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 生体は、分子(タンパク質)、細胞、組織、臓器といった高度な階層性のもと、“個体”という統合されたシステムとして機能している。生体機能の本質的理解のために、要素の多階層統合のアプローチによる新規の生命科学を展開・推進することが必要である。
 本領域では、具体的課題での先導的実証研究を行いつつ、多階層生体機能のシステムを解析するための次世代システムズバイオロジープラットフォームを開発する(研究項目A01)。研究領域としては、生命科学の取り扱う全ての領域に広げず、既に生命の多階層性の観点から新たな研究成果が得られつつある“心臓の電気的興奮活動とその制御、破綻(研究項目A02)”と“小分子体内挙動(ミネラル・コレステロール等の恒常性維持機構を含む)(研究項目A03)”の問題に集中する。
 このため、以下の研究項目について、「計画研究」により重点的に研究を推進するとともに、これらに関連する2年間の研究を公募する。1年間の研究は公募の対象としない。また、研究分担者を置くことは出来ない。
公募研究の採択目安件数は、単年度当たり(1年間)の応募額400万円を上限とする研究を30件程度予定している。
本領域の研究理念に沿う、生体機能の数理モデル化とシミュレーション手法の研究、心臓電気現象と薬物動態のシステム的理解に繋がる研究、心臓やADMEに関わる臓器の細胞内微細構造や組織構造と生命機能相関の研究の提案を期待する。本領域では領域内共同研究を積極的に推進しており、計画研究と共同して心機能及びADME/Toxicologyの包括的数理モデルの構築、及び解析に貢献できる研究提案を特に歓迎する。
なお、研究内容の詳細については、領域ホームページ(http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/pharma2/singaku/)を参照すること。

(研究項目)
A01 統合的多階層生体機能学推進のための基盤システム構築
A02 心臓興奮の頑健性と破綻の多階層システムバイオロジー研究
A03 小分子生体内挙動の多階層システムバイオロジー研究

(平成23年度公募研究  平均配分額 3,589千円  最高配分額 3,900千円)



公募研究(平成25年−26年度)


研究項目A01:統合的多階層生体機能学推進のための基盤システム構築
 反応速度論的パラメーター測定のためのイメージング基盤技術構築
  青木 一洋(京都大学大学院生命科学研究科・講師)
 多階層生体機能を解明する汎用シミュレータのヘテロ計算による高速化
  
萩原 兼一(大阪大学大学院情報科学研究科・教授)
 PhysioDesignerのPDE開発
  
秀樹(東海大学内科学系循環器内科・客員教授)

研究項目A02:心臓興奮の頑健性と破綻の多階層システムバイオロジー研究
 カルシウムクロック機構の再構築と平滑筋組織ペースメーカーシミュレーション
  今泉 祐治(名古屋市立大学薬学研究科・教授)
 正常及び異常心臓自動能に関する生理実験とシミュレーション研究
  尾野 恭一(秋田大学大学院医学系研究科・教授)
 PLN/SERCA2aレギュラトームによる心収縮調節機構の解明
  小川 治夫(東京大学分子科学研究所・准教授)
 性ホルモンシグナルの細胞内局在化を考慮した男女別不整脈モデルの構築
  黒川 洵子(東京医科歯科大学難治疾患研究所・准教授)
 心筋イオンチャネル病のリスク層別化と臨床管理におけるシミュレーションの応用
  伊藤 英樹(滋賀医科大学医学部・助教)
 ミトコンドリアによる心自動能制御メカニズムの多階層解析
  竹内 綾子(
京都大学大学院医学研究科・助教
 心臓における不整脈基質TRPM2チャネルの役割
  沼田 朋大(京都大学地球環境学堂・助教)
 心臓エネルギー代謝の頑健性とその破綻のメカニズムの統合的解明
  塩井 哲雄(
京都大学大学院医学研究科・講師)
 興奮伝導・不整脈発生における心筋組織の細胞間不均一性の関与
  呉林 なごみ(順天堂大学医学部・准教授)
 心筋線維化における興奮収縮連関の細胞間相互作用形態機能解析
  草刈 洋一郎(東京慈恵会医科大学医学部・講師)
 分岐理論に基づくヒト固有心筋自動能の発生機序並びに合理的制御法の解明
  倉田 康孝(金沢医科大学医学部・准教授)
 G蛋白活性調節因子による心臓興奮の制御とその破綻
  佐藤 元彦(愛知医科大学医学部・教授)
 心筋形質膜-ミトコンドリアのNa+, Ca2+輸送連関のin vivoモデル解析
  喜多 紗斗美(福岡大学医学部・講師)
 ストイキオメトリーの違いを考慮したKCNQ1チャネル活性化機構の光生理学的解析
  中條 浩一(生理学研究所・助教)
 QT延長症候群における遺伝子変異部位別チャネル機能異常と不整脈基盤・予後との関係
  相庭 武司(国立循環器病研究センター研究所心臓血管内科・不整脈科医長)

