近畿精神神経学会の再開の経緯に向けて
2002年、日本精神神経学会は本年創立百周年を迎え、8月には第12回世界精神医学会議(XII World Psychiatry Congress)の主催団体として成功裏に国際会議を終えることができました。世界精神医学会議には約120カ国から約6200名の参加を得て、世界の精神医学の新しい流れを体感することができました。また、その前年に開催されました2001年5月17-19日の第97回日本精神神経学会(大阪国際会議場)も過去最多の演題数と参加者数を記録し、盛会裏に終了しております。
このような精神医学の新しい動向を背景にして、精神神経学会の近畿地方会を再開しようという意見が聞かれるようになりました。その理由としては、(1)近年のめざましい精神医学の発展に伴い若い人の学術交流の場が必要となっていること、(2)日本医学会に所属する多くの学会が各地区での地方会活動を行っていること、(3)精神神経学会については関東と近畿地区以外では地方会活動が既に行われていること、 (4)多くの学会認定医制度では認定更新のための単位として地方会が利用されていることなどがあろうと考えられます。
ご承知のように精神神経学会近畿地方会は、我が国の精神神経学会地方会の中でも最も歴史のある地方会でありましたが、その活動は昭和44年2月22日京都会館における第94回地方会で幕を下ろしております。その後、地方会の役割を担うべきものの一つとして、約15年前から近畿精神神経科学教室集談会が年に二回開催されてきております。この集談会は当初の五大学から七大学、つづいて九大学となり2001年7月には第39回集談会が開催されました。
九大学集談会の世話人が集まり、近畿地方会の再開について議論を重ねて参りました。そして、近畿地区の日本精神神経学会評議員、近畿地区精神医学教室の代表者、二府六県の精神病院協会と精神科診療所協会の代表者が集まり、地方会の再開に向けて準備を進めて参りましたが、平成15年に近畿地方会を開催してはどうかという意見 にまとまりました。
近畿精神神経学会は、大学・病院・診療所などの精神医学・医療に関わる精神医学専門家の共通の研鑽の場を目指して、若い人のための教育研鑽の場として活用できる学術集会を運営することにより、日本精神神経学会の近畿地方会としての機能を担っていこうと活動を開始することになりました。34年ぶりの開催ではありますが、近畿地方の精神神経学会会員の多数のご参加を呼びかける次第であります。
平成14年9月24日
第95回近畿精神神経学会
会長: 武田雅俊
(大阪大学)