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研究成果

平成26〜27年度: 公募研究13

肝臓上皮組織の再生・維持機構の生体内多次元イメージング解析
研究代表者: 伊藤 暢
研究成果

これまでの本領域での研究から、以下のことを明らかにしました:

(1)肝障が障害を受けた際に、成体肝前駆細胞と呼ばれる特殊な細胞集団が出現して肝再生に寄与すると考えられていますが、その出現様式は明らかにされていませんでした。我々は、それらの細胞が管腔構造を形成した脈管系として、元々存在する胆管に接続された構造体として増生していることを明らかにしました。さらに、増生した胆管系の組織形態は多様であることを見出し、肝障害の部位や病態に適応した構造をとるというモデルを提唱しました(Kaneko et al., Hepatology, 2015)。また、(2)胆管系が増生する際、これを構成する細胞の増殖は一様に起こるわけではなく、その一部に、生体内において高い増殖能(クローン増殖性)を示す特殊な前駆細胞集団が確率的(stochastic)に生じ、これが組織増生の主要な要因となること(未発表、論文投稿中)、(3)KLFファミリーの転写因子が肝障害時の胆管系の細胞の増殖制御に重要であること(未発表)、等も明らかにしました。

(4)成体マウスの肝臓において、蛍光標識した肝細胞および胆管上皮細胞の挙動、血液や胆汁の流れを観察することが可能な生体ライブイメージング(intravital imaging)系を構築しました。これを用いた解析から、肝障害に伴う胆汁の流れの変化が胆管系の組織構造変化を引き起こすことを新たに見出しました(未発表)。