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研究成果

平成24〜25年度: 公募研究04

管形成過程における紡錘体配向の変換機構
研究代表者: 松本 邦弘
研究成果

これまでの本領域での研究から、以下のことを明らかにした。MDCK細胞はマトリゲル上で培養すると、中央に内腔をもつ嚢胞を形成することが知られている。我々はROCOファミリーキナーゼLRRK1をノックダウンすると、複数の内腔を持つ嚢胞が形成されることを見出した。適切なM期スピンドル配向が嚢胞形成に重要であることが知られており、次にこのプロセスにおけるLRRK1の役割を検討した。その結果、(1)LRRK1がM期に必須なキナーゼPLK1の下流でスピンドル配向を制御していることを明らかにした。PLK1はPolo-boxドメインを介してLRRK1と結合し、LRRK1の1970番目のセリンをリン酸化する。PLK1によるLRRK1のリン酸化は、CDK1依存的な中心体での活性化に必要であった。また、(2)活性化したLRRK1は、星状体微小管の形成を介して、スピンドル配向を制御していた。星状体微小管はM期中心体から伸び、その形成は中心体の微小管形成活性に依存している。LRRK1がこの中心体微小管形成活性に重要であることを明らかにした。さらに、(3)LRRK1は中心体構成蛋白質CDK5RAP2をリン酸化し、微小管形成に必須な因子γ-tubulinとの結合を促進することを明らかにした。このことは、LRRK1がCDK5RAP2を介して中心体の微小管形成活性に機能していることを示唆している。以上の結果から、LRRK1はPLK1の下流、CDK5RAP2の上流でスピンドル配向を制御し、嚢胞形成に重要な役割を担っていることが示唆された。