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研究成果

平成24〜25年度: 公募研究22

非再生系成体組織における異常細胞の検出・排除システム
研究代表者: 谷口 喜一郎
研究成果

ショウジョウバエ附属腺は、増殖能を持たない非再生系組織であるため、細胞を長期維持するために、強い細胞死耐性を保有しています (未発表・論文作成中)。一方で、加齢した附属腺では、一定頻度で細胞排除が観察されます。この結果は、異常を生じた老化細胞が、選択的に組織から排除されることを示唆しています。本研究領域における研究で、附属腺での老化細胞の検出・排除時に、次の様な組織応答が起きることを明らかにしました;1) 機能的低下:加齢に伴うPairedタンパク質レベルの低下、2) シグナル応答:Pairedレベル低下に比例したNotch・JAK-STATシグナルの上昇、3) 異常の発症:Pvrシグナルの活性化、4) 細胞排除:アポトーシス・オートファジー等による複合的な細胞死誘導。以上の結果は、Notch・JAK-STAT・Pvrシグナルが、老化細胞の検出・排除に深く関与することを示唆しております。遺伝学的解析を行った結果、Pvrシグナルは細胞死誘導シグナル、Notch・JAK-STATシグナルは細胞死許容シグナルとして機能することを明らかにしました。本研究結果により、細胞異常に応答するPvrシグナルと機能的低下を検出するNotch・JAK-STATシグナルが、同時に活性化した細胞のみ排除するという、限定的細胞排除メカニズムが示唆されました (未発表・論文作成中)。