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研究成果

平成26〜27年度: 公募研究05

上皮管腔組織が内包する細胞間相互作用を介したがん抑制システムの遺伝的基盤
研究代表者: 大澤 志津江
研究成果

上皮管腔組織は、組織に生じたがん原性の極性崩壊細胞を積極的に排除し、その恒常性を維持する内在性の癌抑制機構を内包していると考えられています。我々は、嚢状の上皮管腔構造を示すショウジョウバエ成虫原基をモデル系として用い、①極性崩壊細胞の組織からの排除には極性崩壊細胞と正常細胞の細胞間相互作用が必須であること、また、②正常細胞において細胞排除シグナル(細胞骨格系シグナル、貪食シグナルなど)を破綻させると、極性崩壊細胞は細胞死を免れるだけでなく大過剰に増殖して腫瘍を形成し、個体を死に至らしめることをこれまでに明らかにしてきました。本研究では、正常細胞が抑制崩壊細胞を認識・排除するメカニズムを明らかにするために、正常細胞側に突然変異を導入する“細胞非自律的”遺伝学的スクリーニングを大規模に展開し、解析を進めてきました。その結果、極性崩壊細胞の排除に関わるリガンド様膜タンパク質とそれに結合する膜貫通型受容体の同定に成功しました。現在、この「リガンドー受容体」システムによる細胞排除メカニズムとその生理機能の解析を進めているところです。