研究項目A03:小分子生体内挙動の多階層システムバイオロジー研究
 実験・計算科学による内耳臓器内カリウムイオン循環の機能解析
  任 書晃(新潟大学大学院医歯薬総合研究科・助教)
 多階層解析による薬剤性心筋・骨格筋障害の支配因子特定と予防法の開発
  松原 和夫(
京都大学大学院医学研究科・教授)
 ナノマテリアルの細胞内ADMEに関する数理モデルの構築
  吉岡 靖雄(大阪大学大学院薬学研究科・准教授)
 血球細胞のプロトンチャネルによる生体防御システム
  藤原 祐一郎(大阪大学大学院医学系研究科・准教授)
 輸送体間相互作用と発現変動の網羅的解析による輸送機能クロストークの予測基盤の構築
  永森 收志(大阪大学大学院医学系研究科・助教)
 無機リン酸イオン調節の多階層的制御機序解析
  辰巳 佐和子(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部・助教)
 生体リズムの階層性を基盤にした薬物移送リズムとリズム調整因子の探索
  大戸 茂弘(九州大学大学院薬学研究科・教授)
 Naイオン恒常性と浸透圧維持の多階層調節システム
  檜山 武史(基礎生物学研究所・助教)



公募研究(平成23年−24年度)


研究項目A01:統合的多階層生体機能学推進のための基盤システム構築
 生体イメージングによる反応速度論的パラメーターの高感度計測
  青木 一洋(京都大学大学院生命科学研究科・講師)
 超高速生化学ネットワークシミュレーションの基盤構築
  
舟橋 啓(慶應義塾大学理工学部・准教授)

研究項目A02:心臓興奮の頑健性と破綻の多階層システムバイオロジー研究
 再構築系による平滑筋組織ペースメーカーモデル細胞の作製とシミュレーション
  今泉 祐治(名古屋市立大学薬学研究科・教授)
 マウス心臓自動能の生後発達に関する生理学実験とシミュレーション研究
  尾野 恭一(秋田大学大学院医学系研究科・教授)
 性ホルモン非ゲノム作用における心筋膜ラフト局在化シグナルの定量的解析
  黒川 洵子(東京医科歯科大学難治疾患研究所・准教授)
 心臓における生体ストレス分子TRPチャネルの役割
  沼田 朋大(京都大学地球環境学堂・助教)
 TRIC-A欠損による心臓機能破綻の解明
  山崎 大樹(京都大学学際融合教育研究推進センター・特定講師)
 心臓組織ライブイメージングを利用した動物モデルの不整脈発生メカニズムの包括的解析
  呉林 なごみ(順天堂大学医学部・准教授)
 心筋線維化における興奮収縮連関の多階層形態機能解析
  栗原 敏(東京慈恵会医科大学医学部・教授)
 拍動循環培養システムを用いた心チューブの構築と機能解析
  南沢 享(東京慈恵会医科大学医学部・教授)
 PIP2による輸送体活性制御とその破綻による心不全機序の統合的解明
  喜多 紗斗美(福岡大学医学部・講師)
 ストイキオメトリーの多様性を考慮に入れた新しい心筋カリウムチャネルモデルの確立
  中條 浩一(生理学研究所・助教)
 心筋の電気的興奮活動における貫壁性ばらつきの増大と破綻
  相庭 武司(国立循環器病研究センター研究所心臓血管内科・不整脈科医長)

研究項目A03:小分子生体内挙動の多階層システムバイオロジー研究
 腎排泄型カチオン性小分子の多階層的生体挙動制御解析
  桂 敏也(京都大学医学部附属病院・准教授)
 ナノDDS医薬の安全性予測/評価システムの構築
  吉岡 靖雄(大阪大学大学院薬学研究科・准教授)
 人工膜小胞への再構成とプロテオミクスによる尿酸輸送機能単位の定量的発現機能解析
  永森 收志(大阪大学大学院医学系研究科・助教)
 血球細胞の活性酸素産生における多階層制御:分子構造変化からホメオスタシスへ
  藤原 祐一郎(大阪大学大学院医学系研究科・助教)
 骨細胞と腎臓/腸管を結ぶ無機リン酸イオン調節の分子制御機序解明
  辰巳 佐和子(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部・助教)


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大阪大学医学系研究科薬理学講座
分子・細胞薬理学
古谷和春(領域事務担当)

TEL: 06-6879-3512
FAX: 06-6879-3519
EMAIL: office(at)hd-physiology.jp