• 研究成果概要・研究業績
  • 文部科学省
HOME研究成果概要・研究業績 > 研究成果 > 平成24〜25年度: 公募研究01
研究成果

平成24〜25年度: 公募研究01

新規Wntシグナル修飾因子LGR4による乳腺上皮細胞運命の決定と極性制御機構解明
研究代表者: 西森 克彦
研究成果

我々は本研究課題において、上皮組織特異的LGR4遺伝子欠損マウス、LGR4発現細胞でEGFPを発現するマウスを用い、乳腺管腔構造形成とその維持に於いてLGR4が果たす機能の解明に取り組んだ。その結果、 lgr4 遺伝子欠損により、乳腺乳管組織の枝分かれ構造の減少、妊娠時の乳腺房形成異常に伴う乳汁産生不全などの構造・機能的異常が引き起こされる事を見出した。この組織特異的 lgr4 遺伝子欠損マウス乳腺細胞を、フローサイトメーターを用いて解析した。その結果、乳腺上皮細胞の未分化マーカーの発現が減少する事を見出し、LGR4が乳腺上皮細胞の未分化性維持に寄与している事が明らかとなった。加えて乳腺上皮細胞の3次元培養実験を試み、Wnt系液性因子の培地への添加により、乳腺における様管腔構造の形成がこれらの因子に依存し、また制御されている可能性を示す、興味深いin vitro実験の結果が得られた。

これとは別に、我々は上皮組織特異的 lgr4 遺伝子欠損マウスの雌が生殖能の低下を示す事から、上皮管腔組織・雌性生殖器官の子宮に着目し解析を行った。そして Lgr4 遺伝子欠損マウスは子宮上皮の管腔構造である分泌腺の発達不全から、胚の着床に必要なLIF分泌が低下する為、着床が進行しないというメカニズムを見出した。これはWnt/Rspo/LGR4に依存するシグナル制御が子宮分泌腺管腔構造の形成に重要な役割を果たしている事を示す。なお、以上の結果はFaseb Journalへ投稿発表した。