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研究成果

平成26〜27年度: 公募研究01

腸管上皮幹細胞3次元培養技術を利用した管腔形成機構解析
研究代表者: 中村 哲也
研究成果

腸管上皮研究を進め、以下のような成果をあげました。すなわち、新しく確立した腸上皮培養技術を応用し、これと粘膜上皮間リンパ球を共培養する新技術を確立しました(J Gastroenterol 2016)。また、培養する腸上皮がもつ組織構築能を調べるため、体外培養した正常なマウス大腸上皮幹細胞を、大腸粘膜傷害をもつ別のマウスへ移植する実験に成功しました。その結果、移植した大腸上皮幹細胞が生体内において正常な大腸上皮組織を再生できることを明らかにしました(Nat Med 2012)。さらにデンマークのグループと共同し、培養した胎児小腸由来上皮細胞も成体マウス大腸に移植可能であること、そしてこの移植では移植細胞が移植先の環境に適応するように、一部大腸上皮形質を獲得するとの知見を得ました(Cell Stem Cell 2013)。続いて、成体マウス小腸上皮幹細胞を大腸へ移植することにも成功し、この場合には、移植細胞が小腸上皮としてのアイデンティティーを維持し続ける機構があることを明らかにしました(Genes Dev 2014)。これらの成果は、さまざまなタイプの培養腸管上皮幹細胞を用いる再生医療が理論的に可能であることを示すとともに、腸上皮幹細胞が有する可塑性・固有性について興味深い事実を示すものと考えます。