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研究成果概要

計画研究04

上皮管腔形成過程における細胞動態と機能分子動態の3次元イメージング解析
研究代表者: 大橋 一正
研究成果概要

本研究では、管腔形成過程の上皮細胞集団の秩序化におけるアクチン骨格の再構築制御機構とメカノストレス応答の役割を解明することを目的としました。乳腺上皮細胞の細胞外基質の硬さ依存的な形質転換に関与するRho-GEFとして同定したFarp1の機能解析を行い、Farp1は、N末端のFERMドメインを介してインテグリンに結合し、上皮細胞の基質への接着依存的な細胞増殖に寄与することを明らかにしました。また、繰り返し伸展刺激による血管内皮細胞集団の整列に関与するRho-GEFの網羅的探索を行い、約70種のRho-GEF分子の中から11種類のRho-GEFが関与することを同定しました。その中の一つのSoloについて研究を進め、繰り返し伸展刺激による細胞の方向転換において細胞間接着からの力負荷刺激に依存していること、MDCK細胞に対する繰り返し伸展刺激依存的なRhoAの活性化に必要であることを明らかにしました(J. Cell Sci., 2015)。さらに、上皮細胞におけるSoloの結合タンパク質を探索した結果、単層上皮特異的に発現するケラチン8/18線維と結合することを明らかにし、Soloは、MDCK細胞内のケラチン8/18線維の正常なネットワーク形成に必要であることを明らかにしました(Mol. Biol. Cell, 2016)。MDCK細胞に張力を負荷すると、細胞はその力の方向にstress fiberを形成しますが、Solo又はケラチン18の発現抑制により、その張力負荷によるstress fiber形成が抑制されることを明らかにしました。また、これらの応答にSoloとケラチンの結合が重要であり、Soloはケラチン8/18線維を介したメカノシグナルによって活性化され、RhoAの活性化とstress fiberの形成を引き起こすことを明らかにしました(Mol. Biol. Cell, 2016)。さらに、Soloは、MDCK細胞のコラーゲンゲル上の集団移動速度に関与することを見出しました。また、MDCK細胞のコラーゲンゲル内の3次元培養によるHGF依存的な管腔形成モデルを用いた解析から、Soloは管腔の内腔の大きさを制御することが示唆されました(未発表)。