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研究成果

平成26〜27年度: 公募研究09

気管の管腔成長メカニズムの解明
研究代表者: 森本 充
研究成果

我々はマウス気管の管腔成長メカニズムの解明に取り組んでいる。これまでに気管内腔の成長と、個々の上皮細胞の増殖、3次元構造変化の定量的な解析に取り組んだ。気管は胚発生を通して常に成長をつづけている。これまでの研究成果から、気管の成長は初期に起こる前後軸方向に沿った異方性の成長と、その後に続く軟骨に誘導される等方性の成長の2段階で起こることが明らかになった。気管の形態は発生を通して間充織の成長に誘導されることがわかった。一方で、気管上皮細胞の細胞増殖能を時系列に沿って追って解析したところ、E15までは50%の細胞が増殖期に入っていたが、E16以降に急激に割合が下がり20%前後になることがわかった。また、気管の管腔構造を3次元で定量的に測定したところ、E16-18.5の間に急激に管腔表面の拡大が起こることがわかった。同時期に上皮細胞の形態が拡大し、整列様式が重層様構造から偽重層上皮構造への変化が起きていたことから、上皮組織の再編成が気管内腔の拡大に合わせて起こることで、気管の平滑な内腔の形成に寄与している可能性が示唆された。さらに1細胞レベルの形態変化を詳細に解析した結果、前述の気管形成中期で見られた重層様構造から単層構造への形態変化には、特に 1)比較的均一な円柱形態への変化、2) 頂表面を持たない細胞が頂点面を獲得することが大きく寄与し、その結果として気管内腔を拡大させている可能性が考えられた(未発表)。現在我々は、上皮細胞の形態変化、配列様式の変化を引き起こす分子レベルのメカニズムの解明に取り組んでいる。