研究内容

1.  大脳皮質機能の発達と可塑性のメカニズム 
1-1.  シナプス長期増強と長期抑圧のメカニズム
1-2.  神経栄養因子及びその受容体の役割
1-3.  グルタミン酸受容体の役割      
1-4.  神経細胞内セカンドメッセンジャー動態のイメージング

2.  大脳神経回路の入力依存性変化のメカニズム
2-1. 入力による皮質ニューロン光反応性変化のメカニズム
2-2. 神経活動によるコラム構造変化のメカニズム
2-3. 神経活動による神経回路変化のメカニズム
   

3.   大脳皮質における視覚情報処理機構
3-1. 視覚情報処理におけるシナプス可塑性の役割
3-2. 視覚情報処理におけるグルタミン酸受容体の役割
3-3. 視覚情報処理におけるアセチルコリンの役割


  脳の機能、特にヒトやサルなど高等哺乳類の大脳皮質機能は、遺伝情報によって全

てが決定されているわけではなく、生後の入力状態によって変化することが知られている。

  当研究室では生後の入力や神経細胞の活動が大脳皮質の機能を変えることを今迄明

らかにしたが、現在はそのメカニズム解明を目指している。また、大脳皮質においてはグル

タミン酸が主要な興奮性伝達物質であること、及びその受容体には種々のサブタイプがあ

ることの一端も明らかにしたが、最近は各サブタイプ受容体の機能的役割を脳切片、神経

細胞培養標本などを用いて解明しようとしている。また、脳由来神経栄養因子などの神経

栄養因子の役割も調べている。

  さらに、複雑な大脳皮質ニューロン回路がどのような原理で情報処理や情報蓄積(記

憶)を行っているかの解明も試みている。以上の研究のため、従来の古典的生理学的方法

のみならずパッチクランプ法など最新の電気生理学的方法、さらに種々のトランスジェニッ

クマウスを利用した分子生物学的手法や神経細胞内セカンドメッセンジャー動態のイメージ

ング、膜電位感受性色素を使った多数の神経細胞活動の光学的同時計測法、など新しい

方法の併用や活用を重視した多面アプローチを目指している。