• 研究成果概要・研究業績
  • 文部科学省
HOME研究成果概要・研究業績 > 研究成果概要 : 計画研究06
研究成果概要

計画研究06

平面細胞極性シグナルの異常と繊毛関連症候群及び癌の浸潤転移
研究代表者: 南 康博
研究分担者: 手塚 徹
研究成果概要

本領域での研究から、(1)腎発生で根幹となる、上皮組織(ウォルフ管)と間葉組織(後腎間葉)の相互作用において、後腎間葉での限局したWnt5a-Ror2シグナルの活性化が限局したGDNF-Retシグナルの活性化をもたらし、ウォルフ管から左右各々1つの尿管芽の形成を誘導しますが、Wnt5a-Ror2シグナルの欠損マウスで重複腎・尿管奇形が見られることやRor1Wnt5aと遺伝学的相互作用を示すこと、(2)腎線維症モデルの解析から、尿管上皮細胞の上皮間葉転換に伴いWnt5a-Ror2シグナルが活性化され、マトリックスメタロプロテアーゼ2(MMP-2)が誘導されることによって尿管上皮基底膜が破壊されること、(3)発生過程の大脳皮質において、Wnt5a-RorシグナルがDishevelledを介して神経前駆細胞の幹細胞性の維持において重要な役割を担うこと、(4)一次繊毛の形成に重要な因子であるIFT20 (intraflagellar transport 20) が、骨肉腫細胞においてWnt5a-Ror2シグナルによって誘導され、ゴルジ体の極性や構造を制御し、浸潤突起形成や浸潤能の亢進に重要な役割を担うこと(未発表)、(5)間葉系幹細胞におけるWnt5a-Ror2シグナルがケモカインCXCL16の発現誘導を介してCXCR6陽性癌細胞の増殖を促進すること、及び(6)Wnt5a-Ror2シグナルやDokアダプター分子が腸管上皮組織の恒常性維持に重要な役割を担うこと(未発表)、を明らかにしました。