教室で実施中の臨床研究

    

課 題名: 三次元イメージング技術を用いた病理組織診断の標準化
主任研究者: 野島 聡
 

1.研究の対象
 2010年4月1日~2025 年3月31日に大阪大学医学部附属病院において診療を受けた方で、下記の「3.研究に用いる試料・情報の種類」の条件を満たす方。

2.研究目的・方法
 腫瘍における病理組織診断は、腫瘍の悪性度、分化度、浸潤・転移の程度を組織学的に診断する医行為のことで、治療方針の決定の根幹に関 わる重要な医学的 技術です。しかしながら、現在の病理組織診断は病変を代表とする数か所の割面の組織学的所見のみから行われており、評価されなかった部位 における所見の多 くが見逃されているものと考えられます。本研究では、近年開発されたCUBICと呼ばれる特殊な試薬を用いてヒト腫瘍組織を透明化し、腫 瘍マーカーに対す る免疫染色を施行、ライトシート顕微鏡等にて三次元的画像データを取得し立体モデルを作成、三次元的な病理組織学的所見を取得します。得 られた 三次元的病理組織学的所見を集積し、予後、再発率、治療反応性といった臨床学的動態と比較検討することにより新規の診断基準を見出し、標 準化された新たな 診断システムを確立することを目的としています。腫瘍組織の観察にて得られた知見は適宜、感染性疾患、自己免疫性疾患、血管循環器系疾患 を含む他の疾患に も拡大し、より一般的な基盤的技術の確立を目指します。
   
 研究期間: 2015年6月11日~2025年3月31日

3.研究に用いる試料・情報の種類
 以下の病理組織検体を対象とします。

① 大阪大学医学部附属病院病理部にて保管されている以下の臨床科の検体
①-1. 産科婦人科
 産婦人科領域の腫瘍組織およびその検体に付属する正常部分の組織のパラフィンブロック、および申請認可後に提出される病理検体およびそ の検体に付属する正常部分の組織の残余組織を用います。
①-2. 血液内科
 血液内科に由来し、病理部において保管されている血液疾患のパラフィンブロックを脱パラフィン処理し用います。
①-3. 消化器外科
 消化器外科に由来し、病理部において保管されている腫瘍性疾患および対照となる非腫瘍部分、炎症性腸疾患の残余組織検体およびパラフィ ンブロックを用います。
①-4. 循環器内科
 循環器内科に由来し、病理部において保管されている血管循環器系疾患、自己免疫性疾患および対照となる非病変部組織のパラフィンブロッ クを用います。

② 大阪大学医学部附属病院において施行された病理解剖の検体
 大阪大学医学部附属病院において施行された病理解剖において残余した病変部組織および対照となる正常組織、およびそれらから作製された パラフィンブロックを用います。
  また、上記の病理解剖検体のうち、下記の条件を満たす症例においてのみ、2つあるうちの1つの腎臓について、病理組織学的診断の前に臓器 全体を「2.研究 目的・方法」で述べた三次元的画像データの取得、三次元的な病理組織学的所見の検索に用いる可能性がございます。データの取得後に腎臓を よく洗浄し、予定 通りの病理組織学的診断を行うため基本的な診断は可能であると考えられますが、発生しうるリスクとして、先に実験を行ったことにより、一 部のケースにて正 確な病理組織学的診断を行うことが困難となる可能性がございます。

[使用のための条件]
・腎臓が2つとも存在している。
・腎臓の病理組織学的評価が病理解剖の主目的でない。
・両側の腎臓について、臨床的に著変がなく、病理組織学的検索の意義がきわめて乏しい。

4.外部への試料・情報の提供
 組織検体の一部について、共同研究施設である、東京大学 大学院医学系研究科および理化学研究所 生命システム研究センターにこれらを供与する可能性がございます。この場合、検体から氏名等の個人情報を削り、代わりに新しく符号又は番 号をつけて匿名化 を行った上で供与を行います。研究対象者とこの符号(番号)を結びつける対応表は作成しません。

5.研究組織
大阪大学 大学院医学系研究科 / 大阪大学 医学部附属病院 病理部(研究責任者:野島 聡)
東京大学 大学院医学系研究科(研究責任者:上田 泰己)
理化学研究所 生命システム研究センター(研究責任者:上田 泰己)

6.お問い合わせ先
 本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。
ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますの でお申し出下さい。
また、試料・情報が当該研究に用いられることについて患者さんもしくは患者さんの代理人の方にご了承いただけない場合には研究対象としま せんので、下記の 連絡先までお申し出ください。その場合でも患者さんに一切の不利益が生じることはありません。

大阪大学 大学院医学系研究科 病態病理学
(担当者)准教授 野島 聡 
(連絡先)06-6879-3711
           
 照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先:
〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2-2 
大阪大学 大学院医学系研究科 病態病理学
(担当者)准教授 野島 聡 
(連絡先)06-6879-3711

研究責任者: 
 大阪大学 大学院医学系研究科病態病理学 教授
 森井 英一  

研究代表者:
 大阪大学 大学院医学系研究科病態病理学 准教授
 野島 聡