大阪大学大学院医学系研究科
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分子病態生化学
Department of Molecular Biology and Biochemistry, Graduate School of Medicine, Osaka University
生体システムとしてのシグナル伝達の分子基盤の確立

私達ヒトを構成する多数の細胞には、接着や細胞外の情報(シグナル)により正しく応答する仕組みが備わっています。これを細胞内シグナル伝達機構とよび、この仕組みが破壊されることが、種々の疾患の発症原因になると考えられています。私達は、細胞の増殖や分化、運動、極性決定等におけるシグナル伝達機構の役割を明らかにすると共に、その異常に基づく疾患の原因を解明し、新しい診断法や治療法を開発することを目指しています。特に、Wntシグナルを中心に据えた研究を展開していますが、他のシグナル経路とのクロストークを視野にいれ、シグナル伝達機構を遺伝子型と表現型を繋ぐ「生体のシステム」としてとらえながら、生命科学や病態に関する新たな分子基盤の創出を行います。

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2022.04.01 松本真司准教授が分子病態生化学教室のPIとなり、研究室の運営を行います。
原田昭和が助教に就任しました。
2022.03.31 菊池 章は定年退職して、4月1日から大阪大学感染症総合教育研究拠点(CiDER)で勤務します。
2022.03.30 菊池 章教授の最終講義は滞りなく終了いたしました。これまでお世話になりました全ての関係者の方々に、心からお礼を申し上げます。
2022.03.10 2022年3月29日に菊池章教授の最終講義が行われます。オンラインで配信いたしますので、ご興味のある方は、https://www.cresci-inc.jp/free_form/final_lecture.htmlから事前登録をお願い申し上げます。お申込みいただけますと、申込完了通知メールとともにZoom Webinarのリンクをお知らせいたします。
2022.02.10 セミナーご案内」に新しい情報が掲載されました。
2022年2月21日に大阪大学大学院医学系研究科 分子病態生化学 教授 菊池 章先生によるセミナー『Wntシグナル研究を基盤とした新規抗がん剤開発への挑戦』が開催されます(Web配信)。奮ってご参加ください。
2021.12.16 研究内容紹介」のページを更新しました。
「Wntシグナルと癌」に「膵癌におけるArl4cを介した新規転移機構の解明と、治療薬としてのArl4cアンチセンス核酸の動態とその効果」、「膵がんと食道がんにおけるDKK1-CKAP4-FOXM1シグナル軸を介した腫瘍増殖促進メカニズムの解析」を追加いたしました。
2021.12.08 研究業績」のページを更新しました。
2021.09.30 大学院生の原田昭和の論文がeLifeに採択されました。私共が新規のがん遺伝子として発見したArl4cは大腸がんや肺がん、肝がん等で悪性化に関わりますが、本論文では、Arl4cが膵がんの悪性化に関与することと、Arl4cを介した転移の新規分子機構を明らかにしました。膵がんは転移する頻度が高いがんですが、周囲に線維性組織(間質)が豊富に存在しています。転移するためには、この間質を壊しながら浸潤する必要があります。これまで、膵がん細胞が浸潤する際に、invadopodia(浸潤突起)が細胞腹側面に形成され、周囲組織を壊すことが示されてきました。しかし、Arl4cを多く発現する膵がん細胞では、invadopodia は認められず、代わりに細胞先導端にinvasive pseudopod(浸潤仮足)が突起構造を形成することが判明しました。Arl4cはその突起の先端に位置し、IQGAP1とMMP14をリクルートして、がん細胞周囲の組織を破壊しました。さらに、Arl4cを標的としたアンチセンス核酸(ASO)をマウス皮下に投与すると、膵がんの腸間膜リンパ節への転移が阻害されることを、マウスモデルを用いて明らかにしました。Arl4c ASOはArl4cを発現した膵がん細胞に特異的に集積することから、副作用の少ない治療薬として治療への応用が期待されます。
2021.09.17 セミナーご案内」に新しい情報が掲載されました。
2021年11月10日に国立がんセンター研究所 基礎腫瘍学ユニット 独立ユニット長 大木理恵子先生によるセミナー『発見後40年以上が経過した、最も有名ながん抑制遺伝子p53の新機能』が開催されます(Web開催)。奮ってご参加ください。
2021.05.24 助教の木村公一と佐田遼太の論文がOncogeneに採択されました。本論文では、発がん活性を有する分泌タンパク質Dickkopf1(DKK1)のがん細胞における過剰発現の分子機構を明らかにしました。DKK1はWntシグナルの標的分子であり、Wntシグナルの異常活性化しているがん細胞で高発現していますが、Wntシグナルが活性化していないがん細胞も高発現しています。私共は、DKK1の新規受容体としてCKAP4を同定して、DKK1-CKAP4シグナル軸の下流標的分子を探索していました。その過程で、転写因子FOXM1が膵がん細胞においてDKK1により発現誘導されることを見出しました。FOXM1は細胞周期の調節に必須の転写因子であり、種々のがんで高発現しています。興味深いことに、FOXM1がDKK1の5’側上流のエンハンサー領域に結合し、DKK1の発現を促進することも明らかになりました。また、ヒト膵がんと食道がん症例において、DKK1とFOXM1の両タンパク質が発現した症例は、他の症例に比べて予後が不良でした。これらの結果から、DKK1-CKAP4-FOXM1シグナルは、Wntシグナルの活性化していないがんにおいて、正のフィードバックループを形成し、がん細胞増殖を促進することが示唆されました。
2021.04.05 研究内容紹介」のページを更新しました。
「Wntシグナルと癌」に「肺腺癌におけるArl4c発現の臨床的意義とArl4cを標的としたアンチセンス核酸を用いた新規治療法の開発」を追加いたしました。
また、「II型膜タンパク質CKAP4の機能」に「パルミチン酸化CKAP4によるVDAC2を介したミトコンドリア機能の制御」を追加いたしました。
2021.04.01 セミナーご案内」に新しい情報が掲載されました。
2021年5月21日にWEB配信にて慶應義塾大学医学部 病理学教室 教授 金井弥栄先生によるセミナー『難病への挑戦:病理検体のゲノム・エピゲノム解析で見えるがんの本態: 個別化医療開発に向けて』が開催されます。奮ってご参加ください。
2021.03.31 准教授の山本英樹が滋慶医療科学大学教授として異動しました。
修士課程学生の瀬田みなみが学位を取得して、課程を修了しました。
  • 特任助教・大学院生募集
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  • 第91回日本生化学会大会
  • 上皮管腔組織の形成・維持と破綻における極性シグナル制御の分子基盤の確立 【文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究(平成23〜27年度)】
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