DOEFF vol10
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中性脂肪Keywordアルドステロンミネラロコルチコイド受容体ナトリウムチャネルエクソソーム結合腎臓の細胞活性化MRの過剰な活性化は、高血圧ホルモンであるアルドステロンのほか、塩分の取り過ぎ、肥満などによって引き起こされます。活性を測定する方法の確立が予防の第一歩です。尿から回収して計測細胞膜から放出コレステロールが溜まった血管TGCVの特徴は、その人の肥満度や血中の中性脂肪値とは無関係に発症すること。特効薬の完成が待たれます。中性脂肪が溜まった血管Keyword動脈硬化2008年、平野賢一特任教授(中性脂肪学)らの研究グループにより発見された「中性脂肪蓄積心筋血管症(TGCV)」。中性脂肪を心臓のエネルギー源として使えなくなる難病で、心臓の筋肉や血管に中性脂肪が蓄積することにより、重症の心不全や動脈硬化を引き起こします。同グループはさらに研究を進め、治療の糸口も見出しました。脂肪酸の一種「カプリン酸」がTGCVで蓄積した中性脂肪を分解し、さらに「カプリン酸」そのものがTGCVの心臓でエネルギー源となって症状を改善し得ることを突き止めたのです。これを受けて開発したカプリン酸のカプセル剤は、厚生労働省から「希少疾病用医薬品」に指定され、製薬会社が実用化に向けた臨床研究を実施中。この難病が克服される日もそう遠くないはずです。脳卒中や心筋梗塞を引き起こす動脈硬化は、生活習慣病や肥満によりリスクが高まります。その原因の一つは、ミネラロコルチコイド受容体(MR)の過剰な活性化。これまで測定する方法はなく、動脈硬化リスクを評価する際は、医師が自らの経験やさまざまなデータを組み合わせて推測するしかありませんでした。そこに新たな方策を示したのが、早川友朗特任助教、福原淳範寄附講座准教授、下村伊一郎教授(内分泌・代謝内科学)らの研究グループ。尿中に放出されるエクソソームでMRの活性評価ができることを解明したのです。高血圧や糖尿病、肥満の方の動脈硬化リスク因子を評価できる可能性が見えてきました。MR阻害薬による治療の効果を判定したり高血圧治療薬を選択したりする際に活用できると期待されています。20心臓の難病も、カプセル剤で治せる。尿からリスクを評価。

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