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研究成果

平成24〜25年度: 公募研究05

細胞膜脂質が上皮管腔構造形成において果たす役割の解明
研究代表者: 池ノ内 順一
研究成果

私は本領域に参加して、上皮極性や上皮管腔構造が形成される過程に、細胞膜脂質が関与しているのかについて研究を行いました。上皮細胞のみならず出芽酵母の分裂など、自然界には細胞が極性化する例を多数見つけることができます。近年、Par/Crumb/Scribble複合体など上皮細胞の極性形成に寄与する分子群の同定が進みましたが、これらの中で例えば出芽酵母に於いても明確なホモログが存在するのはLglとCdc42だけであり、私は、進化的に高度に保存された細胞膜の構成要素である多様な脂質が極性形成に寄与するのではないかと考えました。その結果、上皮細胞のアピカル膜の微絨毛にスフィンゴミエリンが高度に集積していることを免疫電顕により明らかにしました。また既に極性を獲得した上皮細胞でスフィンゴミエリンを消失させると極性を維持したまま微絨毛のみが失われることを見出しました。更にスフィンゴミエリンと特異的に共役して微絨毛を形成する膜タンパク質複合体(Podocalyxin-1―EBP-50―PIP5Kbeta)を同定しました(J. Cell Sci., 2013)。また三次元培養の開始時からスフィンゴミエリンを消失させると異常な管腔を持つシストが形成されることを見出しました。このようにスフィンゴミエリンが上皮極性形成や管腔形成に関与することが明らかになり、引き続き、その仕組みについて解析を行っています。