DOEFF vol10
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iPS細胞由来の髄核の移植を目指すラットでは、移植した組織は生着し、正常な椎間板に近い力学特性を示しました。今後はヒトでも、椎間板変性に起因する疾患は再生医療で克服できるかもしれません。Keyword椎間板さまざまな医療分野においてめざましい業績を積み重ねてきた大阪大学大学院医学系研究科。ここでは5つのキーワードから、最先端の研究にフォーカス。進化し続ける医療の最前線に迫ります。日本で約1,300万人が患っている腰痛。うち20~40%は椎間板変性が原因と推定され、その多くは、脊椎にクッション性と可動性を与える「髄核」の変性・消失から引き起こされます。一度傷んだ髄核が自然に治ることはありません。そこで妻木範行教授(組織生化学)らの研究グループが試みたのは、再生医療によるアプローチ。まず髄核の中にある軟骨様髄核組織の遺伝子発現を解析し、その性質を明らかにしました。さらにラットを使った実験も実施。髄核のあった場所にヒトiPS細胞から作った軟骨様髄核組織を移植すると、髄核の代わりを果たし、椎間板変性を防ぐことが分かりました。脊椎の機能回復、腰痛の軽減につながる確かな一歩といえるでしょう。18腰痛に再生医療で挑む。

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