織田 順大阪大学大学院医学系研究科生体統御医学講座 救急医学 教授「救急」といえば、かつては夜中の事故や体調悪化といった「時間外」のイメージが強かったかもしれません。大けがの場合、通常は、頭のけがなら脳外科、足の骨折なら整形外科というように専門の診療科が担当します。では、身体のいたるところを負傷していたら? 実はこの場合、各々のスペシャリストがいれば救えるとは限りません。そこでは治療の「戦略」、つまり生命を維持するための「全身を見る医療」が求められます。それに気付いたのが阪大の先輩方でした。50年ほど前に専門の講座がスタート。「救急医学」という領域が本格的に立ち上がり、研究を発展させたり臨床に力を注ぐ人たちを多く輩出してきたのです。近年は外傷以外の重症病態も対象になっています。例えばインフルエンザ。通常は耳鼻科でも呼吸器内科でも対応できますが、重症化してインフルエンザ脳症になると救急部門が中心となって診療します。肺炎でも同じです。新型コロナウイルス感染症は、感染症の先生方が先頭に立って闘ってきましたが、重症化する患者さんがたいへん多く、集中治療が必要になれば救急医が診療に協力しています。救急がカバーすべきエリアは広がる一方といっていいでしょう。今や災害医療は重要な研究テーマのひとつ。人の生活がある限り、けがはなくなら災害現場で救急の患者に対応する場合も、本人の遺伝情報を確認。効果の高い治療法を選択できるようになる。102050年には2050年にはこうなってる?こうなってる?個別化医療が、個別化医療が、救急のスタンダードに。救急のスタンダードに。
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