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研究成果概要

計画研究02

組織幹前駆細胞の極性制御と運命決定
研究代表者: 大野 茂男
連携研究者: 廣瀬 智威
連携研究者: 中谷 雅明
連携研究者: Spyros Goulas
連携研究者: 佐々木 和教
研究成果概要

細胞極性の制御因子のなかでも、中心的な位置を占めることが明らかとなっているaPKC-PAR系に着目し、解析を進めてきました。これまでに、乳腺組織特異的KOマウス、乳腺組織由来の細胞のin vitro培養系(浮遊マンモスフィア、二次元コロニー、三次元オルガノイド)、セルソータで濃縮した組織幹細胞、管腔前駆細胞画分などの実験系を用いて、aPKCが、幹細胞と管腔前駆細胞とで、全く異なった役割を果たすことを見出しています。そして、乳腺組織幹細胞、乳腺管腔前駆細胞の各々について、分子機構の詳細の解析を進めています。

並行して、aPKC-PAR系とその周辺分子に関する解析を進めました。これまでに、aPKC-PAR系の抑制因子Lgl2が、VprBP(DCAF1)に結合してCul4A-VprBP E3 ligase複合体の形成を抑制し、これがLglによる細胞周期の抑制作用に関わること、さらにaPKCによるLgl2のリン酸化がこの制御を解除することを示しました。また、PAR3の役割として、一群の遺伝子群の転写調節があることを示すと同時に、Girdinがその一つであり、これが上皮細胞の極性化に積極的に関わることを示しました。さらに、aPKC/PAR6/PAR3複合体の細胞接着部位への局在化を通じて、接着装置の形成に関わるASPP2について、その上流因子としてE-カドヘリンを結ぶ新規分子を同定しました。これら分子及びその相互作用の乳腺幹前駆細胞における役割の解析も進めています。