リンパ管形成の初期過程では、既存の静脈を構成する内皮細胞が極性を失って遊走した後に再集合・極性化して管腔形成し初期リンパ嚢を形成します。さらに、リンパ嚢からリンパ管が伸長すると考えられています。これらの過程で、内皮細胞は運動能や細胞間接着能について精巧な制御を受けていると考えられますが、それらの分子機構についてほとんど明らかにされていません。私達は、Aspp1を内皮細胞特異的分子として同定し、Aspp1欠損マウス胎仔のリンパ管網形成過程において、リンパ管内皮細胞からなる異常な島様構造が多数見られることを明らかにしました。本研究では、生体の発生過程で得られる知見に基づいて、Aspp1が細胞間接着・細胞骨格・細胞運動等の制御に果たす役割を、発生過程にある内皮細胞の培養系を用いて、細胞レベル・分子レベルで明らかにしたいと考えています。