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研究成果

平成24〜25年度: 公募研究11

分泌経路のリモデリングが上皮管腔組織形成に果たす必須の役割
研究代表者: 中村 暢宏
連携研究者: 石田 竜一
研究成果

イヌ腎臓上皮細胞(MDCK)をガラス基質上でコンフルエントになるまで培養すると,単層上皮様の構造を取ります。この際,ゴルジ体に局在するGRASP65が細胞膜に移動することを発見しました。GRASP65は小胞体からゴルジ体へやってきた輸送小胞の目印となり輸送を促進するする働きを持っています。従って,GRASP65は単層上皮構造形成の際,細胞膜にも局在して輸送小胞の目印となることで,ゴルジ体を介さない新規な輸送経路に関与することが示唆されました。GRASP65の細胞膜局在を形態学的・生化学的手法で精査したところ,リン酸化されたGRASP65が細胞表面に移行している可能性が示唆されました。しかしながら,リン酸化GRASP65のウェスタンブロッティングを試みたところ,βカテニンとの交叉反応が検出され,リン酸化GRASP65の細胞膜への特異的な移行の証明を阻む結果となっています。一方,GRASP65を過剰発現させると細胞膜へ容易に移行することから,リン酸化GRASP65が細胞分化・分極にともなって細胞膜へと移行する可能性は十分残っています。逆にβカテニンとの交叉反応は,リン酸化されたGRASP65とβカテニンが共通の結合基質を持つ可能性を示しており,GRASP65とβカテニンのクロストークという画期的な可能性が示唆されます。