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研究成果

平成26〜27年度: 公募研究10

上皮組織の分化パターンと形態形成をつなぐ力学制御メカニズムの解明
研究代表者: 永樂 元次
研究成果

本年度は研究代表者らがこれまでに確立したin vitroでの眼杯形成をモデルとして形態形成過程における、化学的特性と組織の物性や内部応力などの力学的特性をつなぐメカニズムの解明を行った。これまでに明らかになっているカルシウムを介した局所の上皮形態を制御するフィードバック機構についてさらに詳細に解析した。具体的には力学刺激の強度および時間依存的に上皮組織が弾性変形的および塑性変形的な2つのモードによりその形状を制御されていることを明らかにした。また、これまでに構築してきた眼杯形成の力学数値シミュレーションを可能にするフレームワークの改良を行い、細胞死の形態変化への影響を検討できるようになった(Biomech Model Mechanobiol, 2015)。このフレームワークを用いて、眼杯の三次元的な形態変化における局所の力学的なパラメータの寄与を検討し、背腹軸の極性を生む新たな眼杯形成モデルを確立した(論文作成中)。また、ヒトES細胞からより安定的に海馬組織および海馬ニューロンを分化誘導するための新たな方法論を確立した(Nature Communications, 2016)。これらの結果により、これまで知られていなかったヒト海馬組織の発生様式をより詳細に解析できることが期待される。