• 研究成果概要・研究業績
  • 文部科学省
HOME研究成果概要・研究業績 > 研究成果 > 平成26〜27年度: 公募研究16
研究成果

平成26〜27年度: 公募研究16

上皮管腔組織における基底膜形成メカニズムの解明
研究代表者: 吉川 大和
連携研究者: 谷水 直樹
連携研究者: 野水 基義
連携研究者: 伊東 祐二
研究成果

本領域での研究から、これまでに以下のことを明らかにしました。(1)基底膜は上皮細胞と結合組織を繋ぐ構造体であり、上皮細胞は基底膜と結合するための受容体を細胞表面に発現しています。この受容体の中で、基底膜の主要な成分であるラミニン-511に結合するルテランが、細胞表面からMT1-MMPと未知のプロテアーゼによって切断され、細胞表面からシェディングされることを見出しました (Exp Cell Res, 2014)。このシェディングされたルテランは、切断後もラミニンに対する結合活性を維持し、上皮細胞と基底膜の接着に影響することが示唆されました。また、シェディングされたルテランは、肝細胞癌の患者血漿中に検出され、新たな腫瘍マーカーとして期待されます。(2)抗ルテラン・ファージ抗体を癌患者由来のファージライブラリーから単離しました。ルテランに高い特異性を持つクローンは、ルテランとラミニンα5鎖の結合を阻害しました。ルテランの機能を解析する新しいツールとして期待されます(投稿中)。(3)基底膜の主要な成分であるラミニン-511は、正常の上皮細胞を基底膜に安定的に接着させているにもかかわらず、癌細胞に対してはその運動を促進するという二面性の機能をin vitroにおいて示します。私達は、ラミニン-511に接着した細胞を、細胞運動しやすい状態に転換する因子の探索を行い、発癌プロモーターであるTPAが細胞運動を促進することを見出しました。TPAは、ROCKを介してインテグリンα3β1のラミニン-511に対する細胞接着を弱めることによって、細胞運動を促進していました(修正投稿中)。