルにて東京大学大学院医学系研究科 脳神経医学専攻神経病理学分野 教授 岩坪 威先生によるセミナー『難病への挑戦:アルツハイマー病の克服をめざして』が開催されます。奮ってご参加ください。
2019.07.19 助教の松本真司と大学院生山道拓の論文がNat. Commun.に採択されました。本論文では、小児肝腫瘍の肝芽腫において、異常活性化されたWnt/βカテニン経路が発現誘導する新規の標的因子としてGREB1を見出しました。GREB1はSmad2/3と結合することによりTGFβ経路を阻害し、肝芽細胞をがん化することがわかりました。さらに、GREB1に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドが、ヒトおよびマウス肝芽腫モデルに対して、腫瘍抑制効果を示しました。これらの結果から、肝芽腫の腫瘍形成の分子機構が明らかとなり、GREB1を標的とする肝芽腫治療薬の開発が可能となりました。さらに、GREB1は本来ホルモン感受性の補因子として作用することが知られていましたが、本研究によりGREB1の新規の機能が発見されました。
2019.05.29 大学院生大杉の論文がMol. Cell. Biol.に採択されました。本論文では、DKK1の新規受容体として見出したCKAP4が細胞膜上で、DKK1に依存することなく、インテグリンと結合して、SNX17 (sorting nexin 17) と競合することにより、インテグリンのリソソームの輸送を促進することを明らかにしました。インテグリンのエンドソームからのリソソームへの輸送と細胞膜へのリサイクリングの制御の新たな分子機構が解明されました。
2019.05.17 セミナーご案内」に新しい情報が掲載されました。
2019年5月29日に千里ライフサイエンスセンタービルにて京都大学大学院 医学研究科 発達小児科学 教授 滝田 順子先生によるセミナー『難病への挑戦:小児がんのトランスレーショナルリサーチ』が開催されます。奮ってご参加ください。
2019.04.01 大学院生名越章裕(博士課程)、井口浩輔(博士課程)と瀬田みなみ(修士課程)がメンバーに加わりました。
2019.01.31 セミナーご案内」に新しい情報が掲載されました。
2019年2月22日に千里ライフサイエンスセンタービルにて福島県立医科大学医学部 多発性硬化症治療学講座 教授、一般財団法人 脳神経疾患研究所 多発性硬化症・視神経脊髄炎センター センター長 藤原 一男先生によるセミナー『難病への挑戦:視神経脊髄炎:疾患概念の変遷と自己免疫性アストロサイトパチーの病態』が開催されます。奮ってご参加ください。
  研究内容紹介」のページを更新しました。「Wntシグナルと癌」の「ヒト癌における新規Dkk1-CKAP4シグナル軸の発見とCKAP4を標的とする抗癌剤開発」を更新しました。
2019.01.02 特任助教 木村公一の論文がClin. Cancer Res.に採択されました。本論文では、DKK1の新規受容体として私共が見出したCKAP4に対するモノクローナル抗体を作製しました。作製にあたって、野生型マウスとCKAP4 ノックアウトマスにヒトCKAP4抗原を免疫した点がユニークです。6種類のエピトープの異なる抗CKAP4抗体の中から、強い抗腫瘍効果を示す抗体が取得できました。また、本抗体はゲムシタビン耐性膵がん細胞株に対しましても増殖阻害効果をしましました。CKAP4がエクソソームと共に細胞外に分泌することが明らかになりましたので、抗CKAP4抗体を用いたELISAを開発しました。その結果、膵がん患者血清中のCKAP4値は健常人血清のCKAP4値よりも高いことが判明しました。従いまして、抗CKAP4抗体は膵がん等に対する新規の抗がん剤となる可能性と共に、コンパニオン診断薬の開発にも有効と考えられました。
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  • 上皮管腔組織の形成・維持と破綻における極性シグナル制御の分子基盤の確立 【文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究(平成23〜27年度)】
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