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研究成果

平成24〜25年度: 公募研究14

上皮管腔形成における変異細胞と正常細胞の競合 −超初期発がんメカニズムの解明−
研究代表者: 加藤 洋人
研究成果

そもそも「癌」とは、上皮組織に1個の変異細胞が発生し増殖を開始することから生じるが、その腫瘍発生の瞬間に、周囲正常組織との関係において如何なる反応が起こるかについては、明らかでなかった。本研究の成果は以下である。

(1)「細胞競合(変異細胞と周囲正常細胞との相互作用)(Curr Biol.,2012)」をリアルタイムに観察しうる初めてのマウスを樹立した。Vil-CreER;LSL-RasV12-IRES-eGFPに少量のタモキシフェンを投与することで、腸管クリプト内に1-2個程度のRasV12変異細胞を発生させることが可能となった。

(2)このマウスと腸管クリプト培養法を併用し、腸管クリプト内に発生させたRasV12(eGFP(+))変異細胞の挙動を顕微鏡下にリアルタイム観察することが可能となった。

(3)当該システムを用いた観察によって、RasV12変異細胞の多くは、その発生後48時間以内にクリプト管腔側へと積極的に排除されていくことが明らかとなった。

つまり、哺乳動物生体内においても、確かに「細胞競合」は存在し、発がんに対する生理的防御反応としての上皮細胞間インタラクションの存在が示された(未発表)。今後、初期発がんメカニズムの解明及びがん予防・治療薬開発を志し、研究を進展させたい。